クランク機の技術的ノウハウ
自機体語りが興に乗ってきたので、続きを書く。簡単な機体変遷も混みで説明していくので、そもそもお前誰だよって人は僕の自己紹介を見てね。
前記事書いてたら長くなりそうで、"とってもかんたんな"と銘打った手前、看板に偽り有りとはよくないので分けた。こっちに載せているのは知らなくても死にはしない内容だが、貴方がこの界隈でサヴァイヴする助けになれたら嬉しい。
リンク周りの材質とか
強度とかの参考までに。
見ての通り7000番をふんだんに使っています。理由は前記事で述べたとおり。
スライダアームの中間節は初めはFRPでしたが、忘れもしない2018年紅華祭…リングの試走で障害物にぶつかった際に儚くも座屈死しました(通称突き指)。その後の二回戦で残ったアームも折られ…
座屈には気を付けよう!
割とオープンにして良さげな情報
クランク機のちょっとした工夫について述べます。この一手間で整備性や動きが変わって来るので、作った後になって「クランク機わからなすぎる!俺には手に負えないぜ!」とか泣き言をいう可能性を減らせます。多分ね。
プーリとベルト
アームの動力伝達にはスーパートルクタイミングベルトを使用しています。
https://www.monotaro.com/g/00246389/
ベルトの特徴として、軸間が伸ばしやすい、ヤバい負荷が掛かると滑って死ぬことが挙げられます。多分メリットにもデメリットにもなる気がしますが、クランク機にとっては基本いい事なはず。(クラッシャブルゾーン!知ったばかりの単語を使いたがり)
プーリは三つ星ベルトさんのサイトからCADデータをダウンロードして作ってます。要会員登録。
ザックリ構造。6tのPOMを削り出してネジ締結しています。内部に六角穴を掘り、そこにM4六角ボルトを嵌めています。
駆動節の穴
二段目の駆動節には整備性向上の為に穴が空いています。これにより一段目の駆動節のねじにアクセスできるようになってるんですね。ダークエボルバーみたいでカッコいいと思ってる。
内側の層同士を繋ぐ
アームが4本もあると、振り回しているうちにアーム同士でこんがらがります。そこで、内側の層同士をシールドで繋ぐことでそれらを予防します。揃った面で叩くと威力も上がって一石二鳥!
揺動節の根本
リンクがガタつくとリンク同士が干渉して回らなくなります(前記事参照)。揺動節の根元にこんなかんじのパーツを付けることで、安定性を増すことができます。
あとはセットカラーとワッシャーでいい感じに調整すれば良く回るってわけです。
復帰の剛性と幅
復帰機構は剛性を確保するためにお互いをシャフトでつないであります。
復帰機構にはある程度の長さと幅があると安定して復帰できます。おススメは掌くらいの幅にすること。機体にプロポが刺せる。持ち運びに便利だよ。
まあこの辺発案したの先輩とか同期なんだけどね。賢いなぁ。
機体の構成に関わる情報
機体構成に関する情報について述べます。大体僕の機体が辿った進化の過程です。技術的多様性のためにも丸パクリはされたくはないけど参考にしてね。
アームの駆動軸位置
これはハリケーンスラッシュの駆動軸の位置関係。駆動軸が高め、かつ前脚の回転中心の真上にある。
この構成のよろしくない点は二つ
アームの背が高い
アームが前に出過ぎている
アームの背が高いということは、重心が高いということであり、機体安定性が低くなります。
アームが前すぎると、攻撃時に前につんのめって、そのまま次のアームで横に飛びます。
半年くらいこの機体を使って僕は「使い勝手がわるいな」と思った。
そこで、The Nextではその辺を修正しました。
結果、ある程度の改善はされました。攻撃に関しては、流石に逆立ちすることは無くなったものの、火力が安定しないため、後述のカウンターを搭載しました。
レイアウト
またまたハリケーンスラッシュのアーム。
赤丸部分にご注目。なんと中間節がモーターの端子に当たってるではありませんか!さらには奥に見える回路も激しく撫でまくります。実際はある程度の距離があったので配線の被覆が剝けるていどで済みましたが。
半年くらいこの機体を使って僕は「ろくでもないな」と思った。
以降は線図の時点から干渉問題がないかを意識しています。
三次元空間に住まう我々は二次元から立体的な位置関係を読み取るのがニガテです。2D上の線図と馴れ合ってても3Dでアセンブリするとそれらはたちまち牙を剥く。我々は常に異次元からの刺客に備えなければなりません。油断すると干渉解析でピンクの光に包まれて死ぬ。
アームモーター
かつてはスポーツチューンモーターなるものを使用していました。
こいつは正転方向には早く回るという代物になっています。一応3発アームに積んで一年以上使いましたが壊れたりはしませんでした。別にマブチのでよくね?となり現行機のジュネッスには搭載していませんが、懐事情的に再検討してもいいかも…
ちな回路にMC402を使用している場合、攻撃方向に回した際に回路が緑に光ったら正しく接続されているってことになるらしいです。
CONFIDENCIALな情報
今や僕以外でやってる人見ないねって内容になります。まだまだ発展途上の技術なので、これを読んでる貴方が未来を担っていくことになっている。
カウンター
The Next以降の機体にはカウンターが搭載されています。
「カウンターってあれでしょ?ロッド機とかに生えてる…」コイツのは一味違う。なんと胴の内側から、下向きに生えているのだ!
これの良いところは二つ。一つは走行時にあまり邪魔にならないことです。内側にあるので中央の十字山に引っ掛かりにくく、また、障害物にも当たらない高さに作ってあります。
もう一つは、カウンターが効いたときに四つ脚全部接地できること。連続攻撃や押し合い時には欠かせないですね。
よくないところは普通に邪魔なこと。ポリカゆえにばるんばるんしよる。たまにアームが絡まる。
四節-スライダ複合アーム
ジュネッス(構想によればジュネッスブルー)のアーム構成。
そういえば言い忘れていたリンクの特徴。
スライダリンクの場合、
先端軌跡が綺麗で速度変化が緩やか
復帰機構が付けにくい
層が増やしづらい
四節リンクの場合、
先端軌跡が歪で速度変化が激しい
復帰機構が付けやすい
層が増やしやすい
この二つの特徴をいいとこ取りしたヨクバリ構成になっています。
シールドで繋いだ内側で相手を弾き、外側で相手を絡めとる。復帰も付いて良いカンジ。弱点なんて見当たらない。まさに最 of the 強。
線図は相当ごちゃつく。さっきも言ったが、サボテンの影には異次元からの刺客が潜んでいる。Zoneとか飲んで気合いを入れて警戒してても次第によくわからなくなり…そのうちYoutubeザッピングなど始めてしまい…設計のことなんか忘れて…そのまま老いて死ぬ…クランク機の設計は過酷であり、油断してると貴方の夏は始まりもしない。
だが貴方は実際タフであり、必ずこのかわさきの荒野に現れる。貴方の信じる、最強の機体を引っ提げて…
僕の知らないクランク機
かつて存在していた絶滅種。あるいはクニマスめいてどこかで生きているのか。また会いたい…
可動スライダクランク
僕が先に挙げたスライダリンクは、固定されたスライダ上を中間節がスライドするものでしたが、逆に中間節そのものがスライダとなっているものも有りました。(機構としてはスライダ脚と同じ?)写真でしか見たことないかも。ぜんぜんわからん。
逆さ四節クランク
揺動節が下向きに生えているタイプの四節リンク。軌跡の下側が広いから攻撃時にやや有利なはず。わからん。
2019年に川崎で目撃したからまだ生きてそう…
スライダ軸が駆動節と連動して回るやつ
僕の表現力では言い表せない…なんかよくわからん。実物を見た事もない。
回転ブレード(ゴイル機構)に進化したってダーウィンが言ってたからブレード機はクランク機なのかもしれない…
だからってT-REXはデカいニワトリなのか?わからん…
栄光へ…
クランクアームに関する僕の知識はあらかたここに書いたと思います。もし貴方がクランク機について何も知らなかったとしても、今や私と同じラインに立っていると言ってもいいでしょう。すなわちクランク機という過酷なサバンナをを征く術を得たという事。その力をどう使うか、あるいは使わずにしまっておくかは貴方の自由です。しかし、もし貴方がクランク機を作りたいと思ってくれたのなら…それはとても喜ばしい事だ。貴方は今このサツバツとしたクランク荒野マラソンを走り出した。僕のことは置いてけ。そのままゴールを切ってくれ。そして栄光を掴め。
おわり
クランク機はThe Nextで完成したと思っている。あれを超えるクランク機はそうそう現れないだろう。
だがそのうぬぼれは完全に間違いであったと僕は思い知ることになる…他ならぬ、貴方の作ったクランク機によって…
私は貴方の機体に期待する。Just Do It(為すべきことを為せ).
以上です。
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