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長期作用型HIV治療薬を開発へ

英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は9月28日に塩野義製薬と長期作用型のエイズウイルス(HIV)治療薬を共同開発する提携を発表した。開発は、塩野義と米ファイザーが資本参加するGSK傘下のViiVヘルスケアと塩野義が共同で行う。HIVが細胞内で増える際に必要な酵素の働きを妨げる研究用試薬「S-365598」を開発する。GSKは新薬開発によって、抗HIV薬として最も一般的に使われている米ギリアド・サイエンシズの毎日服用型の経口剤「ツルバダ」の牙城に切り込みたい考え。

HIVとは

HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守るのに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルス。日本では2019年までにHIV感染者21,739件、エイズ患者9,646件、合わせて31,385件の報告があり、減少傾向となっている。全世界で3,800万人がHIVに感染しており、1年間で170万人が新たに感染したと推測されている。

治療法

1983年にアメリカで発見され、1985年に日本で感染が発覚した。当時は不治の病と言われ、数年で死ぬと言われていた。しかし医療と科学の革命によって完治はできないものの、寿命を大きく延ばすことに成功している。抗HIV薬によってウイルスの増殖を抑え、エイズの発症を防ぐことで、長期間にわたり健常時と変わらない日常生活を送ることができ、HIVを持っていない人と変わらないくらいの寿命が期待できる。抗HIV薬は、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラ―ゼ阻害剤および侵入阻害剤などさまざまな種類があり、これらを3剤以上併用して服薬する。抗HIV薬はきちんと飲み続けないと、HIVが薬に対して耐性を獲得してしまい、薬が効かなくなってしまうため、永続的に投与が必要になる。2019年では全HIV陽性者のうち2,540万人が抗HIV治療を受けており、年間死亡者数は最も多かった2004年の170万人から、2019年の69万人と約60%減少している。


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