ラジオシンデレラ
4月17日、日比谷野外音楽堂で開催された『鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト』番組イベントに参加してきた。
本当にすごいものを見た。死ぬ直前の走馬灯に間違いなく残るライブだったし、返しのついた釘よろしくこの記憶を引っこ抜こうものなら少々の痛みが伴うそんな予感さえするライブだった。
ここから先はもう出てくる単語や人物、楽曲名等びっくりするくらい説明をしないので気になる人は適当に調べてください。これは記事にするのも烏滸がましいくらいのただのオタクのイベント備忘録です。
まず心がやられたのはそのロケーション。会場は先に書いた通り日比谷野外音楽堂である。そもそも到底ラジオのイベントでやるような場所ではないのだ。入場してからしばらく「うわー!これ○○のライブ映像で見たことある場所じゃーん!」とか「ここで尾崎豊は飛び降りて骨折したのかー」とか何かしらの映像で見た記憶が滝のようにあふれ出た。こんなところで演奏すんのかあ、すっげえなあと震えていた。
一曲目。聞き慣れた『radio!radio!radio!』が流れ、オッド・アイの三人が出てきた瞬間に「これはもう元取った!」と思った。今までは画面の向こうにいた三人が、今表情すらわかるくらいの位置でマイクを持って歌っている。その事実だけで満足だった。予想の数倍キラッキラのけっけに、いつもよりニコニコなゆーまさん、超かっこいい鷲崎さん。子どものころにテレビで見ていたアイドルを初めて見たときのような感覚に陥った。自分がヨナヨナに出会ってから丸三年。その長い月日の間にヨナヨナという番組や鷲崎さん、けっけ、ゆーまさんに憧れとか見てみたい!とかいう気持ちが乗っかっていたことに驚いた。
続く学園祭学園さんの演奏にはハートが揺らされた。本人たちもそうノれるような曲はしないよ。とは言うモノの、感情が揺り動かされるようなライブだった。ずっと実験でその演奏を見ていたり、定期的にユートピアだよりの販促用配信ライブの映像を見ているので、その演奏や曲目自体は知ってはいたのだが、ここまで芯に響くバンドだったか!と思わず膝を叩きそうになった。一曲目のサーチライツはそもそも初出しの楽曲で知らねえ!けどかっこいい!!と心震えた。かと思ったらサウナ(仮題)で身体ウッキウキ、心整いまくりの状態になる。続く楽曲たちも「野音っぺえ曲する!」という宣言に何一つ偽りのない曲目で椅子に座りながら、狭いスペースながら全力で身体を動かして楽しませていただいた。
そんな学園祭学園さんのライブの中でも最も印象に残ったのは「ももいろ」だ。この曲にはあまりにも物語が乗っかりすぎている。曲が作られたときの話も、CDに収録したときの話も、野音で演奏されたときの真裏で起こっていたドラマの話も。自分にも色んな思いがあってそんなあれやこれやに思いを馳せながら聞いていると危うく泣きそうになった。もしもあの野音で、ももいろが演奏されている夕方に雨が降ろうものなら。『夕方降り出した虹色の雨が』という歌いだしの歌詞にリンクした景色は私の中の一生ものの宝になっただろう。そうでなくてももう忘れられない記憶なのだから本当に勘弁してほしい。願わくば次こそはAnylove, any moreで声が出せればよいなと思う。色んな終わっていくもの、別れゆくモノに大きな愛を込めて。
転換の間にぱらつく雨。あーもう持たないか。と思っていたがprediaさんの出番が始まるころには雨はどこか遠くへ行ってしまった。これが持ってる人たちの力なんだな。なんて思った。prediaさんが出てきた瞬間がもしかしたらヨナフェスの個人的なマックスボルテージだったかもしれない。一言で言ってしまえば、それも滅茶苦茶に軽い言葉で言えば「ギャップ萌え」であった。普段番組にゲストで来るときのprediaさんは何処か緩いバラエティモードのprediaさんだったもんだから、バチバチアイドルのprediaさんが出てきた瞬間に全身が悲鳴を上げた。もっとちゃんと追いかけとけばよかったなー。
パフォーマンス一つひとつがとんでもなく仕上がっていて、どの曲もかっこいい美しいきれいかわいいずっと見ていたい!そう思わせるものだった。自分の座っていた位置からは表情が見えたので、クールでパキっとした曲の時には凛として、明るい曲の時にはそれこそ天使のように笑顔で。表情や楽曲だけでも高低差、ジェットコースターなのに間に挟まるMCの愉快なこと。終わってしまうという寂しさはあるけれど、それでもパフォーマンスができる事への思いとかが伝わってくるのに要所要所面白くて。すごいなあという月並みな言葉しか出てこなかった。もっと早くに知っていれば今心を預けていたアイドルはprediaさんだったのかも。
特に『Close to you』には心がやられた。キラッキラの照明を浴びたメンバー一人一人がまるで宝石みたいに輝いていてドキドキが止まらなかった。もう少し前の席に座っていたら多分それこそ『致死量の美人』で死んでいた。ちゃんとprediaさんにも推しがいて、そのメンバーに注目をしよう!と思っていても、次から次へと目移りしてしまう。一人だけ見よう!という気持ちがいつの間にか全員ちゃんと見てこの気持ちを宝物にしなきゃという考えに変わっていった。星は消える前に一番眩しく光るなんて話もあるように、もしかしたら終わってしまうからこそ目映く美しく見えたのかなとも思った。そして、そんな素晴らしいものを見てしまったもんですから、最終公演のチケットも買ってしまった。おかげで別で行こうと思っていたイベントは泣く泣く断念することになったがそれでもかまわないと思えるほどに素晴らしいパフォーマンスだった。Close to youを聞きながら歩いていると、少しだけ元気がもらえるのでヨナフェス以降朝、駅まで歩く道中いつも聞いています。本当にありがとうございます。
続くは鷲崎健。生バンドで歌い上げる鷲崎さんの姿の格好いいこと。きっともう自分は鷲崎さんのことを神格化してしまっているから余計にそう見えてしまうんだろうけど、そんなフィルターがなくたって、きっと初めて鷲崎さんを見た人があのライブを見ても格好いいと思っただろうと思う。神格化という言葉を使っておきながら言うのもあれだが、自分は鷲崎さんの楽曲の多分半分も知らない。ポアロは名前だけ聞く伝説のユニットみたいな感覚だし、1st,2ndのアルバムに関してはデータすら持っていない。違法で聞くのも癪だしなと思っているので、自分の鷲崎健楽曲バンクは3rd,4thのアルバム曲とライブDVDに入っている曲、あとは番組のテーマソングくらいしか本当にわからない。そんな状態で見ても響くものがあった。
とにかく印象に残っている場面が多いが、その中から二つピックアップすることにした。prediaさんのコーラスも素敵だったし、往年の名曲を披露したことも素敵だったがここでは割愛する。きっと他の人も書いている事だろうし。
一つ目は一曲目の入りである。生バンドによる『ヨナヨナ~yoke of nights~』の演奏が始まり、鷲崎さんがステージに現れる。そしてイントロの終わりと同時に1Aを歌い始める。痺れた。脳内からいろんなものがドバドバあふれ出た。なんて格好いいんだ。イかす!何度でもこの瞬間を反芻したい!だってこんなにもかっこいいんだから!!!そんなのズルだよ!と思いながら一曲楽しんだ。あの瞬間の鷲崎さんは自分が敬愛するどんなバンドよりも、今まで見てきたどんなアーティストの最高に格好いい瞬間よりも素敵だった。惚れちゃう。いやもう惚れてんだけど。
もう一つは『ワルツ』である。こんなもんもうズルだ。物語があろうがなかろうが、会場がどこだろうと、この曲一曲で客は鷲崎さんに惚れてしまう。それだけの力を持った楽曲が、あろうことが野音で演奏された。この事実にもう白旗を振ってしまう。参りました、心の完全敗北です。爪弾かれるアコギ、紡がれる言葉。目も耳も五感も心も身体も何もかもが目の前で起こっていることを記憶しようと奮起した。放たれたメッセージのうち自分がどれだけ受け取って持ち帰れたかはわからないが、少なくともその瞬間野音にいた自分は涙を流した。
どうでもいい話だが、自分はよく泣く。まあよく泣く。そういうと涙の価値が下がってしまうが正直そのよく泣くという状況は無理やり生み出している節がある。「よーし!この話で泣いてやるぞ!」と意気込んで泣いているときもある。けいおんの文化祭だとかヴァイオレットエヴァーガーデンの公開恋文の回だとか、それ以外にも色々あるが、たまにそうじゃない時がある。何かを見て心がグワングワン揺らされた結果、涙が流れるときだ。こういう経験はあまりない。自然と涙が流れるなんてテレビの演出でしょ?と思っていた時期があったが、本当に流れるもんなんだと自分の身体を以って自覚した。今回の涙はそれだった。意識せずとも涙がこぼれていて感動という言葉を改めて知った。
最後は勿論オッド・アイだ。番組が生んだヒトツメのアイドルたち。とってもキュートな三人。ヤーヨから始まり、全部、好き。24時からのシンデレラ。たった三曲で物語だった。どうしても歌いたいとセットリストに組み込まれた全部、好き。CDで何度も聞いていい歌だなと思っていたけれど、やはり会場の空気とか生の迫力というモノには到底敵わず思いのこもったその声はずしんと心の奥の奥に響いた。オッド・アイの〆である『24時からのシンデレラ』はもう感情塗れだった。いつかのヨナフェスの音源でけっけがこの曲のキメの後泣きながら歌っていた場面が非常に印象深く残っていて今日はどうなるだろう?と思っていた。そしてキメの部分がやってくる。好きだよー!!とコールをしたい思いをぐっとこらえた客席には「好きだよー!!」と書かれたピンク色のタオルが掲げられる。コールはできなくても、好きが伝えられる。このグッズを考えた鷲崎さんは本当天才。prediaさんもバンドメンバーもスタッフさんも。みんながけっけに愛を伝える。そりゃあ泣いてしまうよ、俺も。その写真がTwitterにアップされて、またその光景を思い出して泣きそうになってしまうくらいにはあの光景にまた心が揺り動かされた。
そして、演者みんなで歌う『Baby!人生はあっちゅー間!!』の愉快なこと。涙とか笑顔とか全部ひっくるめたステージの上は大団円という言葉がよく似合っていた。ああこれで全部終わっちゃうなと思ったし、「最後の曲です」と言われたときには「えー!!」の一つや二つ言いたくなったけど、こんなに幸せそうな舞台を見れるならもういいやと思えるほどに素敵な空間だった。
約3時間にも及ぶイベントを終えたあとに残ったのは「楽しかった~~!」だけだった。もちろん泣きもしたけれど、イベント通しての感想は最高に楽しくて愉快な時間だったということだけだった。このためだけに朝新幹線に乗って、翌日のバイトのために夜行バスで帰るというあほみたいな動き方をしたが全然それでよかった。最高だった。たった三時間の非日常がこんなに心を動かす動力になるのかと一週間経った今もなお思い知らされ続けている。
さて、タイトルに書いたラジオシンデレラという言葉。このイベントのことを思い出すにあたって思いついた言葉だった。けっけはヨナヨナでパーンと跳ねて、ついに野音を一杯にしたことのあるアイドルという箔までついた。まさにシンデレラストーリーである。だけど、このシンデレラにはゆーまさんも含まれているんじゃないかなあとも思う。メディアにおいて何者でもなかったゆーまさんがヨナヨナで輝き始めて、いろんな番組を始めて、鷲崎さんの後を追うかのような八面六臂の活躍をしている現状を見ているとゆーまさんもシンデレラみたいだなと思う。そんな二人を輝くお姫様王子様にした鷲崎さんはさしずめ魔法使いといったところだろうか?
この番組イベントに参加できて本当に良かったと思う。冒頭にも書いたけれど、走馬灯に絶対このイベントのことがよぎる。どの場面がよぎるかは正直どれもこれもよすぎるのでわからないけれど、どの場面が現れたってSSRもんだ。次があるかどうかなんてわからないけれど、もしも次があるのならまた行きたいし、次は声も出したい。
いいこと言って終わってやろう!!なんて思っているけれど、〆の言葉が一つも見つかんない。俺も空高く飛び去ってやろうかしら。
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