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2024年11月27日|ふるさととベトナム生活とマラソン大会
山に囲まれた実家の朝は寒い。
とはいえ雪国でもないのでこの程度で寒いと言ったら豪雪地帯出身の友達にまた「信じられない…!」と言われちゃうだろうな。しかも今日は20℃近くまで気温が上がるらしい。冬はいつ来るのか…。
昨日の夜、おそらく来年からまたベトナムで暮らす話を伝えた。父は喜んでいた。私が向こうに住むのを口実に遊びにくるのが楽しみのようだ。母は心配しながらも「じゃあみんなで遊びに行かなきゃね」と言った。これまで何度か海外暮らしをしてきたが母が遊びにきてくれたことはないのでちょっと嬉しかった。
父は何度かベトナム旅行をしたことがあり、私が向こうにいた時には一緒にハノイ・ハロンを巡ったこともある。「ダナンはいいところだぞ。」と家族のみんなにちょっとしたプレゼンをしはじめた。楽しみでしょうがないらしい。まだちょっと先の話だよ、と言っておいた。
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昨日はベトナム語レッスン(教わるほう)の予定だったが、帰省により別日に変更してもらったため朝からアプリや読書、Spotifyでベトナム語に触れておく。私は主に北部の音をつかうことが多いのだけど、南部の音はやわらかくてかわいい。どっちも身につけられるようになりたいな。
そんなこんなで小学校に向かう甥っ子を見送る。今日はマラソン大会があるらしい。1位ではなく3位をねらうとのこと。3位狙いの理由はよく分からないけど楽しみで昨日からずっとソワソワしていた。頑張って欲しい。
お昼前に家を出発し、祖父の入所先の介護施設へ向かう。家から車で1時間半もかかるところに入所していることをここで初めて知る。もはやプチ旅行。途中、人気だというカフェレストランにてステーキランチをいただいた。まずまずのお味。多国籍料理のお店ということでフォーのメニューもあったのだけど、写真で見る限り私が欲している味のフォーではないだろうと今回は見送った。
施設に着き、ベッドのそばまで行くと祖父はすやすや眠っていた。母が話しかけると目を開け、すっかりか細くなってしまった声で、それでも意思疎通はしっかりできていた。ただ、私のことは誰だか分からなかったようで、途中からは私の従兄弟と勘違いしていた。なので私もその従兄弟のふりをして会話をした。
「ふるさとにかえりたいんだ」
帰り際に祖父が言った。
大好きな祖母と一緒に可愛がっていた猫たちにも会いたい、と。
「まずは元気にならなきゃね」
そう母が声をかけると小さく頷いていた。
私もいつの日かふるさとにかえりたいと思う日が来るのだろうか。その時、私の帰るふるさとはまだそこにあるのだろうか。
祖父は生まれてからずっとあの家で暮らしていた。農家に休みという休みはなく、遠くに旅行をしたこともない。祖父にとって、あの家はまぎれもないふるさとであり、人生の全てが詰まった唯一無二の場所なのだろう。
帰りの新幹線の中でいろんな思い出がぐるぐるした。
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最寄駅に着くとパートナーが待っていた。よく行く回転寿司で夕食を済ませ、部屋に戻る。
おかえり、
ただいま、
明日はどうする?
そんな何気ない会話がなんだかいつもより心に沁みた。
人生は短い。
家族LINEで甥っ子がマラソン大会で4位だったと報告を受ける。
明日も良い一日であれ。