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歳を重ねる毎に書く恒例の作文です。

45歳になりました。田村正和さんがニューヨーク恋物語を演じた歳です。ボクもレストランでケチャップをひっかけた20代の女の子(五十嵐いづみ・丸顔)に、白いワンピースを贈って「きっと似合うよ」とサラっと言って立ち去ることになるのでしょう。よいわー。

そんな田村正和さんの逆に位置するのが、最近のCMですね。CMはタクシー備え付けのモニターで見ることが増えたのですが、まあ酷い。タクシーのモニターって一定の品質以下のCMしか流せない規約があるんだろうか。質が高い映像作品を流すと運転手さんが気になって事故が増えちゃう対策とか?それくらい酷いです。

村上春樹は、ある種のライターの仕事を「文化的雪かき」と表現したけれど、劣化が進んで「文化的ツラ汚し」な仕事が蔓延していますね。

企業名、サービス名の連呼。稚拙な企画を補うための知名度の高い出演者。その手法が”測定可能なKPI値”を平均的に高く取れるのは分かるけど、企業としてアレを世間に見られること自体、恥ずかしくないのだろうか。洛南高校の前をデラックス東寺(京都の老舗ストリップ劇場)のド派手な看板背負った軽トラが大音量で叫び回ってたのと、やってること完全に一緒じゃないか。

最近なんて唐沢寿明が、なんかのサービス名連呼してて二度見しました。唐沢よお前もか。サービス名を覚えてない時点でそのCMは完全に機能してないわけだけど。白い巨塔よかったのに。唐沢さん、仕事ないのかな。それともIT企業の潤沢な予算に抱かれちゃったのだろうか。

ポリシーを強く持たなければ、数値的に優位な立場の(もしかしたら中身は空っぽの)人たちに良いように使われる時代です。昔からそうなんだけど、その傾向は強くなるばかり。それまでの積み上げをも無に帰す罠。老舗ファッションブランドが好調にあぐらをかき収益利益に比重を置きすぎると、何十年も積み上げた「ブランド」を一気に換金した状態になり潰れます。それに近い光景を頻繁に目にしている気がしてモヤモヤします。

持つものはより持ち、持たざる者はより持たなくなる。最近、再び、この手の議論を良くします。話して、話して、今こう言う感じの議論まで来ています。

ITの進化によって、今の我々は一日あたり相当多くのアクション数を実行できます。連絡を取ったり、調べたり、インプットしたり、アプトプットしたり。30年前の一日のアクション数と比較すれば、優に5倍にはなるはず。

これって仏教で言うなれば、今の人は一生涯のうちに、昔の人の五生涯分、五回連続で人間に生まれ変わった程の修行ができるようなもの。昔の人は、五回連続で人間に転生できる確率を相当低く見積もっていた訳ですが、逆に一生のアクション数を5倍にできれば、「人間に生まれ変わること」のコンバージョンレートを1.0に固定出来て「悟り」の期待値は相当高くなる。実はナチュラル・ボーン「ドラゴンボールの精神と時の部屋」状態。生まれた時から確変です。少なくとも人類は環境をそこまで進化させて来た。

これは転生論で例えるなら、人類はデフォルトで「来世以降のアクション数の前借り」が出来ていると見なせる。すごい贅沢。というか、すごい楽なはず。我々の便利な生活も、かつて無かったほどの企業の成長スピードも、唐沢寿明に唯々サービス名を連呼させるだけのCM予算も、「未来からの前借り」をレバレッジして成立している。

実際「前借り」って上手く使う人と、無駄遣いをする人が極端に分かれる。そりゃ金銭的にも二極化するし、”文化的雪かき”が”文化的ツラ汚し”まで落ちるのも簡単です。

ボクは元々、効率オタクで、アクションや時間、労働の効率化を20代、30代とゴリゴリにやってきました。「こんだけ効率化して何がしたかったんだっけ?」とハタと気づいてここ数年考えています。一番の問題は「効率化にゴールがない」こと。これまで誕生日毎に書いて来た作文もそういう思案のクロニクルになっているなと感じます。

もちろん毎年毎年、明言できるほどの変化があるわけではないけど、この一年で言えば「誰かと一緒にやろう」とし始めました。ようやく。ご存知の通り、ボクは人が多い状況が苦手です。自分が居なくても回るのに、わざわざ自分が割り込んでポジショニングするのが苦手。ほんと苦手。家に帰って本でも読んでいたい。

そんなボクが、昔だったら絶対にやらなかったコミュニケーションをするようになりました。ひとつは「誰かと、対等に、組む」こと。もうひとつは「コミュニティを、自分が、作る」こと。

誰かと、対等に、組むこと。友人のファンタジスタ歌麿呂と「ユニット」を組みました。歌麿呂とは去年ニューヨークで出会って意気投合しました。夢と希望と拘りと苦悩と絶望がめちゃめちゃ似てるのに、性格も行動も得手も不得手も真逆な奴です。だから得とか、だから損とかじゃなくて、二人で一人みたいな気がして一緒にやることにしました。正直こんな考え方はしたことが無かった。自分でもびっくりしてます。

二人の作品の第一弾として「きゃりーぱみゅぱみゅ」ちゃんのMVを監督しています。はじめてMVに携わったので、進めながら知ったことが多すぎて色んな方に助けてもらった仕事になりました。その中でも歌麿呂が必死に企画を曲げない様に守ってくれました。24歳から今までずっと、一人でプロジェクトの座長やってる感覚で来たから、不思議な体験でした。ユニット名は「ナカヤマン*タジスタ歌麿呂」という、これまで長々と書いたこの作文が台無しになるインパクトの名前でござるよ。

MV: きゃりーぱみゅぱみゅ - きみがいいねくれたら
https://www.youtube.com/watch?v=8DitMqeKSP0&feature=youtu.be


コミュニティを、自分が、作ること。もう、こんなの考えられなかったのですが、オンラインサロンをはじめました。はじめましたと言うか、苦手分野なので去年の7月から牛歩で進めています。今月が12ヶ月目。現在103名のメンバーがいます。

ボクのサロンで月額会費を集める、働かなくても毎月3000万円入ってきて、、うひひ、というオンラインサロンではないので悪しからず。メンバー含めてボランティアで成立している月額500円の貧乏サロンです。

500円というのはキャンファイヤー社の設定する最低金額なのですが、これさえ満たせばイベントスペースを無料で貸してくれるので、自前で場所を借りるより安いという台所事情によるものです。。と書いてて、他のオンラインサロンの羽振りと違いすぎて凹んで来たな、、、

内容は文化的雑学を、分科会形式で、分担して学ぼうというサロンです。コンテンツも、ニュアンスも、初期からメンバーでいる酒井くんがコラム記事にしてくれています。良い記事なので雰囲気に興味がある方は以下のリンクを読んでみて下さい。記事にもありますが、17世紀のサロン文化の再構築のつもりでやっています。試行錯誤中。

「自分の学ぶべきこと」に気づける、アート思考のオンラインサロンが経営者にも人気
http://thefrontier.site/?p=197

ナカヤマン。オンラインサロン - SALON no SALON
https://camp-fire.jp/projects/view/85911


ということで「2018年休んだ分、2019年ボクは仕事してますよ!」という文章を書こうと思っていたのですが、全然違う作文を書いてしまいました。会う人会う人に「もう仕事してるの?」って聞かれるんだもん。してる。仕事してる。お仕事ください。ちなみに「ニューヨーク恋物語」はフジテレビオンデマンドで配信中。みんな見よう!

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