『適材適所』から観る古葉竹織監督の試合観

今、YouTubeで、過去に活躍されたプロ野球のOBの方々のチャンネルが数多く開設されている。

昭和のプロ野球の当時のチーム内部のお話や、ライバル同士の知られざる逸話、今では殆ど観られなくなってしまった乱闘や死球の応酬などなど…

話の節々から当時の熱気が伝わってきて、視聴している側も、時間を忘れて、グラウンドで当時の彼らの勇姿を観ているようで、思わず、気持ちが高揚してくる。

その中でも、私が、毎日更新を楽しみにしているチャンネルが、

元広島・ロッテ・阪神で活躍された高橋慶彦氏の『よしひこチャンネル』である。

高橋氏が現役生活を送っていた1970年代後半から1990年代前半のプロ野球に最も興味がある私は、

当時、現役選手だったゲストのお話や高橋氏とのやり取りを聴くのが、仕事が終わり、帰路に着いた後の毎日の楽しみである。

『よしひこチャンネル』を定期的に視聴するようになってから、2年ほどが経った。

その中で、私がとりわけ印象に残っているのが、

高橋氏が時折話される

1975年から85年までの10年間指揮を取った古葉竹織監督の戦略、戦術である。

『適材適所』という言葉があるが、

正に、古葉監督の戦略は、試合の流れを見極めながら、それぞれの持ち味を発揮出来る場面で、選手を使っていた。

高橋氏によれば、当時のカープの選手達に古葉監督はずっと同じことを言い続けていたとの事で、

そのうち、選手達は、各イニングや点差などで、

守っていながら、ここは勝負所だとか、ここは歩かせてもいいなとか、

各自で状況判断が出来るようになり、古葉監督の試合観を共有しながら、動いていたそう。

選手が、古葉監督の考えている事が分かるようになったことで、

スタメンで出場していない選手達も、

監督やコーチに何も言われなくても、

試合の流れを読みながら、自ずと試合に出る準備をしていたという。

自分達のやる事が明確な上で、代打や代走、守備固めに入るため、

プラスアルファの面が出やすく、結果も出やすい。

当然の如く、選手達が試合に臨むモチベーションは高まっていく。

1970年代後半から1980年代にかけて、カープが強かった背景には、

ドラフト制度により、資金力の乏しかったカープにも有望選手が入ってくるようになったこと。

FAが無い時代であったので、メンバーを固定しながら戦えたこと。

戦力に余裕が生まれたことで、新人選手達を積極的に使いながら育てる事が出来たこともあるが、

大局で観るならば、

古葉監督が試合の流れを見極めながら、場面に応じて、個々の能力を生かしながら、起用し続けたことで、監督、各コーチ、選手達が試合観を自ずと共有していたことが特に大きいだろう。

打撃陣の中心に、

山本浩二、衣笠祥雄という両雄がいて、

北別府学、大野豊、川口和久、津田恒実ら強力な投手陣をバックに一時代を築いた広島東洋カープ。

最後の日本一から40年が経ち、リーグ優勝も2018年以降遠ざかっている。

選手達がFA宣言で他球団に移籍したり、メジャーリーグに容易に挑戦出来るようになった今では、

古葉監督のように、長い期間、選手に教育を施しながら、試合観を共有しながら戦い続けることは難しいかもしれないが、

『適材適所』で人を使い、常勝軍団を築いたカープの記憶を現代のプロ野球ファンにも是非知ってもらいたいものである。

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