『彼女の欲しいもの』(修正版)

登場人物
・葛葉 希(くずは のぞみ)←視点
・篠原 ともえ(しのはら ともえ)←彼女
※二人は恋人ではないが、一緒に住んでいる設定。
  出会いから、数ヵ月後。

 恋人ではない彼女は、とても優しい。見知らぬ僕に病院の治療費を支払い、住む家(部屋)をくれたり、一緒に出掛けただけで大金(お給料)を渡す。彼女の家は金持ちで、職業は作家として働いている。そして、有名人であった。僕と違って、彼女は欲が無い。そんな彼女に、僕はいたたまれなくて話しかける。
「……何が目的ですか」
「どういうことですか?」
「僕に良くしてくれることですよ……」
 そう聞いた僕に、彼女は理解していない。その事に何故か、腹が立ちながら彼女に言う。
「……行き場がない僕に、住む場所や生活に困ることがない大金を渡してくれることです」
 彼女に疑うような目で見ると、「そんなことですか……」と答えた。僕にとって、彼女の傍にいるだけでお金が貰えるのは有り難いことだ。お金は生への次に大事なこと。……だからこそ、彼女のメリットが分からなかった。彼女にとって、僕がいることに何のメリットもない。逆にデメリットしかないはずだ。そう思っている僕に彼女は口を開いた。
「前にも言ったと思いますが、私は葛葉さんに惚れているんです」
 何度も言わせないで下さい、と言った彼女の頬は赤くなって照れているようだ。その表情を見て、僕は何とも言えない気持ちになる。
「だから……、私は葛葉さんが好きだから良くしてるの……! 好きでもない人にそんなことしないから!!」
 大声で「好き」だと伝える彼女は、僕のいるその場から立ち去った。彼女に置いていかれた僕は、その場から動くことが出来なかった。

 何故なら、僕の顔は熱くなっていたから。

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