エモいが嫌いな私の話。


もうついこの間だったことが2年も経っていることに気がついた。
夏の生ぬるい匂いは苦手だった。
気がついたら誰もいなくても平気だった。
思い出すのは、太陽が反射したアスファルトと駄菓子屋の賑わい。商店街のお菓子屋さんは割安で、コンビニのイートインはクーラーが効いていない。
いつも一緒にいて、すべてが愛おしくなる情景。
街を見下ろして食べる食堂のパンと焼却炉の煙を、拍手と一緒に目の前からいなくなったあの日々を
私はいつも愛おしくてたまらない。

リアルとファンタジーは共存しないのか。

私を偽って出会う人。
背伸びして言葉を並べて、勘違いしていた。
常識に固められた日々へ移り変わる。

冬には海には入らないし、道に生えている草には見向きもしない。
食べるときは上品に、おいしそうなものを前にしたらオーバーリアクションで。
持ち物はシンプルで、まとめたノートの文字は機械的であった。
なんでもソツなくて、あーあと思った。
朝、バスが満員になるのがとても苦手だった。朝はやくに着いているのも緊張した。
常に気を張っていて、全てが常識であった。

わたしは完全にリアルとファンタジーを切り離して過ごした。

友達は皆常識を振りかざしました。
私の温度はいつでも灰色であたたかい。
常識はいつでも色がはっきりしていて、目が痛かった。

私は式には出たくなかった。
あの時の感覚はいつでもぼんやりしていて、嘘みたいに夢だった。
今はもっとはっきりしていて、きっと目がくらむのだろうか。
とびきり可愛くした人が、同じような服に髪型、シャッターを切るのだろうか。
私は、お昼休みに誰もいない図書館でこっそりあなたと過ごしていた日々が何よりも愛おしい。
もう向日葵の咲く季節になる。

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