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「機動戦士 Gundam GQuuuuuuX」は、バンダイナムコフィルムワークスの夢を実現するか?

(以下、多少のネタバレを含みます。まさか本編を見ないで読む方はいないとは思いますが、ご理解の程)

『ガンダム』は強力なコンテンツですが、2つの大きな問題を抱えています。

一つはファン層が高齢化(30代~40代中心と小形P自身が言っている)しており、若者に観られていないこと。そして、これを打開するために作られた『水星の魔女』は一定の成功を収めたわけです。

もう一つは、基本のキであるファーストが古すぎるので、国内ではともかく海外では売れないこと。それを打破するために『ORIGIN』がアニメ化されたわけですが、プロジェクトは途中で終了となり、アニメではファーストのストーリーは描かれませんでした。

安彦良和をもってしても、ファーストのリブートが上手くいかず、『ククルス・ドアンの島』(まあ、これは『ORIGIN』打ち切りのお詫びみたいな企画ではありますが)も正直ビミョーと言わざるを得ず、ファーストをどうするのかの課題はそのまま残ってしまったわけです(そして、『ハサウェイ』にBNFが尋常ならざる力を入れていることも、おそらくこれに繋がっているんだと思います)。

『GQuuuuuuX』で、BNFの鶴巻和哉監督指名に際しては、上記の2つの問題点をどうするのか? という相談は当然あったと推察する次第です。特に、このままでは誰も触れることができなくなりかねないファーストをどうするか? BNF内部の人材ではない鶴巻さん(そしてカラー)の才能に賭けたのかもしれません。

そして、『Begining』時点ではその賭けにはカラーとBNFは勝っているとは思いました。原理主義者から多少の批判が出るだろうことはもちろん織り込み済みのはずで、それでも仮想戦記という体をとりつつも、ファーストをなぞりアップツーデートを図り、大方のオールドファンのハートを鷲掴みにしただけでなく、ファーストへの興味を幅広く喚起させることに成功した前半。後半の竹さんのチャーミングなキャラデザインと鶴巻さんらしい演出は大変いきいきしており、今のアニメファンにも海外のファンにも刺さるのではないかなと思います。

TVシリーズがどういう構成になるのかわかりませんが、オールドファンを再びビックリさせるような仕掛けがあるのか、新たな王道を進むのか、楽しみに放映開始を待ちたいと思います。

ただ、クリエイターとしての脂ののった時期をある意味『エヴァ』に捧げてしまった後の新作の監督、しかも『ガンダム』なのに、今回も結局庵野さんにある意味手柄をだいぶ取られる格好になってしまったのは、鶴巻さんにとって本当に良いことなのか? とは余計なお世話ながら思うところ。豪華版劇場パンフレットの「鶴巻×榎戸×庵野鼎談」で、庵野さんがしきりに(鶴巻監督への)「意見具申」という言葉を連発しているのは、庵野さんなりの気遣いなんだろうなあと、微笑ましくは思いつつ(最後に大脱線)。

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