第18回ナノ会議レポート「大阪・関西万博メンバー特別会」萬代基介/三井嶺/佐々木慧
はじめまして、ナノメートルアーキテクチャースタッフの堤創希です。
6/24に第18回ナノ会議を開催しました。
今回は特別回として、我々も設計を担当する「大阪・関西万博」より、萬代基介さん、三井嶺さん、佐々木慧さんをお招きしました。
我々ナノメートルアーキテクチャーは「サテライトスタジオ」(放送局の放送用スタジオ)、御三方は「ポップアップステージ」(イベント用屋外ステージ)の担当です。
御三方とも個性的で魅力的なプレゼンをしていただきました!
◯佐々木さん
「新しい物事の統合」
福岡を拠点に国内外で活動されている佐々木さん。
今回は佐々木さんが持つ建築像の説明から始まりました。それは要素と要素の間を染み入っていく「エーテル」であり、そこから生まれる「新しい物事の統合」というものでした。難解に思えます。しかしプレゼンの展開はダイアグラムが建築に置き換わっていくように建築と要素が明示され、順序立てられており個々の建築の焦点が理解できるよう工夫されていました。プレゼンを追っていくことで、佐々木さんの建築が概念イメージによって紐解かれていくような体験ができました。
特に「街・建築・自然・その間」というテーマのホテルの説明をして頂いた際に、丁寧に読み込まれ、相互的な関係の在り方が形となっている建築の有り様を示していただきました。それがこの「新しい物事の統合」という言葉と結びついてとても分かりやすかったです。
◯三井さん
三井さんの作品は他のお二人とは異なる建築表現でした。人間の意識や動きを空間の中に落とし込んでいて、それが起こす誤認識自体を表現しているというふうに理解しました。もう少し具体的にお話ししますと、「こうゆう見え方をするものは柱だ」「家具だ」「屋根だ」という無意識に起こる認識にアプローチして、空間を組み立てています。そのように綿密に設計されて引き起こす通常ではない見え方を「消える」と表現されています。三井さんの作品を追っていくと、この言葉は非常によく理解できます。注目する場所を変えると急に大きく現れるものがあったり、逆に全くいなくなったりすることが分かると思います。
「絵」でメモをとれ!
印象的だったのは、言葉を追ってメモを取っている我々に、三井さんは写真を「絵」でメモを取るように教えてくださいました。その理由は眠たくならないようにとおっしゃっていました。しかし、それ以上に三井さんの作品を「絵」によってメモを取ると、言葉以上に密度高く表現されていることに気づき、三井さんの作品に現れる「意識」への理解が多分に感じられます。
◯萬代さん
「石巻の東家」「Prototyping in Tokyo展 会場構成」「椎葉邸」
萬代さんは丁寧に作品の細部まで説明をしてくださいました。形の考え方、スタディのやり方、屋根勾配と周辺の関係、柱の太さ、構造上の配置、確認申請のとり方などなど緻密な操作について教えていただきました。
「東家」「展示台」「古民家」が対象。しかし材質、周辺環境、歴史、生活、重力など根本的なところから文脈を拾い上げる姿勢がそれらの「東家」「展示台」「古民家」をその概念にとどまらない射程を持つ作品にしていました。
◯おわりに
特別回ということで4時間に拡大された第18回ナノ会議でしたが、個人的にはあっという間に終わってしまいました。密度の高い建築の話が続き、ゲストの御三方に真摯に参加して頂いたおかげで充実したナノ会議になりました!
ありがとうございました!
ナノメートルアーキテクチャー スタッフ堤創希
次回は7/21金19:00より建物の法律家、佐久間悠さんをお招きし開催します。詳細はリンクより御覧ください。
第19回ナノ会議
過去のアーカイブ
youtubeチャンネル にて随時更新していきます。
第12回「SNS・Webを活用した建築人の生き残り方」マーケター/youtuber しばたまる
第11回「 照明器具をつくること、光環境を考えること」/池畑善志郎
第10回「建築と写真のあいだ」/建築写真家 ToLoLo studio 中村マユ
第9回 「挑戦と調整」/建築家 瀧尻賢