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お気に入りのクリスマス映画10選

ひとりで観てもみんなで観ても楽しい、好きなクリスマス映画の紹介。


トムとジェリーより『メリー・クリスマス』(1941)

クリスマス・イブの夜。
ジェリーの巣穴の前にはネズミ捕りが置かれている。
軽々とネズミ捕りを避けてから、いつものように遊びまわるジェリー。
部屋はクリスマスの飾りで彩られている。
はしゃぐジェリーは眠っていたトムを起こしてしまい……

オチが最高でトムの優しさが沁みる回。
もしかしたら第一次大戦中に起きた「クリスマス休戦」を基にしているのかもしれない。


ピーナッツより『チャーリー・ブラウンのクリスマス』(1965)

クリスマスだからって何も楽しいことなんてない、商業主義の成れの果てだと拗ねていたチャーリー・ブラウンが、クリスマス劇の監督を務めることになり……

ライナスがクリスマスの歴史をひとり舞台の上で語るシーンはとても美しく詩的である。
誰かのささやかな想いと優しさが誰かに伝わり波及していく。
それが、彼らが見つけた本当のクリスマスだった。
モダン・ジャズを使ったサントラは、クリスマスシーズンに家でかけるのにぴったり。


トワイライト・ゾーンより『弱き者たちの聖夜』(1960)

世にも奇妙な物語の元ネタと言われるアメリカのドラマシリーズ、トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)の中の一編。
クリスマスシーズン、デパートでサンタ役として働くひとりの男。
男はアルコール依存で身も心もぼろぼろ。
彼は貧しい子供達にプレゼントを与えることが夢だったが、今の自分では叶わない。
そんな時、路上にひとつの大きな袋が落ちていて……

どんな宗教を信じていてもいなくても、恋人や家族がいてもいなくても、クリスマスという日はいつもより少しだけ誰かに優しくありたい日、貰うのではなく与える日なのだということ教えてくれる、たった30分ほどの物語だが胸を打つ名作。


『エルフ〜サンタの国からやってきた〜』(2003)

サンタクロースの袋にうっかり紛れ込んでしまい、孤児院からエルフの国に行ってしまった人間の赤ちゃん。
彼は成人し、ニューヨークに実の父親が住んでいることを知り、一目会いに行こうとエルフの国から大都会に旅に出るが……

人気コメディアンのウィル・フェレル演じる純粋でとぼけたエルフが愛おしい。
人々がサンタクロースを信じ、クリスマスを祝う気持ちが少なくなったことでとあるピンチに追いやられるが、その解決策が感動的。
今年亡くなったジェームズ・カーンの追悼にも。
彼が『ゴッドファーザー』『ミザリー』だけでない、多くの作品に魅力を添える俳優だったのだと改めて思い知らされる。


『ラスト・クリスマス』(2019)

ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。
彼女は仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。
ある時、ケイトは不思議な青年・トムと出会う。
彼は時折彼女の目の前に現れては彼女を助け、困っていることへのアドバイスをしてくれる。
ケイトは次第にトムに惹かれていくが……

ワム!の名曲『ラスト・クリスマス』の映画化…って、歌詞をそう解釈したか!と、観終わってみれば驚きのクリスマス・ラブコメ映画。
ラブコメなのにやたらと「ネタバレ禁止」と言われていたことも納得。
主人公のラブコメヒロインとは思えない序盤の乱れっぷりが面白く、歳を重ねた大人同士の一目惚れシーンが素敵に描かれているのも魅力。
ラストのカメオ出演も嬉しい。
つらい時も、上を見よう。


『素晴らしき哉、人生!』(1946)

クリスマス・イブの夜、住宅金融会社を経営しているジョージは人生の度重なる不運に絶望していた。
自分なんかいない方がいい、その方が周りの人間も幸せだっただろう。そう考えた彼は川へ向かい飛び込もうと考える。
しかし、そこでとある老人と出会う。
老人は「では、君が存在しなかった世界を見せよう」と言い……

アメリカでは定番のクリスマス映画で、毎年のようにテレビで放映される映画らしい。
公開当時はそれほどヒットしなかったそうだが、じわじわと人気を伸ばし今となっては世界中で愛されるクリスマス映画になっている、というのもこの物語らしさがある。
愛と希望に満ちた人間賛歌。
幸せはいつもそこに。


『三十四丁目の奇跡』(1947)

メイシーズデパートのクリスマスイベントのため、サンタクロースの役で雇われることになったサンタクロース。
役を上手くこなすことに皆は感心するが、彼が本物だということはなかなか信じてもらえず、虚言癖の老人だと思われてしまう。
ついには「彼は本物のサンタクロースなのか」を法廷で争うことになってしまい……

クリスマス映画×法廷劇という異色な作品だが、老人をきっかけに登場人物たちが少しずつ変わり始め、ついにはクリスマスの奇跡が訪れる。
メイシーズデパートの、クリスマスプレゼントを買わせるあの仕組みは上手くできてて笑える。
彼が本物のサンタクロースだと法廷で証明したその方法とは。


『ホリデイ』(2007)

ロサンゼルスで映画予告制作会社に勤めるアマンダと、ロンドンで新聞社に勤めるアイリス。
ともに失恋したばかりの2人の女性が、互いの家や車を交換して休暇を過ごす「ホーム・エクスチェンジ」を行う。
いつもの自分とは異なる環境で、2人はそれぞれ運命的な出会いをし……

スター4人が結集したクリスマス・ラブコメ。
描かれるささやかで愛おしいエピソードと、印象的ではっとするような台詞が感動的。
ハンス・ジマーが手がける音楽もここぞという時に物語を盛り上げる。
大切な人に愛を伝えたくなる。「明日からも頑張ろう」と前向きになれる。
ベタだけどそれがラブコメの醍醐味。
『マイ・インターン』(2015)といい、ナンシー・マイヤーズ監督作はどれも優しくてあたたかい。


『めぐり逢えたら』(1993)

妻が病気で先立ち、孤独を抱えながらシアトルで息子と暮らしている建築家のサム。
サムを励ますため、息子は「パパの新しい奥さんを探しています」と、クリスマスの夜にラジオへ投稿する。
そんな切実なメッセージを何気なくつけたラジオで聞き、心打たれた女性がいた。
彼女はシアトルとは真反対のボルチモアで新聞記者をしているアニー。
遠く離れた2人の運命が動き出し……

父を思う子心が可愛くて、ほとんどこの息子の行動力で物語が動いていくのが面白い。
主演のトム・ハンクスとメグ・ライアンはこの後にも同じく恋愛ものの『ユー・ガット・メール』で共演する仲。
すれ違いを重ねる2人が、まさに「めぐり逢う」までの物語。
運命というものを信じたくなる。


『戦場のメリークリスマス』(1983)

1942年、戦時中のジャワ島。
日本軍の俘虜収容所で起きたとある事件をきっかけに、粗暴な日本軍軍曹ハラと温厚なイギリス人捕虜のロレンスは事件処理に奔走している。
一方、厳格な陸軍大尉のヨノイは、収容所に連行されてきたイギリス人俘虜のセリアズを預かることになる。
ヨノイはセリアズの反抗的な態度に悩まされるが、彼の美しさに次第に心を奪われていく……

ビートたけし、デビッド・ボウイ、坂本龍一という本業が俳優ではない3人がキャスティングされた、戦闘シーンのない戦争映画。
それぞれが演技未経験とは思えないほど上手い、というわけでは決して無いのだが、彼等でなければ出せなかった雰囲気や魅力があるだろう。
映画の内容よりあまりにも有名な主題歌『戦場のメリークリスマス』はピアノよりこの映画で流れるオリジナルのシンセサイザー版の方が好き。
この物語に出てくる全ての人が、時代が生んだ被害者である。
ラストシーンは、例え忘れたいと思ったとしても忘れられない。


個人的な好みで10作品だけに絞って書いてみたが、クリスマス映画は他にもたくさんある。
クリスマスというのは誰かの幸せを願ってみたり、ささやかな善行をしてみたり、いつもより美味しいものをたくさん食べてみたり、自分自身を称えてみたり、ひとりひとりにとって良き1日になればそれで良いのだ。

よく「日本は宗教があまり浸透していないのにクリスマスだけは楽しんでいる、商売に乗せられている」という話があるが、意外とハリウッド映画を観ていても登場人物が普通に「私は宗教とか何も信じていないけど、クリスマスは楽しんだもん勝ちだよね」と言っていたりするので、わりと皆そういうものなのかもしれない。


ここで紹介した映画も約2本含まれるが、ラストに登場人物が笑顔で「メリークリスマス!」と言っているのを見ると、なんとなく良いもの見たなという気持ちにさせられる。

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