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パキスタンの大正琴
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パキスタンにはベンジュ(Benju)と呼ばれる撥弦楽器があります。ベンジュは弦と鍵盤の両方を備えた長さ 1 メートルの楽器で、バローチ音楽において欠かせない楽器です。ベンジュは、日本の純和楽器である大正琴から派生したとも言われ、ドイツのアコルドリア、スウェーデンのニッケルハルパにも例えられます。現在はバローチスターンの民族楽器として知られています。
今年の初夏、パキスタンのベンジュ奏者のヌール・バクシュ(Noor Bakhsh)とダンブラ奏者のドシャンベイ(Doshambay)の、ヨーロッパ25都市で公演する欧州ツアーが計画されました。
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この二人がパキスタン国外で演奏するのは今回の欧州ツアーが初めてで、北欧最大の野外音楽フェスであるデンマークのロスキレ・フェスティバルを始め、アムステルダムやブダペストなどの音楽祭に、二人はバローチスターンを代表してヨーロッパ各地を訪れました。
ベンジュ奏者のヌール・バクシュはバローチスターン州の小さな村に住んでいました。2018年、ヌールの家に頻繁に訪れる鳥、ジングル(スズメ)の調べを演奏しているビデオが、偶然にも現在のマネージャーに見いだされ、これをきっかけに彼の名が世に知れ渡るようになりました。そして、コロナパンデミックの混乱を経て、2022年、ヌールのファーストアルバム『ジングル』がリリースされることになりました。
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ヌールとドシャンベイは、イスラマバードやラホールでの公演に正式に招待されてすらいないのに、生まれて初めてパスポートとビザを取得し、初めて飛行機に乗り、ヨーロッパで25公演を行うことになりました。
大きな野外音楽フェスやイベントに加え、ヨーロッパの街並みでもライブ演奏しました。ベンジュの美しい演奏が始まると瞬く間に大きな人だかりができ、見ている人たちはリズムにのって自然に踊りだしました。音楽ほど人々の心を惹きつけるものはありません。パキスタンの小さな村の音楽が、国境を越え、世界をつないだ瞬間となりました。
画像はDAWN、Express Tribuneより