ウルドゥー語話者の人口
ウルドゥー語を「第一言語」とする人は世界中に約1億人いると言われています。ウルドゥー語は主にパキスタンで話されており、パキスタンでは「国語」として、隣国のインドでは、憲法で定められた22の指定言語のひとつなっています。ウルドゥー語は、インド・ヨーロッパ語族(印欧語族)インド語派に属し、インドからヨーロッパにかけた地域に由来するすべての印欧語は共通の祖先にあたる言語を持っていると考えられています。
ウルドゥー語は日本語のように、主語・目的語・動詞の語順が優勢なSOV型で、語順も原則「いつ」→「どこで」→「誰が」→「誰に」→「何を」→「した」と並ぶため、英語を話すときのように頭の中でひっくり返す必要はほぼありません。ですので、日本語話者にとってウルドゥー語の会話を学ぶのはそれほど難しくはないですが、アラビア文字・ペルシア文字を使うウルドゥー語の読み書きを学ぶほうが難しいかもしれません。
ウルドゥー語は、インドの公用語であるヒンディー語と同系の言語であり、両者ともヒンドゥスターニー語デリー方言に属します。ウルドゥー語とヒンディー語でそれぞれ使う文字は異なりますが、会話レベルでは相互理解が可能な言語です。このふたつを合わせると、ヒンドゥスターニー語は世界で最も話者数が多い言語のひとつとなり、世界2位または3位にランクすると言われています。
ウルドゥー語の話者
パキスタン:パキスタンはウルドゥー語を国語としていますが、ウルドゥー語を第一言語とするのは全人口の1割未満です。ウルドゥー語は国語として、パキスタン国内の共通語として、文化的および国家的アイデンティティの重要な部分となっています。
インド:ウルドゥー語を第一言語として話す話者の8割はインドに分布しているとされています。特にウッタルプラデーシュ州、ビハール州、テランガーナ州、西ベンガル州などの州では、ウルドゥー語を話す人口が多くいます。
中東諸国:サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールなどの国には南アジアからの移住者が多いため、これらの地域ではウルドゥー語が日常的に話されています。
西洋諸国:英国、米国、カナダ、オーストラリアには、パキスタンやインドからの移住者が多いため、これらの地域ではウルドゥー語話者のコミュニティがあります。
パキスタン国外でのウルドゥー語の学習
教育機関:英国、米国、カナダ、オーストラリアなどでは、大学や語学学校にて、南アジア研究や語学プログラムの一環として、ウルドゥー語を学ぶ課程が開講されています。日本では、東京外国語大学、大阪大学(大阪外国語大学)、大東文化大学でウルドゥー語を勉強することができます。
オンライン学習:多言語が学べるオンラインやアプリでは、世界中の視聴者に対応するウルドゥー語のコースが無料または低価格で開講されています。
地域の公民館:南アジアのコミュニティ活動が盛んな国や地域では、公民館や文化センターで、子供や大人向けにウルドゥー語のコースが開講されています。
メディアとエンターテイメント
テレビやラジオ:ウルドゥー語を扱うテレビ番組やラジオ番組は、衛星放送やインターネットを通して世界中で視聴可能になり、ウルドゥー語を勉強するのに役立ちます。
映画や音楽:ボリウッドやロリウッドの映画、音楽は、ウルドゥー語を世界中に広める上で重要な役割を果たしています。
宗教教育:ウルドゥー語を学ぶことは、イスラムの文献にアクセスし、宗教的慣習をよりよく理解するための手段でもあります。これは、イスラム教に関する教科書や経典がウルドゥー語で入手できるためです。
まとめ
教育機関、コミュニティでの取り組み、メディアなどの組み合わせが、パキスタン国外でのウルドゥー語の学習と普及に貢献しています。