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クローン病における宿主と病原体の相互作用
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出版:2024年10月24日
クローン病における宿主と病原体の相互作用
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ネイチャーレビュー消化器肝臓病学(2024)この記事を引用する
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概要
哺乳類の腸内には、腸内細菌叢と総称される数兆個もの微生物が共生している。共生生物の大部分は宿主と共進化し、双方に利益をもたらす相互主義的な関係を築いている。炎症性腸疾患の一種であるクローン病のような特定の条件下では、一部の共生生物は遺伝的に感受性の高い宿主に病気を引き起こす。クローン病における病気の原因となる微生物や共生細菌の正体や機能については不明な点が多いが、クローン病に似た大腸炎を引き起こす共生細菌は、特定のニッチに生息し、腸組織に侵入して炎症を引き起こすことが、動物モデルから得られた証拠から示唆されている。本総説では、腸内共生細菌が占める明確なニッチと、クローン病を誘発する病原体が粘液層や腸上皮付近に生息しているという証拠について述べる。また、宿主のクローン病関連変異が、腸組織への病原体の侵入と蓄積を促進することによって、腸の恒常性をどのように乱すかについても述べる。最後に、クローン病治療の精密治療戦略における微生物学的介入の役割の可能性について論じる。
要点
微生物の代謝と結びついた腸内のユニークな微小環境と栄養資源が、消化管に沿った微生物組成のばらつきの主な原因である。
クローン病関連遺伝子の変異は、腸管粘膜における細菌共生体の侵入と存在を制限する宿主のメカニズムをしばしば破壊し、疾患発症における宿主-微生物相互作用の重要性を強調している。
腸内細菌科の細菌を含む特定の細菌の増加がクローン病の一般的な特徴であるが、この変化が炎症を引き起こすのか、それとも単に炎症による二次的な細菌の増加を示すのかは不明である。
粘液層における病原菌の存在、あるいは粘膜表面から微生物を隔離する宿主防御因子の破壊は、T細胞を介する腸炎症の引き金として重要であると思われる。
粘液層に生息する病原細菌の代謝機能は、大腸形成活性に重要であり、食事によって標的とすることができる。
病原細菌の除去や重要な微生物経路の阻害など、病原細菌を標的とする精密戦略は、臨床転帰を改善することが期待される。