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Ascended Dead - Evenfall Of The Apocalypse
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USはサンディエゴ出身の4人組デスメタルバンドによる2023年2ndアルバム。20 Back Spinより。まさにドス黒いジャケットような重々しい音を響かせてくれるOSDMなのだが、もうちょっと話題になってもいいのではないかと個人的に思う作品だ。
デスメタルといってもウォー・ブラックを通過したMorbid Angelをさらに狂気に近づけたかのようでもあり、Pissgraveのような隙を与えない演奏はここ最近のデスメタル界隈の中でもひとつ頭を抜きん出ている。
燃える黒い炎の中で絶叫するようなヴォーカルは自らの喉を潰すような吠え叫ぶグロウルだ。その地獄の業火の中でツインギターは2つで別々の熱を帯び激しく揺れ、全てを破壊し尽くしかねない爆走するドラムは聴く者の鼓膜に安息はほぼ与えず、無慈悲で殺意が衰えることは一切ない。
アルバム後半までは耳の処理が追いつかないような勢いのテクニカルさと燃えるような激しさを保ったまま突き進んで行き、余韻はトラックとトラックを繋ぐ数秒間のブレイクだけ。
後半#9 Passage to Eternityではアコギをとり入れたフラメンコ調のインスト曲を入れてきて緩急をつけているところも面白いのだが唯一のこのインスト曲はインタールードではなく、あくまでも台風の目のような役割を担っていて気が付けばあっという間に暴風雨の中へ戻る勢いを取り戻していく。タイトルトラックにもなっている#10 Evenfall of the Apocalypseで激しさはピークを向かえ、鎮火した後の灰が風に乗り、荒れた黒い荒野だけが残るようにして終わりに近づいてゆく。
そしてラストナンバーのアウトロ#11 Intransigent Blacknessではオーバーキルをするかのように畳み掛けてくる最後の灯火だ。そしてこのアルバムはフェードアウトにより幕を閉じる。まるでそれは今までの全てはまだ序章に過ぎなかったんだと無言で語るようにして。
次の作品で彼らがどんなふうに戻ってくるのか私は楽しみだ。