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鴨志田 純/鴨志田農園(Kamoshida Farm)

法人名/農園名:鴨志田農園(kamoshida Farm)
農園所在地:東京都三鷹市
就農年数:8年
生産品目:野菜(トマト、ナス、玉ねぎ、甘唐辛子など)45〜50品目 
Facebook:https://www.facebook.com/kamoshida.farm/

no.02

都市型農業が目指すのは、若者が農業に触れる実験の場

■プロフィール

 三鷹市に代々続く野菜農家の6代目。家庭から出る生ごみや落ち葉などの有機廃棄物を、微生物の力で堆肥化させるコンポストの普及を進めるコンポストアドバイザーとして、ネパールや全国各地で活躍。

 温泉旅館から出た生ごみを堆肥化して農家に使ってもらう黒川温泉地域での取り組みは、2020年の「サステナアワード」で、「環境省環境経済課長賞」を受賞。

 2021年には肥料の自給と防災機能を組み合わせる実証実験「サーキュラーエコノミー型CSA」に着手。同年には循環型経済を目指す取り組みに与えられる国際賞「サーキュラー・アワード 」で2部門を受賞。

 2022年には、一次産業の現場から課題解決に向けて挑戦する生産者を表彰する「ポケマルチャレンジャーアワード2021」で最優秀賞を受賞。元数学教員、防災士。

■農業を職業にした理由

 2014年に父が他界したことをきっかけに家業を継いで就農するとともに、「半農半Xという生き方」に影響を受けて、都内の中高一貫校で数学教師を続ける。

 その1年後にネパールから届いたメッセージがきっかけで、生ごみを堆肥化して有機農業を行うことで雇用や教育の機会を創出する国家的プロジェクトへ参画することに…。

 ネパールと日本を行き来しながら、橋本力男さんから堆肥作りを学んだことで、地元20km圏内で出た馬糞や落ち葉、米ぬかなどを使って作った堆肥を、農業に生かすことで循環させるシステムを構想。

 2018年3月に教師を辞めたのちは専業農家を続けながら、ネパールや日本各地で堆肥化実験を指導するコンポストアドバイザーとしても活躍中だ。

■農業の魅力とは

 農家が売るものは作物だけではありません。堆肥生産技術(知的財産)を教えることや、若い世代が農業に触れることができる実証実験の場所としての機能が、都市型農業にはあると思います。

 そういう意味で、自分のことはさまざまな役割をこなすハイブリッドという意味の「百姓」だと思っています。教師を辞めて専業農家に転向したことで、活動の幅が広がり、生産効率もアップしています。

 コロナ禍でネパールに渡ることは難しくなりましたが、現地ではコンポストに関する人材も育ちましたから、今後は農園生産とのバランスをとりながら、若い世代を育てて、国内各地で資源循環の仕組みを広めていきたいと考えています。

■今後の展望

 私の畑では、給食センター(家庭)の生ごみや落ち葉、大学の馬術部から出る馬糞などを集めて、年間9,000〜1万2,000ℓの堆肥を自家生産していますが、農閑期に行うため作業効率が良く、2反8畝の畑でできる作物としては、年間売上700万円と成長を続けています。

 今はひとりで作業してますが、農業を学びたい若者を雇用して、売上1,200万円を目標に成長したいと考えています。

 また、これとは別にコンポストアドバイザーとして、農家を対象にした栽培講座や、資源循環社会を目指す企業などと連携したりして、農業と社会が結びつく活動でも報酬を得ています。

 高齢化している農家にとって、自前で作った堆肥を畑で撒くのは大変です。今後は、地域のコミュニティーでコンポストを共有することで、地域全体でゴミを減らす活動や、コンポストとトイレを組み合わせて災害時にも使える仕組みなど、栽培という枠を超えて農業が社会公共性と結びついていくことが課題になると思います。

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