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精米機の比較
うちのコメ事情は新潟の知り合いから玄米で取り寄せて、家庭用精米機で精米をしたお米を炊いています。夏頃になるとその玄米も無くなるのでスーパーで精米済みのお米を購入していますが、正直どちらが美味しいのか微々たる違いしか感じてませんでした。しかし最近、精米機を変えたところ、明らかに美味しくなった気がしたのできちんと比較をしてみることにしました。
|精米機の種類
精米機にもいくつか種類がありますが、今までは「かくはん式」で今回変更したものは「圧力循環式」と呼ばれるもののようです。
■かくはん式:精米かごのなかの金属の羽がぐるぐる回って、コメを対流させることで摩擦を生じさせて表面を削る方式
■対流式:かくはん式と構造は同じだがコメの量によって金属の羽の回転数を変えることでコメの欠けや割れを抑さえる方式
■圧力式:精米機内のコメに圧力をかけながら移動させることで、コメ同士の摩擦が生じて表面を削る方式
■圧力循環式:圧力をかけてコメ同士の摩擦を生じさせて削るがコメを内部で循環させるため温度上昇を抑えることが出来る方式
|かくはん式の精米機
今まで使用してきたのは、かくはん式の精米機でした。全体的に安価の製品が多いのでおそらく使用している人も多いのではないかと思います。
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かくはん式は左の画像のように金属の棒が横に伸びた軸がぐるぐる回って中のお米を対流させます。対流したお米は金属の棒とお米を入れる精米かごのザラザラした表面との摩擦で精米されていきます。
精米中の音もかなり大きめで、中のお米もカチカチ言いながら回っているので、結構痛々しい感じがしていました。
|圧力循環式の精米機
圧力循環式の精米機ですが、農協とか道端にあるコイン精米機の方式と似ているようで精米の能力は高いのですが構造が複雑なためか価格が高い上、現在販売している製品はほとんどありませんでした。このため生産終了となっている象印のBT-AG05をメルカリで入手をしました。
※BT-AF05という少し安価なものありますが、今回は胚芽米コースのあるBT-AG05にしました。
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圧力循環式の仕組みですが、マニュアルの絵からすると以下のような複雑な構造になっているようです。精米部でコメに圧力をかけながら精米していく仕組みのようです。
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|精米機の比較項目
かくはん式と圧力循環式の精米方法がかなり違うため、スペックを比較しようにも出来ないので、使用する上で気になる以下の項目を調べて比較をしてみました。
■精米時間
■精米中の音
■精米後のコメの温度
■精米後の糠の状態
■精米後のコメの状態
|精米時間
まず、3合の精米時間を測定してみました。測定方法は単純にスタートボタンを押したタイミングでストップウォッチをONするだけです。
■かくはん式: 3分02秒
■圧力循環式: 6分48秒
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精米時間はかくはん式が圧勝です。このあとの精米中の音にも関連しますが、精米機は結構うるさいです。このうるさい時間が短いほうが良いというのはやはり重要ではあります。
|精米中の音
精米機の音の大きさは、ネットで調べるとおおよそ70dbであると書かれていますが、ピンとこないのでスマホアプリで実際の音を調べてみました。
精米機の上下左右と直上の5箇所で測定してそのMaxを見てみました。
■かくはん式: 86.3db (max)
■圧力循環式: 92.0db (max)
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音で聞いているときにはそんなに違いはなさそうでしたが、測定すると圧力循環式の方がうるさい結果となりました。印象としては圧力循環式の方が音が低そうだったので周波数を見たところ、かくはん式は全体的に騒音レベルが均一にあるような印象で、高めの音が耳につく感じでした。まあ少し差はあれど、正直両方うるさいです。
|精米後のコメの温度
精米時にコメの温度が上がると割れたり水分が飛んだりしてコメの劣化が起こるようです。正直何度まで大丈夫なのかはわかりませんが、出来るだけ温度が上がらないほうが良いようなので、精米後の温度も測定してみました。
■かくはん式: 28.8℃
■圧力循環式: 33.3℃
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かくはん式の方が温度が上がりづらいとネットの記事にもあったように精米後の温度は少し低い結果となりました。圧力循環式の33℃が問題かどうかはわからないですが、低いほうが良いようなのでかくはん式に軍配です。
本当は、圧力循環式が良い!という記事を書きたかったのですが、ここまで比較を進めて行くと、今の所かくはん式の方が良い結果が出ていることになります。しかし精米後のコメの質が重要ですので、ここから先は精米したコメの状態を比較していきます。
|精米後の糠の状態
糠の状態を見るのに、どのくらい削っているかの重さを測ってみました。
■かくはん式: 36g(糠)、308g(コメ) 17% (比率)
■圧力循環式: 29g(糠)、321g(コメ) 9% (比率)
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重さの比率から見るとかくはん式の方が糠が多く、よく削れているのか削りすぎているのかのどちらかで有ると思います。それを見るためにケーキづくりに使われる粉ふるいにかけてみました。
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写真のホワイトバランスの関係もあると思いますが、かくはん式の方が全般的に白く、圧力循環式の方が黄色っぽい印象があります。細かく見てみるとかくはん式の方は砕けたコメが多く入っている感じがします。
|精米後のコメの状態
さいごにコメの状態を見てみます。スマホカメラだと細かく見るのに限界があるので、うちにたまたま有る顕微鏡を使って観察してみます。
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顕微鏡で見てみると、かくはん式はコメの表面に砕けた粉が多くくっついている上にコメに割れが入ってしまっています。一方、圧力循環式ではコメの表面はきれいに研磨されている上、コメの割れはほとんど無く透明感のある仕上がりになっています。
ここだけ見ると圧力循環式は優秀に見えますが、コメを観察していくと胚芽の部分がうまく削れていないコメもいくつか見つかりました。
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かくはん式の方は胚芽の部分含めて粉砕している感がありますが、圧力循環式は削り取っている印象で、奥まっている胚芽の部分が残る場合がありそうです。
胚芽の部分は炊いたお米が糠臭くなって嫌って人もいるので良し悪しですが、個人的には全く気にならない上、栄養価も高いので多少残っても良いんじゃないかと思っています。
|精米機比較のまとめ
総評としては、かくはん式と圧力循環式はそれぞれ一長一短があり、何を重視するのかによりますが、精米後の仕上がりを見ると圧力循環式の方が丁寧な仕事をしている様に思います。
■かくはん式が優れている点
・精米時間、精米中の音、精米後のコメの温度
■圧力循環式が優れている点
・きれいに削れる、コメが割れにくい
冒頭にあった圧力循環式にしたらお米が美味しく感じたのは、
・糠の付着が少ないので粉っぽさが無い
・割れが少ないので均一な炊あがりと食感になる
という事ではないかと思います。
精米したてのお米は美味しいと宣伝文句がありますが、かくはん式の仕上がりのお米の状態を見ると少し疑問を感じてしまいます。市販のお米を観察したわけではないですが、工場で行う精米は洗練された機械を使っているので、おそらく割れが少なく透明感のある状態ではないかと思います。
圧力循環式は少し高額なので、購入をするのを悩んでしまいますが、せっかく取り寄せたお米を、きれいに精米して美味しくいただくには必要な投資だと考えると、高くない買い物であると思いました。
|さいごに
ネットで検索をすると、家庭用の圧力循環式の精米機は生産されているものはほぼ皆無で、2019年までは細川製作所のCM850と、そのOEMの象印のBT-AF05, BT-AG05のみでした。今では細川製作所が倒産してしまいマルマス機械が継承をしたようですが、家庭用は生産しないらしく象印も生産終了となっています。
こういう丁寧な仕事をする機械はパーツも多く高くなるのはわかるのですが、日本はお米の国なのでお米を大切にする技術は無くさないで欲しいなと感じています。
これからは大量生産、大量消費の時代ではなく個々が独自のライフスタイルを楽しむ時代に変わりつつあり、お米の流通も均一に精米された物がスーパーに並ぶだけではなく、自主流通も増えていくと思います。そんな中だからこそ、美味しく精米出来る技術を家庭に落とす重要性は感じます。
象印さんには是非つづけて欲しいと諸手を挙げて応援したいです!
精米機を購入する際に、ネットや家電量販店の店頭で製品特徴を見ながら、どれが良いのか悩んでいる人も多いと思いますので、この記事がその意思決定の一助になれば幸いです。