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自分だけの言葉

いつも他の人の言葉を拠り所にしている気がする。
ドラマや映画を観たあと、小説を読んだあと、ネットニュースの見出しを見たあと。自分の思考を働かせるより先に、指が検索画面の上を滑っていく。

これを観た人はどんな感想を抱いたのだろう、どの部分が心に響いたのだろう、この出来事に対して人々はどのような意見を持っているのだろう。
知らず知らずのうちに、自分と似たような感想や意見を確認することが一種の快感になっている。やっぱりここはこうだったよな、とかここはおかしいよな、とか。ドラマを見た後などは、その行為自体が余韻を残してくれるようにも思える。
赤の他人の感想を、まるで自分も最初から持っていたかのように錯覚することもある。

けれどその気持ちのいい行為こそが、自分の頭で考えることを放棄させてしまっているのでは?というのが最近ぼんやりと思っていること。
自分で考えるよりも先にそれっぽい言葉を探して、そこに自分の考えを無意識のうちに当てはめようとしているだけで、そこに私だけの言葉はない。

そんなことを考えている時に、ある番組を教えてもらった。
この4月から放送を開始した、NHKの新番組『言葉にできない、そんな夜。』。

早速初回放送を見ると、まさに今自分が求めていた「自分だけの言葉と向き合う」ための番組で、あっという間に30分が過ぎた。
内容は、あるシチュエーションが提示されて、その瞬間の感情をどう表すかをスタジオにいるゲストが発表しあい、お互いの言葉を味わうというもの。

初回放送で取り上げられたのは「昔よく聴いていた懐かしい曲を久しぶりに聴いた時」というお題。
私が言葉にするなら、「自分の心がふわふわと過去に飛んでいって、そこでの匂いや音や感情をまるごとぎゅっと掴んで離したくなくなる」かな。これまで何度も経験した瞬間なのに、いざ言葉にするとなると難しい。
そんな中、ゲストの金原ひとみさんと橋本愛さんの言葉がまさしくその瞬間を的確に表していて、ああ、こういう表現ができるようになりたいと思ったので、未見の方はぜひ見逃し配信で……(NHKの回し者ではありません)。

という訳で、これからしばらくの自分のテーマは、「自分の言葉で自分の感じたことを表現すること」にしたので、気の向いたときにnoteに書き留めていこうかなと。もしよかったら読んでください。