タイトルで損している一冊

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594086015

本書の概要

アジア史というよりも、インドシナ半島のカンボジアに関する一冊。3人の著者が、それぞれインドシナ半島の歴史、第2次世界大戦後の日本人がかの地で果たした役割、華僑たちがいつインドシナ半島へ進出しどのように生きてきたかを各章で説明し、3人の対談で占める形式を採っている。どの章も面白いし、改めてガンボジアに目をむけて見ようとも思った一冊でもある。

本書の惜しい点

内容は読み応えたっぷり。個人的には福島香織氏の第3章が驚きだらけだった。カンボジアといえば、彼の地に旅行に行くとやたらに穏やかな現地の人の中でやたらとオラついている中国人が目立っていてげんなりすることも多いのだけど、華僑のカンボジアへの進出は早く、ポルポト時代の苦難なんかを考えるとひとまとめで中国人がと批判をしてはいけないと改めて思った。

また、カンボジアといえば、ベトナムとタイの間でも奪い合いになる地域であるので、別に米中ソだけが翻弄しているわけではない。もちろん、日本も少しはインドシナ半島に対して、影響を与えた時期はあった。なので、このタイトルは本当にやめた方がよかった。カンボジアというタイトルを使えば、もっと間口が広がったはず。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集