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朴の木のみる夢

お山の奥の奥の方

朴(ほお)の葉っぱがゆっくりと

落葉する道 その先に

そっと冷たい池がある

映る三角 

小さな家には

何年も

調律されていないピアノがあって

月夜に影がピアノを弾くよ

小窓に木洩れ指す朝は

代わりに雫が

タン タンと

ピアノを叩いて

おはようと

かわいい雀にご挨拶

丸くふくれた雀さん

学校いきたかないのよと

一日ピアノをせがむのよ

優しい音色のピアノはね

少し音が合っていないの

木枯らし葉っぱの合奏に

私も一緒とピアノのが囀ずる

少し音が合っていないね

ふくれた雀がそれを笑う

冷たい池はそっと揺れ

陽射しに微笑み光ってる

終礼チャイムが響いたら

夕陽が滲んで

雀は羽ばたく

お山の奥の奥の方

朴の木が

大きな葉っぱの毛布を広げる

冬ねむる小さきものに

闇に浮かぶ仄かな灯り

冷たい池に誰が来た

待っていたのよあの月を

微笑みゆらぐ水面に

朴の木が

大きな葉っぱの毛布を掛ける

たったひとつのお月様

凍らぬようにと

次から次へと落葉し

光の輪っかがゆらめき続け

池の中のお月様

凍らぬままに眠ります

冬枯れの山奥

すべてを落として

朴の木は夢をみるよ

肩に両手に雀をのせて

日向ぼっこするゆめを

朝のピアノと囀ずりを

夜月の揺らめき微笑みを

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