形本 真吾/Farm & Firmかたもと
農業と営業マンの半農半X。北海道と東京の2拠点生活
■プロフィール
東洋大学卒業後、アメリカンフットボールのスポーツ選手枠で、「学生援護会(現パーソルキャリア)」に入社。広告営業とスポーツ選手の二足の草鞋で29歳まで6年間プレー。
アメフトを引退後、30代はIT企業の「ワークスアプリケーションズ」で、セールスマネージャーとして複数の新規事業を立ち上げる。40歳で退職後、キャリアアップのためにフィリピンとアメリカで約1年間の語学留学。
帰国後は外資系コンサルタント会社「ウィリス・タワーズワトソン」で働きながら、アグリイノベーション大学校で農業の基本や栽培技術を学ぶ。
2019年、北海道壮瞥(そうべつ)町のミニトマト農家で1年にわたって研修。翌2020年、伊達市でミニトマトとアスパラ農家として独立。
春から秋は北海道で農業、冬から翌春はキャリアを生かして東京でフリーランスの営業として二拠点スタイルで働く。
就農直後からInstagramとYouTubeで情報発信を続け、全国各地の農家や新規就農予定者とのネットワークを構築中。
■農業を職業にした理由
3社にわたって営業マンとして働くうちに「このまま営業成績を追いかける人生でいいのか?」と自問するようになり、社会貢献に近いところで働きたいと思うようになった。
自分に何ができるか悩んだ結果、父が継いだ祖父母の農地の一部を使って、活躍場所を探すアスリートや、障がい者が一緒に働く場を作ることを思いつく。
アメフト選手だった自分の体験から、アスリートのセカンドキャリア形成にはかねてから問題意識を持っていたのと、高齢化や人手不足の農業界の実情を知るなかで、雇用を生み出すこと自体が社会貢献になると思い立ち、2016年10月、アグリイノベーション大学校に入学して農業の基礎を学ぶことを決意。
学校で勉強を続けながら、2018年からは東京から壮瞥町のミニトマト農家まで通い、後に研修生として親方のもとで修行することに…。
父が継いだ農地がある伊達市で2020年に就農する見通しがたったものの、結果的に補助金などの支援は一切受けられず、起業するための自己資金でビニールハウス5棟を建て、農機具や資材も揃える。ゼロから販路を開拓するなど、苦難続きの独立だったが、アスリート魂で克服し、短期間で多くのことを学べたという。
■農業の魅力とは
農業は古くからある産業ですが、科学や技術にあふれ、伝統から最新まで揃っているところが面白いですね。
どの情報を取捨選択するかは自由ですし、それによって自分らしい農業が実現できるうえ、現役として働ける期間が長いのも魅力です。
平均年齢68歳というのも、人生100年時代にピッタリじゃないですか?コロナ禍でリモートワークが一般的になった今、私のような「半農半X」の暮らしや、地方移住ももっと浸透する可能性があります。
それに農業は異なる世代が一緒に働けるのも魅力です。研修時代の親方は私より10歳年下でしたし、「同期」と呼んでいる仲間は、10代でした。
私は人材関係の企業で営業マンとアメフトチームに所属していたので、引退後、仕事一本の生活に切り替えることに苦労したチームメイトも何人か見てきたけれど、農業ならばそれが可能だと思うのです。
ビジネスマインドを持った優秀な人材がどんどん入ってくれば、農業界はもっと元気になるし、そのための貢献ができるのが嬉しいのです。
■今後の展望
農業を通じた社会貢献が目標ですが、雇用を考えるならば、収益性の問題があります。現時点では、農業で稼いだ収益は、人件費も含めて農場経営に投下し、自分自身の生活は東京での仕事で稼ぐのが現実的なので、今後は、一見するとかけ離れた2つの仕事をうまくリンクさせることが、収益性の向上につながると考えています。
今、試験的に始めているのは、農業を副業にしたい人向けの「希望シフト制」。例えば、スポンサーがついていないスポーツ分野のアスリートは、大会出場を目指して練習しながら、生計を立てるため仕事する必要がありますが、その人たちに空き時間を利用して農業の手伝いをしてもらうのです。
相手の都合に合わせるシフトなので、ロスもありますが、副業先として優先的に選んでもらえますから、優秀な人に来てもらいやすくなります。
実際、私のInstagramは昔の同僚に運用を手伝ってもらっており、報酬は採れたて野菜です。これは私の持論なのですが、仕事の報酬はお金がすべてとは限らないからです。
本業で十分に稼いでいる人にとっては、入手困難な産地直送野菜の方が、価値が高い場合もあります。多くの人が農業に参加することで、その人たちの生活が豊かになる。たとえ、40歳、50歳になっても人生のキャリアのピークを作ることはできる。そのために役立ちたいのです。
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