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解釈違いすぎた『ラブ・ネバー・ダイ』の観劇感想

初めて『ラブ・ネバー・ダイ』を観劇してきました。「アンドリュー・ロイド・ウェバーの二次創作みたいなもん」という触れ込みだけ友達に聞いていて、どういう内容かは慎重にネタバレを避けたうえで観劇。音源にも触れず、ド初見だったので「とんでもねえええ解釈違い!!」と憤った勢いのままに感想を書き進めていきます..。この気持ちは書かないと成仏させられないと思って、noteのアカウントまで作っちゃったよ…。

なので、注意喚起として…

わたしは劇団四季『オペラ座の怪人』をきっかけに観劇沼にすごい勢いで落ちていったので『オペラ座の怪人』への思い入れが強いです。なんちゅー未来や!?という混乱をモチベーションに書いている感想なので、解釈違いの解釈違いが発生する可能性があります。何卒よろしくお願いします。

【履修済み】
・劇団四季『オペラ座の怪人』
・ガストン・ルルー原作小説『オペラ座の怪人』
・映画『オペラ座の怪人』(2004年)

それではネタバレ感想、いきます。




わたしはふたりにプラトニックな関係を求めてしまっていたんや


子ども!?!?!?!? え!?!?!? 子ども!?!?!?

というのが、一幕終わりにわたしの頭を駆け巡っていた単語です。10年後のクリスティーヌとラウルの間に子どもができたんやな〜と思ってたら、だんだん雲行きが怪しくなっていき、まさか…と思っていたら、クリスティーヌがファントムの子どもだと暴露。え!?!? 子ども!?!? ふたり、いつの間に交わったの!?!?

『オペラ座の怪人』のラストは、クリスティーヌからの慈しむようなキスを受けたファントムが放心して終わりを迎えます。いちばん欲しかったクリスからの愛情のはずやのに、こんなはずではなかったという彼の混乱がみて取れるシーンで、いつみても胸をぎゅううううと締め付けられます。

それにクリスティーヌに触れるのもやっとだったファントムが、クリスティーヌと交われるわけないやろう!?!?!?!という、感情が爆起こりました。

しかも、クリスティーヌもファントムのことをずっと想っていたことを吐露します。あのとき死んだと思ったから、この子をラウルとの子として育てていたのに!といった具合。

わたし的に、クリスティーヌがファントムに向ける感情は、父を重ねている部分もありつつ、師匠として畏敬の念が混じり合っているもの。愛情という形にまで至っていなく、反対にまだ少女のクリスティーヌにとって、ファントムから向けられる愛情は怖いものであるはず。というか、未成年の少女が年の離れた成人男性に向ける愛情と思っているものは、すべて何かの感情の代替えやとさえ思っているわたしです。

あとALW、ラウルのこと嫌いすぎませんか!? ファントムの恋敵をもう擁護できないくらいのクズ男に成り下げていて、ラウルがかわいそうすぎた。すごく男性のご都合主義な解釈が混じってるな〜と感じました。

ファントムに報われてほしくない

舞台『オペラ座の怪人』の何がいいって、ファントムが絶対に報われないところなんです。若い娘に母親から受け取れなかった愛情を求めて、拒絶されて、惨めにおいおいと泣くファントムが好きなんです。報われないから、彼は素晴らしい音楽を作ることができるんです。そんなファントムには、マジで報われてほしくない。

クリティーヌもほんまは自分のことを愛していたんや!と喜びを感じてほしくないし、子どもに対しても希望を持ってほしくない。めちゃくちゃひどいことを言っているが、わたしにとってのファントムはそういう存在。

子どものことをすんなり受け入れているファントムも解せない。母親からの愛情を受けられずに拗らせてしまったファントムが、果たして自分の子どもを愛せるだろうか? どちらかというと関わりたくない、恐怖の対象になりそうなものやのに。

あと最後、子どもがメグちゃんに連れて行かれたときに、冷静にメグちゃんを諭そうとしてたけど、10年前にあなたがオペラ座で起こした惨事のこと忘れてませんからね!?ブーケとピアンジにも大切な人がいましたからね!?という気持ちになっちゃったな…。

まともなフリをしても、あなたの狂った行いは一生消えない。(突然の怒り)

メグちゃんを救いたい委員会

いちばん、キャラとして崩壊させられていたのは(ラウルもよっぽどだが)メグ・ジリー。ファントムの10年間の隠れ蓑として、母であるマダム・ジリーとサーカス劇場みたいなものを運営していて、メグはそこで主役張って公演してるんですね。公演が終わったあとに「あの人もみてくれたかな」と照れながらいうので、誰か好きな人でもおるんか???と思っていたら、まさかのファントムのことでした。

健気に気丈に振る舞うメグちゃんから、クリスティーヌがファントムに認められたように、わたしもファントムに認められたいという思いがひしひしと伝わってきます。なんだか痛々しい気持ちになっちゃったよ…。

オペラ座の怪人を観ていて、少し頭をかすめる「いうてメグちゃん、クリスティーヌに嫉妬してんちゃうん?」という邪な考えが、舞台上で具現化されていて辛い。でもメグちゃん、わたしは知ってるで…。クリスティーヌの成功をほんまに心の底から喜んでたあんたを…。

最後もトチ狂ったメグちゃんが、悲惨な自分の10年間を語るねんけど、マダム・ジリーもその場におり、我が娘の傷ついた姿に悲嘆に暮れていてほんま悲しかったです。のちのメグちゃんが他人の尺度で自分を測らず、ちゃんと自分で自分の幸せを見つけられてたらいいな。

クリスティーヌしか眼中にないファントムはマジでファントムやけど、メグちゃんが不憫すぎました。

唯一の解釈一致がマダム・ジリー

メグもメグなら、マダム・ジリーもファントムに心酔してるんやけど、ここだけは解釈一致でした。舞台『オペラ座の怪人』を観てても、ファントムとマダム・ジリーは過去に絶対なんか特別なことがあったやろう!?と思っていたし、映画『オペラ座の怪人』でファントムを見せもの小屋から脱出させるエピソードを見てなるほどと思った。明らかにファントムの肩を持っているマダム・ジリーはファントムに特別な感情を持っているなと感じていた。

だから10年尽くすのもわかるし、ファントムが子どもにすべてを捧げると言ったときにブチギレるのもわかる。ここだけはALWと握手できる🤝

ファントムとラウルの勝負、まじ茶番では?

ラウルの借金返済のためにアメリカに歌いにきたクリスティーヌやったけど、ファントムの罠にまんまとハマってファントムのシマであるサーカス劇場で歌うことに。しかもまたもやファントムが書き下ろした歌を。細かいところは忘れたけど、クリスティーヌが歌を歌ってファントムに心を持っていかれたら、ファントムの勝ち。歌ってもラウルに戻って言ったらラウルの勝ちって男の約束を交わしてたんやけど、クリスティーヌが登場の時点でファントムからもらったネックレスをつけてて、もうすでに勝負あったやん!?となった。

しかしファントムさん、『Point of no return』もそうやけど、自分がクリスティーヌに言って欲しい言葉をクリスティーヌに歌わすのを生きがいとしすぎ。でもそれで彼のクリエイションが爆発しているからええんやけど、才能を私利私欲に使いすぎて笑う。でもそれがファントムの生きがいやし、ちゃんとクリスティーヌに歌わすことに成功してるし、いちばんの幸せもんはあんたやで。でもそろそろいい加減にしときや!

でも音楽と舞台美術とか素晴らしい

と、ここまで散々好き勝手書いてきましたが、いうてもALWの音楽は素晴らしい。ときどき『オペラ座の怪人』の旋律が流れてくるのでブチ上がるし、舞台装置はずうううううっと回転してるな〜くらいの動きようで、とても豪華。衣装や美術も可愛い。あとグッズも可愛くてハンカチ買っちゃった。今回は内容についての言及なので個別に触れないけど、キャスト陣の歌唱ももちろん素晴らしい。友達も言っていたが、『オペラ座の怪人』と切り離して考えると、ミュージカルとして十分に楽しめる作品です。

でもな!?『オペラ座の怪人』の続編としては、絶対に認めへんからな!?(お前誰?)

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