詩│命の原水
大きな声をあげて叫んだ
潮騒がかきけしてくれるから
震える手で砂をつかんだ
指の間をすり抜けるだけだから
どう手をのばしたらいいかと
限りある時の波間に
なお 震えてしまう
満月に
一つ空いた小さな風穴
穴に吸い込まれるように
どしゃ降りが
水が水を追いながら
渦をまく
流星さえも深くのまれる
この先の先は
わからない わからないけど
地中深くまで沁みた地下水
いつか命が巡れば
地上に引き上げられる
奥深い細道から
地上に湧き出でる泉の原水
水が水を押し広げ揺らめく
噴き出す水の波は
まるで
光を集める透明な花の輪郭
枯れないようなみずみずしさだね
君が言う
こんな花を咲かせたいね
私が願う
蕾の花びらがほどかれていく
花はこんな風に咲くんだね
震えながら満ちていく水面
言の葉の小舟浮かべて
行けるところまで揺られて
君の胸にたどり着く
一片の夢の花びらになれればよかった