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地域振興券再び、になりそうな給付

前回の続きで、18歳以下全員に10万円を一律支給から、所得制限をつけて、5万円は現金、5万円はクーポンを配布という形で自公が合意したようです。そもそも、振り込みは税額控除よりもイケてないというのが前回の気になった点ですが、クーポン式はさらにダメです。
クーポン式はなぜダメか?地域振興券を振り返ってみましょう。

地域振興券とは

アジア金融危機の後の1999年に行われた施策です。当時の私は15歳だったので、この対象でしたが、親が通常の支出に使っていた記憶しかありません。
公明党の強い意向から本政策は実施されたようでこれから行うであろう10万円の給付と全く同じです。

国の緊急経済対策の柱として、若い親の層の子育てを支援し、あるいは老齢福祉年金等の受 給者や所得の低い高齢者層の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起と地域経済の 活性化を図り、地域の振興に資するため、地域振興券交付事業(交付総額7,000億円程度)が 実施されることになりました。
地域振興券交付事業は、市町村が実施主体となり、財源は全額国が補助します。
地域振興券 の交付対象者は、15歳以下の児童が属する世帯の世帯主(15歳以下の児童1人につき2万円) や老齢福祉年金の受給者等(2万円)です。
地域振興券は、
・額面は1,000円で、物品(商品券等を除きます。)の購入等の支払いとして使用できま す。なお、釣り銭は支払われません。
・地域振興券を交換、譲渡及び売買することはできません。
・地域振興券の使用できる期間は、市町村が地域振興券の交付を開始した日から6ケ月間 に限られます。

地域振興券の政策効果

内閣府の調査では地域振興券による32%程度消費が純増したといっています。

振興券がなければ購入しなかったと回答した買い物の総額は、振興券使用額の18%程度あった。また、より高価な買い物や多数の買い物、ないし、振興券がきっかけとなって行った買い物によって、支出が増加したとみられる金額は、振興券使用額の14%程度あった。これらを合計して、振興券によって喚起された消費の純増分は、地域振興券使用額の32%程度であったとみられる。

クーポン式の問題点

まず、今回の支給分は将来のどこかのタイミングで増税されると国民が思っている限り(そう、矢野タイタニック論文を公的に否定しない限り)、その分は貯蓄に回るため、消費は喚起されません。
さらに、クーポン式の場合、貯めることはできずに消費せざるを得ないことになるのですが、生活が苦しい人ほど、家賃や水道光熱費、通信費のような生活支出にも使いたいところです。にもかからわず、クーポンは一般小売店での使用に限定されるため、せいぜい食料品の購入しかできません。消費喚起ではなくて、経済支援の目的であれば現金で、いや、もっと早くできる年末調整か確定申告での一括減税がベストです。

今回のさらにダメな点

今回は所得制限も設定するそうで、その年収は960万円とか。これもダメです。生活困窮な子育て世帯を支援したいのであれば、住民税非課税世帯に10万円を継続して一定期間支給すればいいし、子育て世帯全体を支援したいのであれば所得制限は設けるべきでないです。そもそも年収960万円以上の世帯なんて数パーセントだから、ここはケチるべきところではないと思います。地域振興券の消費をみていると、高額所得世帯のほうが10万円を消費に回しそうですけどね。

今回の政策評価も要チェックです。地域振興券と2009年の定額支給に続く、ダメ政策にしか見えません、今のところは。

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