パキスタン軍のミリ飯
戦闘糧食、レーション、最近ではミリ飯とも呼ばれる、兵士が食べる食糧を紹介します。パキスタン軍に支給される食糧は、厳しい状況でも兵士が健康で任務を遂行できるよう、兵士に必要な栄養とエネルギーを満たすように設計されています。これらの食糧は通常、駐屯地で食べる駐屯地糧食と、食事施設がない屋外で食べる野戦糧食に分かれています。
駐屯地糧食(Garrison ration)
駐屯地糧食は、駐屯地、基地食堂、キャンプで支給される糧食です。一般的な量に加えて、過酷な訓練や特殊任務に従事する隊員には必要カロリー分が補われます。パキスタン軍の一般的なミリ飯は以下の通りです。
朝食:オムレツ、パラタ(平らな揚げパン)、チャパティ(平らなパン)、チャイなど
軽食:サモサ(揚げ物)、パコラ(天ぷら)、チャイなど
昼食:ダール(豆カレー)、野菜カレー、肉料理、ロティ(パン)など
夕食:調理法が若干異なるものの昼食とよく似ています。付け合わせとしてヨーグルトやピクルスが付きます。特別な機会には、ビリヤニやプラオが提供されることもあります。
ダール(豆カレー)は、タンパク質含有量や栄養価が高いため効率的な食事
です。肉(鶏肉、羊肉、牛肉)を食べますが、イスラム教徒が多いため豚肉は提供されません。チャイは一般的な飲み物で、食事中または休憩中に提供されます。
野戦糧食(Field ration)
野戦糧食は、食事施設が利用できない場所、戦場や被災地での作戦行動中、または訓練中に栄養補給と生命維持を目的とした軍用糧食です。これらの食糧は持ち運び可能で、常温保存ができ、野外で簡単に食べられるように設計されています。MRE(Meals Reay to Eat)と呼ばれ、数種類の食糧がセットになっています。
MREは野外炊具や加熱剤を使用して温かい状態で喫食することも可能です。これらの開発には、栄養とエネルギー、腐敗防止、材料などが研究され、小麦粉や米、豆類、油/ギー、砂糖、全粉乳、肉、卵、野菜など最適な分量が定められています。一般的なMREの中身は以下の通りです。
・高エネルギービスケット
・缶詰または乾燥肉・野菜
・調理済みのレトルト食品(カレーなど)
・エネルギーバーまたはチョコレート
・お茶、コーヒー、電解質ミックスなどの粉末飲料
パキスタン軍のMRE製造施設は軍事施設内にあり、軍の許可がなければ見学や訪問は難しく、また、これらのMREは軍以外に小売販売はしていません。
パキスタンでは作り立ての新鮮な温かい食事が好まれるため、小規模な部隊でも専属料理人がいる野戦キッチンを備えています。MREは国境近くのカシミールの山岳地帯や、野戦キッチンを設置できない戦闘中の地域など、極端な状況でのみ使用されます。野戦キッチンは長距離牽引に耐えられるほど頑丈な 2 輪トレーラー上に構築されており、あらゆる天候や地形条件で 150 人分の食事を調理することができます。
文化的および宗教的考慮事項
パキスタン軍の大半はイスラム教徒であるため、提供される食事はハラール食の基準に準拠しています。つまり、肉はイスラムのガイドラインに従って調理されます。豚肉は厳格に避けられ、ラマダンなどの宗教的断食期間も尊重され、食事のタイミングや構成が調整されます。
栄養とバラエティ
パキスタン軍の食事は身体活動を維持し、十分な量のタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミンを含むバランスの取れた栄養を提供するよう開発されています。また、兵士の士気を高め、文化的および宗教的慣習に対応するよう豊富なメニューを提供し、パンジャーブ、シンド、カイバル・パクトゥンクワ、バロチスタンなどの州で異なる地域の味覚に対応するよう特別な配慮がなされています。