借金を抱えて債務整理した話
私は23歳の時、借金があった。気付いた時には、
時すでに遅し。今日はその話をしようと思う。
私は、中高生の頃からお金がなかった。
お小遣いをもらっても、
あればあるだけ使ってしまう子供だった。
大学生になって一人暮らしをしてもそうだった。
なぜかいつもお金がなかった。
どうして無いのか、分からなかった。
いくら収入が増えても、
気付いたら明日 ご飯を食べるお金が無いのだ。
お金が無いのはとても切ない。
何より、お腹が空いてるのに、
食べたいものが食べられないのが辛かった。
本当はもっと美味しいものが食べたいのに、
10本入りのスナックパンを
ちびちび食べるのは切なかった。
お金が無いと言うこと、SOSを出すこと、
それは、
もっと自分を惨めにさせるからしなかった。
意地を張って、反抗して、
強がって、19歳で実家を出てきたから。
そのうちにクレジットカードを使うようになった。
支払いが遅れてやってくるから。
でも、しばらくしたら支払いが出来なくなった。
先月に自分が使った分を払うだけのお金が、
手元に無いのだ。
私は焦って、家にある不要なものを売った。
それでも足りなくて、自分の時間や心を売った。
いつも何かに駆られていた。
いつも寂しくて孤独だった。
たった数時間で稼いだ35,000円を握りしめながら、
アルバイトの送迎の車の中で静かに泣いていた。
お母さんに会いたいと思った。
自分を大事にできなくてごめん、とも思った。
そして、短時間で稼ぐっていうのは、
心を売ることなんだと思った。
いくら稼いでも、すぐ支払いに消えていく。
そのうちに、それでも足りなくて
リボや、キャッシングを使うようになった。
22歳の私は無知で、その意味を知らなかった。
仕組みは分からないけど、
お金がいくらでも使える。そう思った。
クレジットカードに
その設定がされている事すら知らなかったのだ。
社会人1年目。23歳になって
ようやく気付いた時には遅かった。
限度枠がいっぱいでカードが使えない。
そうなってから、ようやく気付いたのだ。
自分がリボ・キャッシングという
借金を抱えていることに。
クレジットカードを2枚持っていたから
70万円ちょっとあった。
その時の衝撃は今でも覚えている。
嘘だろ?!どういう事?って。
私は、その時
全てがうまくいっていると思っていたのだ。
ノートに借金額を書いて、
今の収入と全財産を書き出した。
カードを使えないということは、
明日からの食費のための現金がほぼ無い。
食べるために、返すために、
稼がなきゃいけない。
友達と会う約束をしているけど、会えない。
そのための現金がない。まず交通費が無い。
何にこんなにお金を使ったんだ?
ひょっとして使い込まれた?
まさか。そんなわけ無い。
あまりの無力感に涙が止まらなかった。
気付いた時には手遅れ。
なんて馬鹿な事をしてしまったんだろう。
なんで気付かなかったんだろう。
どうやって返そう?
会社にバレないかな?
もう、背中に誰かが乗っているみたいに
体と心が重かった。
とりあえず、稼がなきゃ。
そう思って、すぐにバイトの面接の電話をかけた。
社会人になったからバイトを辞めていたけど、
副業でまたバイトをしないと返せないと思った。
また私は、時間と心を売った。
たしかに、お金は短時間で手に入った。
でも、いくら働いても、睡眠を削っても、
すぐに支払いに消えていった。
A社に返すために、B社から借金をする。
その繰り返しだった。
真っ暗な穴に落ちてしまった感覚。
友達や家族の前では、お金の話は全くしなかった。
何にも問題ないといってヘラヘラ笑っていた。
強がっていた。
情けなくて、恥ずかしくて、言えなかった。
でも本当は、毎日辛かった。
ずっと焦っていた。
銀行からお金を数えながら出てきた人を見たら、
1枚頂けませんか?って聞く想像をしてしまった。
自販機や券売機を見たら、
お釣りが放置されてないか見るようになった。
貯金をしているという友達の、
話を聞くのが辛かった。
視野が狭くなって、通常の判断ができなくて
ネットワークビジネスに引っかかった。
さらに50万円の負債を抱えたりした。
借金に気付いてから、解決するまでの一年半くらいは、ずっと体と心が重かった。
肩に誰がが乗っているみたいだった。
彼氏ができても、いつかバレるのでは
そう思ってずっと怖かった。
いくら返しても無くならない。
もう手に負えなかった。
100万円も、120万円もここまできたら一緒だ。
23歳の私は自暴自棄になった。
恐ろしくて、考えるのを辞めた。
そもそも、リボ・キャッシング・消費者金融は
利息がとても高いのだ。
心と体を売って、必死で稼いだお金は
毎月、利息のためだけに消えていった。
元金は全然減らない。
そうやって生きていた頃、
私にとっての転機があった。
美容院に行ったとき、思い切って
仲のいい美容師さんに本当のことを言ったのだ。
私、いま借金120万円あるんですよ。
やばくないですか?って。
いつもの満面の笑みで。
そしたら、仲のいい美容師さんが思いのほか
親身になってくれた。
誰かに助けを求めないのか?
美容師さんに、真面目な顔でそう聞かれた。
私は、本当に、びっくりした。
誰かに助けを求める。
その選択肢が私の中にたったの1%も無かったから。
そういう生き方をしてこなかったから。
それで、考えてみた。
助けを求められる人は、いないのか?
助けを求める方法は、何かないのか?
結局、府の多重債務相談センターに電話をかけた。
関西人のおばちゃんが話を聞いてくれた。
そして、無償で弁護士を紹介してもらって、
債務整理をした。
(債務整理:債務の減額や免除、支払い期間の調整などにより、法的に借金問題を解決する手段のこと)
今は、合計で月 3万5千円を
カード会社2社と消費者金融に払っている。
月3万5千円だけでいいのだ。
やっと抜け出せたんだ。
そう知った瞬間、体と心が軽くなった。
頬に当たる風や、緑の美しさ、視界に入る全てが
急に鮮やかに思えた。
大袈裟ではなく、人生が始まったと思った。
今までは、借金のためだけの毎日だった。
返すために過剰に働き、睡眠を削っていた。
借金だらけの私に、未来なんてなかった。
勉強をしたくても、友達に会いたくても、
デートをしたくても、結婚をしたくても、私には、返せないほどの借金があった。
お金はいつも無かった。
無いどころか、とんでもなくマイナスだった。
債務整理をする前は
月20万円とかの支払い請求が来ていた。
私は、手取り15万円だったのに。
バカな私に
転機をくれた美容師さんと、相談センターと、
債務整理という仕組みと、弁護士さんに、
心から感謝してる。
今は、自分の無知を悔いている。
4万円持っていても、
本当に必要な数千円だけしか使わない。
見栄や虚栄、私利私欲のためだけじゃなくて
人のために使うようになった。
家計簿アプリと、先取りの強制貯金も始めた。
知らないってことは怖いことだ。
いまは、お金に強くなりたいと思って
ファイナンシャルプランナーの勉強をしている。
自分を守るために。
もう、あの真っ暗な穴に落ちないように。
長い文章を、ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
お金の勉強は、国語や算数のように
学校の授業にあったらいいのになと思います。
これからの若い人が
無知ゆえにこんな失敗をしないように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?