裏を描く #裏白雪姫物語2023 ぱすてるからっと
ぱすてるからっとさんの #裏白雪姫物語2023 白チームを観劇しました。現場まで行く今年最後の観劇予定です。
あらすじ
今年に入り、3作目のぱすてるからっとさんの公演となりますが今回はコメディを全面に打ち出しているとのこと。とはいえ、ある程度のストーリーの進み方や落とし方は流石に演劇なので。という部分はありました。明確に違う部分としては、コミックリリーフの王様や王子が完全にその役を全うしていたこと。ハイホーたちも何人かは同じポジションでした。この点については後述。
ただ、個人的には誰を軸にして観ればいいのかはを初見で掴むのはちょっと難しかった。福子(マッチ売りの少女)、白雪姫のW主演とピーターパンが多分軸にストーリーになると思うのですがぱすてるからっとさん特有の皆見せ場であり、あまり表にバックボーンを見せない部分もありなので。ということで、自分なりに解釈と考察なんぞも加えてみつつ。
多分ピーターパンはAB型
物語の動くトリガーとしては、八女がハイホー達から離れて国を作ったこと。その根底にあるのが「ダサいことをしたくない」という気持ちだったのでしょうか。だから「子供だけの不老の国」などというぶっ飛んだ国を作ってしまったのでしょうし、グリム兄弟におとぎ話のクロスオーバーを持ちかけたりしたのだと思います。多分この発想の出し方はAB型なんだと思います。知らんけど。ただ、せっかくそういったバックボーンがあるならもっとそっちに寄せる感じのシーンがあっで良かったかな?ただのメタ発言じゃなくて、テレビ東京やパリコレが好きとか。そうしたら何も知らずに笑いつつも「えーこれ伏線だったの?」ともなるし、裏白雪姫物語ならではのピーターパン像だったかなー。何か裏がありそうでも、結局は「ダサいのが嫌」っていう可愛い感じの理由で離れた訳だし。
という訳で、ピーターパンが軸として考えると、ダサいのは嫌だから混ぜるな危険を混ぜてみたら面白いことが起こるんじゃないか。というきっかけから物語が動く。それが回り回って、ネバーランドという偶像を失い元の鞘に戻ることとなる。というストーリーだったのかな。
混ぜるな危険
ではそのピーターパンのぶっ飛び発想とグリム兄弟の背に腹はかえられぬ勢いで混ぜ混ぜされた白雪姫とマッチ売りの少女(福子)のストーリー。2人の女性(少女ではない?)の友情が軸の部分をフォーカスすると、共通点は2人とも「同世代の女子」の友達が原作でもいないのです。また、2人は生粋の王女様と貧乏人で対極にある存在だったことも、その後のすれ違いの演出が自然になったのかな。シンデレラだと、王女としての側面と貧乏人としての側面があって仲良くなってからの対立が生まれにくいですね。
また、白雪姫が継母の影響を少なからず受けている点(王女様気質、ナルシスト)がしっかり反映されており、段々と親に働かせられた背景のある福子の気持ちを削って行く流れだったのでしょうか。こう見ると、若干白雪姫の方が幼い人間で、福子は少し大人というか未熟な大人くらいのポジションに見て取れます。ただ、個人的には2人とも子供っぽいとも思っていたのですがそれだとネバーランド出禁と辻褄が合わないなあとも思いつつ。。後、基本的にストーリーに波を起こしたのが子供なので収拾をつける立場の大人がいないのはネバーランドが燃えてしまったことに(多分結果的に)リンクしている気もします。
コメディの難しさ
コメディだから適当にやってなんとなく笑わせる。というのは個人的には嫌いなのです。やっぱりそれをやるからには何かしらの意図があった方がいいなーと思う部分もあるのです。そこはアドリブで任せるにしても意図を共有させるかアドリブする側が掴んでないといけないかなと思います。(舞台初の人もいるので後者はあまり押し付けられない)
白雪姫のメタな発言も、少年漫画(ワンピ、東リべ)であるのか、渋い漫画にするかで印象は変わります。これの好みが人それぞれですがここを投げっぱなしにせずツッコミが回収出来るかがポイントかなと。個人的にはギャップ大好きなのですが。前述のピーターパンも、せっかく根底に「ダサいのが嫌い」があるのだからちょっと斜に構えた趣味や「多分皆思ってるけど言わないでいるダサいもの」とかが入るとスッキリするような気も。まあ私個人がブラックジョークが好きなのでそこはぱすてるからっとさんの色に合わないのかもしれませんが。。。となると余計に難しいですねえ。
今回、多少ブレはあるものの明確なツッコミ役が福子(ネバーランド前)と五女くらいでその他大勢の面白人間たちを回さなきゃいけないのは大変だったでしょう。特に、王様と王子、ハイホーたちも半分以上がコミックリリーフとして人生を全うしているところもあり、存在する=笑わせに来るのですから。個人的には、王子の出てきた瞬間に「今シリアスじゃないですよ」みたいな、バイオハザードの安全地帯的な安心感や愛おしさが好きでした。ムカつきもせず、変にお涙ちょうだいエピソードを語ることもなく、出しゃばりすぎず、最後まで可哀想な幼なじみポジを全うした王子が好きなキャラでした。
福子のツッコミというかしっかりした様子は、王様のダメダメな感じや白雪姫の未熟さとの対比だからかなりしっかりした人間でないと違和感あるし、その分ネバーランドで変になったところのギャップから「こんなに抱え込んでた」という白雪姫と同じ思いを抱けるのか、単発で面白い格好してるのを笑うのかで受け取り方が違いそう。
五女のツッコミはツッコミ役ながら妹でもあり上手くまとまらない姉妹たちにやきもきする声色やテンションがすごく大事で、ツッコミ役でしっかりっぽいけど力不足でしょんぼりする感じがすごく出てて、人(妖精?)となりも出ていたのは○。
裏は書くべきか否か
過去2作品でも感じていた部分で、今作もですがかなり広く登場人物の見せ場やバックボーンを書くことがあったのですが、今作はその辺が描かれない人物が多かった気がします。もちろん、思い入れのある人物を深く知りたいという気持ちもある反面、例えばメンズ2人は結構裏表なくコメディ色の強いキャラでした。例えばその2人に無理やり過去を語らせると笑えるものも笑えなくなるのでそれは良かったのだと思います。反面、核になる部分はやっぱり掘り下げてもらいたくもある。個人的にはその意図が後出しになるのが嫌いなので作中の表情や伏線回収が好きなので、その部分はまだ平行線な感じはします。もちろん、細かいこと考えずに、シンプルに楽しい空気を楽しむ楽しみ方もあると思うので。楽しみ方はそれぞれですねえ。
まあ個人的にはね、せっかくタイトルに「裏」とあるのでもっと裏の顔を主要キャラ達に出させても良かったかな?削るところは削ってね。
まあ、毎度色々書いてますが、こうやって足を運んでいるということは出演者の方のいろーんな顔を見たさもありますのでね。
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