パキスタンのボディペイント
メヘンディ(Mehndi)はヘナとしても知られ、パキスタンの文化において、伝統的なお祝い行事からカジュアルなイベントまでにおいて重要な位置を占めています。メヘンディは皮膚に染みこませる赤い色をした植物性染料で、2週間ほどで自然に消えていくボディペイントです。
伝統的なお祝い行事
結婚式:メヘンディの行事はパキスタンの結婚式に欠かせないものです。この行事は結婚式の1~2日前に行われ、友人や兄弟が花嫁の周りに集まり、花嫁の手にヘナを塗り、歌ったり踊ったりします。多くの花嫁は、幸運、豊穣、繁栄を表す黄色のドレスを着ます。
イードのお祝い:イード(Eid)はイスラム教のお祭りのひとつです。イードの間、女性たちは自分の手をメヘンディで飾ります。チャンドラート(Chand Raat)と呼ばれるイードの前夜にメヘンディを施すのが一般的で、お祝いの気分を盛り上げます。※チャードは月、ラートは夜の意味です。
幸運の象徴:メヘンディは幸運と繁栄をもたらすと信じられています。メヘンディは幸運、愛、美しさを意味し、さまざまな場面で幸運の象徴に関連付けられています。
ファッショントレンド
デザイン:メヘンディのデザインは、複雑で繊細なデザインから、シンプルでワンポイント的なスタイルまでさまざまです。一般的には、花柄、ペイズリー、幾何学模様などが好まれます。伝統的なお祝い行事では、手や腕、足の甲の大部分を覆うことが多いのに対し、カジュアルな場面ではワンポイント的なものもあります。
素材:天然のメヘンディはヘナ植物の葉から作られた粉末ペーストです。より濃い色にするために、ユーカリやクローブオイルなどのエッセンシャルオイルを加える人もいます。最近では、アレルギー反応を避けるために、オーガニックで化学物質を含まないメヘンディも販売されています。
ブライダル:結婚式前に行われるメヘンディの儀式では、指先から肘まで、時には足まで覆うデザインが施されます。ブライダルデザインには、メヘンディの飾りの中には、新郎の名前やカップルのイニシャルが隠されていることもあります。
地域による違い:パキスタンでは地域によって、独自のメヘンディスタイルがあります。たとえば、シンド州やパンジャーブ州のメヘンディデザインには、地元の文化や伝統を反映した独特の特徴があります。
今どきな流行:伝統的なデザインは依然として人気がありますが、さまざまな文化の要素を取り入れた融合デザインを含む現代的なメヘンディが増えています。スパークル、グリッター、カラーメヘンディ、タトゥーっぽいメヘンディは、現代的なバリエーションのひとつです。
SNSの影響:メヘンディの話題は、アーティストや個人がメヘンディの作品を披露したり、メヘンディの塗り方などを教えたりするSNSによって拡散しています。インスタや Pinterest にはメヘンディの話題が満載で、最新のトレンドやテクニックを把握するのに役立ちます。
プロのメヘンディアーティスト
パキスタンには、ブライダルメヘンディなど各種イベントを専門とするプロのメヘンディアーティストが多数います。これらのアーティストは、個人の好みに合わせたカスタムデザインを作成するスキルがあり、メヘンディをさらにパーソナライズされた特別なものにします。
メヘンディペーストの施し方
伝統的なメヘンディペーストは自宅で作りますが、既製品をお店やオンラインでも購入することもできます。自宅でペーストを作るには重要なステップとコツが必要です。
自分で作る場合:ヘナパウダーの色は緑がかった茶色です。これに、レモン汁、砂糖、エッセンシャルオイル、水を混ぜていきます。ペーストを混ぜたら、ラップで包み6時間以上じっくり寝かせる時間が必要です。準備したヘナペーストは、密閉容器またはプラスチックコーンに入れて保管します。数日以内に使用する予定の場合は冷蔵し、長期間保管する場合は冷凍します。
塗り方:メヘンディを塗る前に、肌が清潔で、油分やローションが付いていないことが重要です。先のとがったコーンを使い、手や腕にペーストを慎重に塗っていきます。塗り終わった後は、ペーストが完全に乾くまで数時間放置します。暑く乾燥している天気では20分ほどで乾きますが、そうではない時期には6時間以上放置しておくと、肌に濃く染みこみ、綺麗に仕上がります。ペーストが乾いたら、水は使わず、優しく手でこすり落とします。
施したヘナを剥がした直後は、ヘナの色はオレンジ色から赤色で、時間が経つにつれ酸化していき徐々に暗い色になります。最終的には赤茶色になり、塗布したヘナペーストの品質、および身体に塗布した箇所に応じて2週間ほど持続します。
まとめ
メヘンディは時間とともに進化し続け、伝統的な慣習と現代のトレンドを融合していますが、パキスタンでは今でも大切にされている伝統的で文化的な美の表現方法です。