海外移住をより楽しいものにするために渡航前に習っておきたいスキル
2020年七月末のこの時点では、まだ自由に海外渡航ができないので、海外移住を考えておられるあなたにとっては色々準備する時間が良くも悪くも長くなっていることだろうと思う。
そこで、アメリカと中国に計20年住んだ経験から、ある程度できるとヒーローになれる、僕がお勧めするスキルが3つあるので、これから海外移住の準備をしておられるあなたの参考にしていただきたい。
渡航前にこれらのスキルを身につけることは、お金を貯めるのと同じくらい、もしくはむしろそれより大事であると思っていただいてもいいくらいだ。
何故ならば、例えば1万円というお金は使ったり、誰かにあげてしまうと手元からなくなってしまうが、スキルは使ったり、誰かに教えてあげてもなくならないからだ。
どんなスキルがいいのか?
さて、身につけて生活が豊かになるスキルには色々あるが、海外プチ移住にもガチ移住にもやくに立つのは、以下の条件を満たす必要があると思う。
万国共通
道具を必要としない
皆で楽しめる
ゴルフやサーフィンなどは万国共通で、うまいとヒーローになれるが、波のあるところや、ゴルフ場があるところに限定されるのと、道具がでかいのでイマイチだ。 ギターが弾けると皆で楽しむことができるが、ギターはかさばる。
かさばる道具が必要な場合、ローコストキャリア全盛のこの時代、重量やサイズはお金に直結する。
例えば僕はジェットスターという格安航空会社を利用して、航空料金が一万円なのに、荷物の重量超過のために五千円払ったこともある。
日本文化の書道や茶道もいいが、一緒に皆で楽しむという部分では万国共通ではないし、ある程度の道具が必要だ。
その点で僕のお勧めする以下の三つは先ほどの条件を満たしている。
武道 料理 ダンス
武道
僕は、大学2年生の時に一ヶ月ほど一人でオーストラリアを旅行したのだが、バックパッカー用の宿で一緒の部屋になったスコットランド人の兄弟から、
日本人だったら空手を知ってるだろ、教えてくれよ、
と言われた。 僕はスポーツは得意だったが、武道は何も習ったことがなかった。 しかし、僕は彼らに嘘をついて、
できるよ
と言い、見よう見まねの空手の型を教えた。 しかしその後彼らに嘘をついた自分が本当に嫌でたまらなかった。
僕は大学三年の時に、卒業後に海外留学してそのまま移住しようと決意した。 そしてその時20歳になっていたが、もう二度と嘘はつきたくないと思ったので、何か日本ぽい武道を探そうと思い電話帳を眺めると、最寄り駅前に合気道場を見つけたので、すぐに見学のアポを取って入会した。
そして2年間稽古した結果、留学出発前に初段をいただくことができ、晴れてブラックベルト(黒帯)を持ってアメリカに行くことができた。
アメリカでも、日本の師範の先生を通じて現地の道場を紹介していただき、到着した日からすぐ日本人の先生や道友に大変可愛がっていただいた。
海外に移住した際、まず言葉を勉強する必要があるが、友達がいると上達が早いことは誰でも知っている。 しかし友人をいきなり作るのは何かの利害関係がない限り難しい。 その点毎週決まった時間、決まった場所で、同じルールにのっとって一緒の稽古をする仲間がいると、友人になりやすいし、コミュニティに属することができて、ネットワークがのちに仕事につながったりもする。
照り焼きヨシダソースで当てて大成功した、あのヨシダさんも渡米後、現地の警察官相手に空手を教え、その教え子の一人が、パートナーになり、照り焼きソースを開発したと当時を知る人から聞いている。
そしていうまでもないが、武道を習って心が練れていれば海外で危険な事態に遭遇しても冷静に対処することができる。
注意点
同じ種類の武道でも流派によっては全く違う動きや哲学を持っているので、渡航先で流行っている武道と流派をあらかじめ調べてから選んで習うのをお勧めする。
料理
海外移住すると、日本人ならばほとんどの人が日本食が恋しくなるはずだ。 しかし海外では日本食レストランに食べに行くのは贅沢なことである。
例えばアメリカのロスアンゼルスでの場合、二人で食事して日本円で5000円ほどであったとしても、9.5%の消費税に15%のチップを払うので、およそ25%多く払うことになる、すなわち6250円だ。
しかしもし自分で料理することができるならば、カリフォルニア米も美味しいし、豆腐も現地で生産されており、日本食スーパーも充実しているので、驚くほど安く作ることができる。
https://www.tokyocentral.com/c-192-japanese-rice.aspx
そして先ほどの武道の話と同じで、海外の人たちは日本人ならば、寿司を誰でも作れると思っている人が多い。 そこで期待に答えて巻物を数種類作ると確実にヒーローになれる。(握り寿しでなくても良い)
僕は日本で数年間バイトで小料理屋の厨房で働いたことがあり、そこに腕のいい板前さんがいて色々な技術を教えてくれた。 厨房で働くのはブラック中のブラックだと感じたが、だしの取り方や、魚の捌き方、包丁の研ぎ方や、野菜の剥き方などを教わり、そこで習ったスキルは一生の宝になっている。
僕は、プライベートだけでなく、仕事でも海外に行くときは、スーツケースに全て百均で買い揃えた、のり、だしのもと、味噌汁パック、粉末寿司酢の素、簀巻き、おいなりさん用油揚げパック、ごま、だし巻き卵の素、おひたしの素と包丁とぎを入れている。 しかもこれらは、かさばらず機内持ち込み手荷物に全て入れられる。
これがあれば、いきなりホームパーティーに招かれて、日本食を作ってくれと言われてもなんとか対応できる。
海外の家では包丁が切れないことが多いので、百円の包丁研ぎが活躍する。
刺身がなくても、どこの国でも大都市ならば、大抵、冷凍カニかまぼこ、アボカドと、キュウリ、マヨネーズ、米は手に入るので、最悪カリフォルニアロールはできる。
そして、おいなりさん用油揚げは、すでに味が付いているので、そのまま酢飯にゴマを混ぜたものを入れればおいなりさんができるし、油揚げを閉じないで、クリームチーズをのせて、スモークサーモンなんかをのせてもオードブルとして提供できる。 これで味噌汁パックで、一人ずつ味噌汁を出して、おひたしとだし巻き卵も作ってあげれば、5種類の品で、ディナーに貢献できるので、面目は保てる。
そしてもし海外で、どうしても仕事が見つからないときは、日本食レストランに連絡して包丁が使えると話せば、たいていの店が雇ってくれるはずだ。 日本食レストランはどこの国でも、慢性の人手不足だからだ。
注意点
海外で店をやりたい人を除いて、日本食レストランで働くことを最初から見据えた海外移住はオススメしない。 ビザがもらえる場合があるし、比較的いい給料がもらえるが、昼夜働き、休みは疲れて寝るだけになり、なんのために海外にいるのかわからなくなるからだ。
ダンス
海外では、誕生日会でも、セミナーの打ち上げでも、何かとディナーが終わると、音楽がかかり、パーティーが始まる。 そして夜が深まるにつれて、皆が踊り出す。
そして大抵、ラテン系の曲が流れ、男女が手を取り合って踊る感じになる。 僕はアメリカ留学中、ラテンダンス、いわゆるサルサ、バチャータと呼ばれるダンスを知らないで過ごしたので、ラテンの曲が流れるとすぐに椅子に座って傍観者になっていた。 アメリカ美女に踊りを誘われても、
僕は踊れないんだ。
と行って持っていたグラスにしがみついて、周りの男女が情熱的に踊るのをただ羨ましく眺めていた。
そして中国移住後、踊れない自分に別れを告げるために、ついにサルサ教室の門を叩いた。
古くて申し訳ないが、周防正行監督、役所広司主演の『Shall We Dance?』という映画を見た方ならわかると思うが、いい歳したおっさんが、初心者としてダンスを始めるのは、少し勇気のいることだった。
しかし一年もするとなんとか形になって、それからは僕はラテンサウンドウェルカムになって、どこの都市に行ってもまずラテンバーをググるのが習慣になった。
サルサ、バチャータは万国共通の踊りのスタイルで、大都市でなくても大抵の街にはラテンバーがあり、サルサナイトが催されている。 なのでサルサを知っていれば、知らない国でも、一人で、サルサパーティーと呼ばれるサルサダンスナイトに行って、一晩踊ることもできるし、友達もすぐにできる。
さてここでサルサって何と思う方もおられると思うので説明すると、
昔アフリカからキューバに連れてこられた人たちが、ソン、と呼ばれる音楽とともにアフロキューバンダンスを生み出し、それが米国に渡ってサルサという音楽になり、それに伴いダンスが発展し、現在は大きく分けて、ニューヨークスタイル、LAスタイル、キューバンスタイルに分かれている。
バチャータは、スローなラブソングを、男女が密着に近い距離で踊る。 どこのサルサナイトでも、かならずバチャータの曲がかかるので、これも習っておいたほうがいい。
注意点
基本的に女性は男性のリードに合わせてフォローする側なので、数週間もするとダンスパーティーで踊れるようになるが、男性の場合、ある程度のステップを覚え、体にしみこませなければならないので時間がかかる。
渡航先でもスクールを見つけて習い続けるというスタンスで取り組んでいただきたい。 それでも渡航前に短期間でマスターしようという方には、ひたすらプライベートレッスンを受けることをお勧めする。
まとめ
今回紹介した三つのスキルは、万国共通で、古くから人類の文化に密着し、人生を豊かにするものである。 そしてもしこのスキルが熟練したレベルであれば、海外で身ぐるみを剥がされたとしても、これらのスキルを教えたり、使ったりしてお金を得ることができるので生き延びることができる。