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夏のせいかつのはじめ

春なんてひとつも感じることが出来ずに、20歳になってしまった
僕はまた夏を迎えようとしています。
さくらの開花情報がまだ届いていませんが、僕の住むまちでは昨日ひまわりが咲いたようです。
太陽のでている時間がのびてきて僕のへやではエアコンが必要なようです。
唯一の僕のあの友達の誕生日は春だったはずですが、このくそったれな僕はお祝いすることができませんでした。
怒っているでしょうか、僕のことなんて忘れているでしょうか。

人の列に並んでもらったあの西瓜は不揃いで僕の西瓜はみんなのものよりも小さくて食べにくかったです。
あの夏はいつだったのかすら思い出せないで。
今日もぼくはエアコンのリモコンを探せていません。

春の思い出なんて何もなくて、20歳になってしまった僕は20歳になったことに気づかないふりをして夏の空気を感じています。
近所のスーパーで買った西瓜は少し小さかったですが一人で食べる僕にはぴったりで。
うまく切れないで叩き割ってやりました。
あかあかあかあかくろ、に染まった手を見て笑ってまた今度ってしまいこんで、朝がくるのを待ちました。
ぬるくなってしまった近所で買った西瓜は水分がずいぶん蒸発して変な味がしました。

夏休みが始まるのが嬉しくてわざと笑って走って改札をくぐっていたあの夏は僕にとっては幻みたいで、今でも忘れる事が出来ませんでした。
ぺたんこにつぶした鞄のなかには財布しか入ってなくて、家についたら麦茶を一気飲みして、また笑いました。
春のことなんて何も覚えていません。僕のこのくそみたいな脳では咀嚼することができませんでした。
あの坂を勢いよく下って誰もいない帰り道ですこしわけもなく泣いていました。

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