+1をして革命は第二章へ

すげえアルバムが出たぞ!!!!!


9月1日発売DIALOGUE+の1stフルアルバム「DIALOGUE+1」が凄まじい。一聴したときにみ゛゛みたいな声が出た。

そもそもDIALOGUE+って何?どなた?なんですのん?という方たちに軽く説明をば。

DIALOGUE+とは、音楽プロデュースにUSG田淵智也に迎えた「はじめてのかくめい!」でデビューした八人の声優からなるアーティストユニット。「会話」を意味するdialogueという単語を冠する「声優だから」歌える歌を届けるユニットです。

アルバム「DIALOGUE+1」は、そんな彼女たちの強みがいかんなく発揮されていて、またこの一枚で新しいファンを取り込むことが十分に可能な一枚であるように思えた。あと、これで1stアルバムなのかという恐ろしさ。もう三枚くらいはアルバムを出しているだろうと錯覚するほどのどっしり感と幅広さ。とてもデビューして1年で出すアルバムではない。

以下文章は敬称略。

1曲目の「Sincere Grace」はライブの1曲目、スモークも幕も上がっているところに光に照らされながらメンバーが現れる、そんな具体的な情景が浮かんでくるような曲になっている。歌詞も光や行先と言った明るい未来を想起させ、理想的な1曲目という印象を受けた。さらにアルバムを通してリピート再生したときに流れるこの曲はさながらエンドロールであり、幕が下がるイメージを伴う。何とも不思議な楽曲である。

明るく爽やかな未来をイメージさせるSincere Graceがカットアウトし直後に始まるのが「人生イージー?」。作詞作曲がUSG田淵智也、編曲田中秀和というアニソンを聴くことが多い人にとっては涎ダラダラな組み合わせの一曲。この曲はドラムスとピアノがとてもいい。めちゃいい。強めの言葉が飛び出る場面もあるが、曲調と彼女たちが歌うということによって非常にマイルドになっているのでそこも注目。

3曲目に待ち受ける「ドラマティックピース!!」は前述した「会話」という言葉がよく似合う一曲になっている。2番Aメロのやりたい放題具合には思わずニヤッとしてしまう。声優だからこそ、という部分にこだわりを持っている田淵だからこそのこの曲だと思うとまたニヤニヤが止まらない。ライブで披露されたなら多くの人が声をあげたくなるそんな一曲に仕上がっている。

4曲目には、ばりばりのポップチューン「謎解きはキスの後で」が待ち受ける。この曲に加え、後に出てくる「I my me mind」「20xxMUEの光」は一年前のライブで披露されてから初の音源化ということでファンの期待は高まっていた。音源として聞くこの曲はメインボーカルを務める内山・宮原の両名の持つ魅力を十二分に感じられる甘い一曲となっており、私のお気に入りの曲だ。わかりやすいアイドルポップスなので多くの人に受け入れられやすいように感じる。懐メロらしさも感じられるのでその点もお勧めだ。

続く「プライベイト」も「謎解き」と同じような懐メロを想起させる楽曲になっている。各楽器隊の軽快なリズムに合わせてメンバーが歌う口周りのいい言葉たちのおかげでかなり小気味よく仕上がっている。曲中にはいくつも仕掛けがされているらしいので、音楽経験者には是非その仕掛けを見つけて明らかにしてほしい。さらに、MVが素晴らしい。必ずあなたの推しを見つけることができる映像に仕上がっている。ぜひ、あなたの推しを見つけてほしい。

6曲目、「あやふわアスタリスク」は一曲で何曲もの世界を感じることができるおかしな一曲。儚さも壮大さも書けるような美しさもすべてが子の一曲で堪能ができる。また、DIALOGUE+が度々歌いライブのタイトルにも使われれている『現在地』という言葉が象徴的に使われている。このユニットに初めて触れる人にはぜひこの一曲から始めてほしいと思う。

そんな曲からがらりと変わり少女のひと夏の恋を描く甘酸っぱさ前回のアイドルソング「夏の花火と君と青」がやってくる。少女漫画のキラキラを掬い取ってそのまま歌にしたような曲なので、ただひたすらにかわいい。これを聞き続ければかわいくなれるのではないかと錯覚するくらいにかわいい。この曲も「プライベイト」と同じくMVが非常に魅力的に仕上がってる楽曲なのでそこも注目されたし。

8曲目には少しジャジーな「I my me mind」が流れ出す。思わず身体が揺れてしまう曲で、既存の楽曲の中でも随一のおしゃれ具合だと思う。Aメロに入る前の楽器の音がとてもよい。軽やかに音を奏でるバンドメンバーの姿が想起されるほどに軽快な音が心地いい。また、歌詞で喜怒哀楽を伝えているのだが、おそらくこの曲から着想を得てブックレットのメンバーページが作られたのではないかと考えられる。詳細は是非手元にCDを用意してもらいたい。

9曲目は「アイガッテ♡ランテ」。アルバム一のぶっ飛びアゲ曲である。プライベイトとは違った言葉の気持ちよさ、音のハマり具合が感じられる一曲だ。アルバムリード曲としてこの曲とプライベイトが公開されていたのだが、アルバム全体の形が見えてからだとこの二曲をチョイスするのが正解だよなと感じざるを得ない。メンバーのかっこかわいいが詰まった一曲である。

10曲目はDIALOGUE+の楽曲でも随一の再生数を誇る「おもいでしりとり」だ。オタク有志が開催した『2021上半期アニソンランキング』という企画においても得票数No.1を誇るこの楽曲。もう説明は不要である。一聴して抱えた感想が正解である。

そんな曲に引き続いてリスナーの心を離さないのは「20xxMUEの光」である。この曲はいわゆる電波曲に仕上がっている。この曲があるだけで、このグループの引き出しはまだまだあるんだぞと見せつけることができる。声優ユニットとして分かりやすい電波曲を持ち合わせていなかったグループ全体にとって大きな武器となるだろうし、アルバムにメリハリを持たせることができる。特にこの曲の前後が割としっとりめの曲と、超しっとりな曲なためアルバムを通して聴くとこの曲がかなり効いてくる。

12曲目にやってくる「透明できれい」は、一ファンとしてすごく刺さって抜けない歌になっている。少しだけ長く語りたい。DIALOGUE+は過去にミニアルバムをリリースしている。ミニというだけあって曲数は少なめであったがかなり粒ぞろいのアルバムになっていて、聞きごたえのある一枚になっている。そのアルバムに収録されている「好きだよ、好き。」という曲があるのだが、えぐい歌詞を歌っている。何かを決心するような、誓うような歌ではあるのだが、とにかく歌詞がえぐい。下記のサイトに飛んでサビの歌詞を一読してもらいたい。

この歌詞をデビューして一年足らずの子に歌わせるのかあと正直引いた記憶がある。後で知ることだが、田淵智也はこの歌を「呪い」という風に表現していて、なるほど、これは確かに誓いの歌ではあるが、退路を断つようなそんな歌でもあるように感じた。

少し前置きが長くなったがここからが透明できれいのお話。この曲はその好きだよ、好き。と地続きにある曲であるように感じる。特にそれを強く感じるのはやはり歌詞だろうか。えぐい歌詞から一年と少しが経ち、自身のファンが待つステージに立ち、アイドルとしてフェスに参加したり、アニメタイアップが付いたりと、見る見るうちにファンを増やしていったDIALOGUE+。そんな彼女たちが今一度「私たちのことを見ていてくれ」と歌いあげる。好きだよ、好き。が彼女たちに与えられた呪いの歌だとすれば、これはファンに贈られた目を離すなよという忠告の歌なのかもしれないと感じた。ここまで歌詞の話しかしていないが、もちろん曲もいい。ストリングスの透き通る音はまさに透明できれいだ。この曲を一聴したとき、全身がきれいになったような気さえした。それほどまでに彼女たちの歌も旋律もすべてが愛おしく美しい。

最後に僕らを待ち受けるのは「はじめてのかくめい!2021」だ。勘のいい人はタイトルで気づくかもしれないがこれは再録の楽曲である。彼女たちのデビュー曲「はじめてのかくめい!」をデビューから二年経った彼女たちが歌う曲はもう何から何まで違う。デビュー当初の初々しさあふれる歌から一転、もう何度も歌ってきた曲、何度も届けてきた言葉なのだろう。力強いし表現も変わっているし、何よりきっと前よりも多くの人に声が届くような気がする。

再録が発表されたとき、この曲が1曲目になるのだろうと勝手ながら予想していた。彼女たちの始まりの曲でアルバムが始まる。オタクであってもなくてもなかなか感じ入るところがあるだろう。しかし、この曲はアルバムの最後に収録された。

以下、オタクの深読みなので読み飛ばしてくれてもいいが、このnoteのタイトルを回収するので読みたい人はどうぞ。

この曲が再録され、最後のトラックとして収録されたことに何か意味を持たせるのであれば、これは「この曲から革命の第二章」という宣言なのではないだろうか。2年前は言われたことを必死で理解して、落とし込んで、何とか歌っていた女の子が、目の前にいる人にどうしたら届くのだろう?と曲に向き合い、音楽が、歌うことが好きだと言うようになった。2年の間に世界も大きく変わった。あたりまえのように押し合いへし合い、声を出して大盛り上がりをしたライブから一変、画面の向こうから応援することが主流となり、会場に行っても声を出さずに拍手で見守ることが一般的となった。そんな時代の途中でも彼女たちは歌うことをやめなかったし、ファンと向き合うことをずっと続けてきた。そんな彼女たちがここから再び革命を起こすのだという誓いのように感じられる。加えてアルバム名はユニット名に1を加えている。「はじめて」に1を足して、物語は第二章へ。

彼女たちが目指す目的地はまだ遥か。


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