カメレオンの眼*84

エレベーターで乗り合わせたのは、黒いTシャツ。私は背中と対面していた。
首元には「2001」の文字。瞬間、ひょっとして、と思う。その下で横並びになっている文字を目で追いかけながら、小さな決意も無しに、私は背中に声をかけていた。

2001年宇宙の旅。スタンリー・キューブリック。
未だキューブリック作品のうち「ロリータ」しか観たことがない。しかも集中力が途切れた状態で。「アイズ ワイド シャット」はサブスクで観ることができるらしい。そうだ、そういえば「シャイニング」は観た。
週末は映画を観よう。最近は全く観ていない。

横に視線を滑らせて確認した「a space odyssey」で、私は反射的に声をかけた。
映画名を口にしようとして「にせんいちねんう」、その後の「宇宙の旅」で声が二重になったのを驚き、そして嬉しく思った。

映画が理由ではなく、デザインに惹かれたという彼。
その背中を見せてくれてありがとう、

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