舞台のアンケート

舞台の公演アンケート
当日パンフレット等に挟まれていたり、フォームでお願いします。というものですが、金銭的な価値があるかと言うと0円。アンケート回収率を上げてその公演が黒字になることはまずないでしょう。

ですが、そのアンケートや感想から次回公演までの戦略や足りていないところを補うサービス向上に繋げることができます。また、お客様の生の声は当然ながら客観的な声として拾えます。これは私も塾の先生時代にありました。

つまりは、即金ではないですし定量的ではありませんが、価値のある財産となるもの。それがアンケートです。
ただ、やはり「売上」には直接繋がらないのでどうしてもコストはかけられない。かといって蔑ろにするわけにもいかない。大変難しいものです。

なので、可能な限り「工夫」をすることで少しでも安く、効果的に回収することが求められるのかなと思いました。


なぜ提出しないのか

原因を色々考えます。「書く価値すらない」なんて野暮ったいことは置いておきましょう。

おそらく「時間が無い」に集約されるでしょう。
・書く内容(感想)が多い
・退館時間までが短い
・途中まで書いたものを提出するのは忍びない
・人物名や役者さん名を照らし合わせる時間がない
・シンプルに思い出せない(思いつかない)

これを踏まえて「面倒」という気持ちも生まれてくるのでしょう。

劇場でもらうアンケートのメリット

正直なところ「書きたいことがある人は書くだろう」というスタイルなら、アンケートはwebのフォームでいいわけです。また、コロナ禍では可能な限り接触を減らすという観点ではそれは理にかなっていました。

ですがアンケートの集計は可能な限り偏らないことが鉄則です。書きたい人「だけ」のアンケートよりはやはり、そこまでの熱がない人の結果も欲しいです。コロナ禍は社会情勢を省みて折り合いをつけましたが今はそうでもないです。

なので紙ベース、紙でなくても劇場でのお客さんの反応は偏りを減らす為にも必要だと思います。特に、「わざわざ時間がかかるアンケートは書かない」人からは意外な意見も貰えるかもしれません。逆に言えば、わざわざ家で時間をとって長文書く人は(感謝こそ最大限ですが)工夫云々ではないとも言えます。

ただでさえ村社会的な雰囲気が強い演劇界。アンケートまで排他的にする必要はないですし、やっぱり新規の人がどれだけ来て継続するかがコンテンツを維持するために必要

劇場でアンケート(リアクション)を貰うために

・クローズドクエスチョンにする

・長くなりそうな「感想」はXに書いてもらい、アンケートに限定する

・配役と役者(ビジュアル)をアンケートに載せて「よかった人に〇」とする。
わざわざ調べるならアンケートに載せるのも手。
文字よりも写真を載せることで、フォームでは出来ないことも…

・紙に書かないアンケート
後述。

もちろん沢山情報がある方がよいですが、やはり面倒だから0となるようなアンケートは避けたい。

紙に書かないアンケート

・投票形式
チケットの半券、アンケートの切れっ端を投票箱に入れて貰うだけ。○○派はA、××派はBへ!とかならとりあえずそれだけでもやろうとする人はいます

・回収係を上手く使う
「○○派の人は赤いTシャツのスタッフにお渡しください!」などのようにすると、スタッフとお客さんのコミュニケーションの場所の捻出になります。「何も書かなくてもいいです!渡してくれれば嬉しい!」だけでもハードルは一気に下がりますよね。

・「映えスポット」を作る
どストレートに「この作品が良かったら、このポスターを写真に撮ってツイート」とする。
言葉ではなく写真の方が短時間で伝わる情報量が多くリアクションが多いことがあり、「ツイートを見て欲しい派」の人との相性は良いです。

あくまでも一例ですが、淡々とアンケートを回収するよりはこんなエンタメ的な楽しさを作ってもいいかもしれないですね。
もちろん、作風にもよりますが。

紙のアンケートで出来ること

アンケートの回収率を上げる。ということに絞って効率重視で書きましたが、実際はじっくり書いたアンケートも欲しいとは思います。退館時間までを計算したり、アフターイベントまでの空白で「今のうちにアンケートをお書きください」みたいなこともできます。

あと、紙のアンケートは「客」という漠然とした存在を「個人」に変えます。どんなお客さんが、どんな気持ちになったのかが筆跡や言葉から伝わります。涙が落ちた形跡があるアンケートなどは、宝物と言えるでしょう。

加えて、劇場という「非現実空間」だから出来ることもあります。まあそういう場の方が財布の紐が緩みやすいのですが、500円とかで「主宰からメッセージが返ってきます」のような仕組み。

コピー代と郵送費、時間を考えたらそこまでの黒になりませんが、そういうサービスは「団体のファン」を可視化すると思います。
キャストだと需要が爆発しちゃいますし、お手紙系の返礼品は控えてる方もいるので…
人によってボリュームが変わることを懸念するなら「200字程度」などとすればいいでしょう。

こんな感じで、形骸化しているアンケートに少しでも工夫をしたり「楽しさ」や「エンタメ感」があると「演劇」の楽しさが広まるかもしれませんね。

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