見出し画像

酒井 貴弘/アイ・エス・フーズ徳島

法人名/農園名:アイ・エス・フーズ徳島株式会社
農園所在地:徳島県阿波市
就農年数:9年
生産品目:カット加工用の青ネギ
HP:https://isfoods.jp/

no.28

他の産地に追いつき、追い越せ。国内トップの青ネギ生産を目指す

■プロフィール

 兵庫・淡路島の水稲・玉ねぎ農家に生まれるが、幼い頃から「農業は年寄りがやるもので、若者の仕事ではない」と魅力を感じられずに育った。

 甲子園出場を夢見て、兵庫県立淡路三原高校に進学するも、疲労骨折で夢が破れる。卒業後は先輩が働く鋳造メーカーに就職し、鋳物職人として働いていた矢先に、父親が始めた青ネギ栽培に関心を持ち、1年後に父親の農業法人に転職。

 2017年6月、農地拡大や人材確保先を求めて、徳島へ進出したが、阿波市でも生産者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の問題に直面する。元水田だった20アールの土地を借り受けてからは、地域の生産者の交流を通じて信頼を獲得し、農地の規模を拡大。

 法人化後は、バイオスティミュラント技術など最新の植物生理学と、最先端の栽培技術を取り入れて生産性の効率アップを推し進める。

 2020年からは経営に専念。コロナ禍によるリスク分散を考慮して、単一作物から複数品目へ転換するとともに、産地を分散化。

 2021年4月には、新工場と新社屋を完成させるとともに、外国人技能実習生や特定技能外国人の採用を始める。同年ASIA GAP取得。農林水産省「全国優良経営体表彰2020」経営改善部門農林水産大臣賞受賞。

■農業を職業にした理由

 甲子園出場を目指して小学校から高校時代にかけて野球三昧で過ごす。疲労骨折で夢破れた後は、悔しさをバネに同年代の誰よりも早く社会で活躍したいと、地元・淡路島に就職。

 農業は「カッコ悪い」と背を向けていたが、父親が始めた青ネギ事業の決算書を見て以来、経営次第で儲けを生むことが可能と考えるようになり、20歳で父親の農業法人に転職。

 しかし、経営をめぐって意見が対立することが多かったことと、淡路島では、規模拡大や労働力確保が望めないと考えて、23歳の時に単身で徳島に進出。だが実績のない若者に農地を貸してくれる地主はおらず、半年後にようやく20アールの水田だった土地を借り受ける。

 1年目はたび重なる台風や積雪などの被害に見舞われながらも、満足できる青ネギ栽培に成功。

 農業に取り組む姿勢や、地域と積極的に交流する姿が認められた結果、耕作を任せたいという農地が増えて、現在の生産規模は17ヘクタールに拡大。青ネギの生産量としては、九条ねぎが特産の京都に追いつき、追い越せと、今、最も勢いのある経営者のひとりだ。

■農業の魅力とは

 2017年に徳島に拠点を移して3年間は、畑で現場作業に邁進しましたが、4年目の2020年からは経営に専念し、経営理念や人材制度を整えました。

 現在、20代を中心に正社員9人、パート12人、ベトナムからの技能実習生8人、特定技能外国人4人が働いています。

 年齢が上の農業経営者のなかには、従業員のことを利益を産む道具だと考える人もおりますが、僕は一緒になって組織を成長に導くパートナーと思っています。

 スタッフの採用時には、1泊2日で入社体験してもらったり、適性検査などを通じて、その人の強みをしっかり見極めますし、入社後もすべての従業員を対象に、定期的に1対1で話し合って、仕事に対する不平などはないか、改善するための機会をもうけています。

 この会社で長く働いてもらうためにモチベーションを維持して欲しいと思うからこそ、僕らの使命(ミッション)を示し、将来こうありたいビジョンや、組織として共有する価値観(バリュー)を示すようにしています。

■今後の展望

 これまで青ネギは99%食品加工メーカーに卸して、カットネギとして流通しています。ですがコロナ禍の影響で、単一作物だとリスクが大きいとして、現在はイチゴやキウイなど施設園芸の作物にも挑戦しています。

 2021年には社屋と工場を新設しました。 青ネギは一般的に、夏は収穫まで75日、冬は5カ月ほどかかり、平均して年2作と言われますが、僕らは年4作を実現させています。

 連作障害を避けるためにも、緑肥を植えたりして畑を休ませる必要があるのですが、限りあるは圃場で効率よく生産するために、早くからバイオスティミュラント資材を活用しています。

 これは、作物自身が本来持っている免疫機能を活性化することで、高温などの環境的なストレスに強く、根から養分を吸収しやすくする栽培技術です。

 おかげで夏場の収穫期間が15日短く、収穫回数や収穫量が増加し、10アールあたりの年間収量25トンを達成しました。2027年には年商5億円、40歳になる頃には青ネギの生産量でシェアNo.1を目指しています。

#20代で就農
#四国
#新規参入
#経営手法
#経営哲学
#挑戦者
#ユニークな経歴
#SDGs
#ポートフォリオ経営
#売上1億円以上
#注目の農業者
#最新テクノロジー
#地域活性化