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阿部 俊樹(しなやん)/しなやかファーム

法人名/農園名:しなやかファーム
農園所在地:三重県四日市市上海老町
就農年数:5年
生産品目:ブルームきゅうり(年2作)
HP:https://shinayaka.me/

no.58

知られてない、作られていないブルームきゅうりで可能性を広げる

■プロフィール

兼業農家に生まれ、高校卒業後は進学と同時に名古屋で一人暮らしを始める。大学では商学部に進んだが、20歳で中退してフリーター生活に。22歳で広告代理店に就職し、その後、携帯電話運営代理店などを経て、エステサロン経営を担当。20代半ばで結婚、持ち家を購入するも、経営のトラブルにより、仕事や家を手放して、実家での就農を決意。2017年、四日市市内で唯一のきゅうり専門農園「しなやかファーム」を設立。2019年にはマイナビ農業アワード優秀賞を受賞。2022年4月の野菜ソムリエサミットできゅうりとしては史上初めて銀賞を受賞。

■農業を職業にした理由

家業の農業が嫌いで、大学進学時には田舎を飛び出て名古屋で暮らし始めたが、エステサロンの経営に関わるようになった30代半ば、体の中から美しくなるために、大事なのは食べものだと気づき、農業への関心が深まる。仕事上のトラブルで、生活環境が一変したことが天の啓示のように思えたことから、故郷に戻り、農業の世界へ飛び込むことに…。父の代に作った赤字は、米の生産では解消しないとして、四日市市内では誰も栽培していないきゅうりに着目。岐阜県の農家で修行を経て、2017年7月に開業。さらに付加価値を高めようと2020年からは、栽培農家が少ない「ブルームきゅうり」に挑戦。

■農業の魅力とは

四日市市は農業が盛んな地域ですが、きゅうり専門の農家はおらず、三重県全体でも数える程度。素人からのスタートでしたから、専門知識や技術の指導を受けられないのは障害になる一方、誰もやっていないからこそ、名乗りを上げれば1番です。ブルームきゅうりを始めたのもそれが理由。ブルームという保護膜によって、表面がうっすら白く見えるのが特徴ですが、農薬だと誤解されて、今ではきゅうり全体の生産量の3%しか作られていません。一般的なきゅうりより、皮が薄くて繊細な分、美味しさがダイレクトに伝わると再評価されるようになりました。世間の人が知らない、作られていないものへの挑戦が、マーケットを広げる可能性につながると思っています。

■今後の展望

農業は閉ざされた世界だと嫌って飛び出しましたが、美容の仕事に携わったことがきっかけで、私たちの生命の源を作る農業に戻ってきました。漠然としすぎていて消費者にはなかなか伝わりません。最初は生産者である私に関心を持ってもらうことで、食べ物や農業の価値を知ってほしいと、SNSやポッドキャストなどを通じて情報発信をしてきました。 きゅうりでも同じことが言えます。食卓に欠かせない存在なのに、消費者の多くがブランドや産地に無関心ですし、味にも期待していません。今後は、きゅうりそのものの魅力を発見してもらうために、私自身の宣伝は控えめにして(笑)、もっと美味しさを訴求したい。そのためにも最近、農地を2倍に広げました。収量が多くなれば、取引先も増やせるので、直販サイトや自社のECサイトでの取り扱いも拡大していく計画です。

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