ホワイトブラッククリスマス 前日(12月23日)
※シナリオのネタバレ有り。
12月23日の朝。
條原ともえは、自分の部屋で小説を書いていた。
小説の内容は暗いものであり、悲しい結末で終わるものであった。
ともえなりに、明るい話を書こうと心掛けていたが最終的に暗い話へと繋がった。
現在、ともえは精神を病んでいる。
その理由は、ともえの婚約者である葛葉希が行方不明になったからである。
葛葉がいなくなってから、今日で1年が過ぎようとしている。
ともえは、葛葉の帰りをずっと待っていた。
しかし、いくら待っても帰ってくることはなかった。
1日、1週間、2週間、3週間、1ヵ月、3ヶ月、5ヵ月、8カ月、10ヶ月と月日が流れて行く。
ともえは葛葉が帰ってくるのをずっと待っていた。
それでも、葛葉は使用人たちや警察が探しても行方不明のままだった。
ともえは今すぐにでも探しに行きたかったが、両親や使用人たちに行くのを止められていた。
そのため、探しに行くことも許されなかったともえは部屋にいて泣いていた。
ともえのお世話係りの使用人である宇都宮柚も、何とかしてともえの婚約者を見つけ出しに行ったが見つからなかった。
「明日は、クリスマスなんですね……」
ともえは呟くように言いながら、カレンダーに目を向けると明日がクリスマスの日であることを知る。
明日のクリスマスは、楽しめそうにないと思いながら小説を書き進めていく。
そんな時、ドアをロックする音がした。
ともえは、誰が来たのか想像がついている。
少ししてから、ともえの許可無しにドアが開く音がする。
「ともえ様、少しお休みになりませんか?」
「……柚ちゃん。ごめんなさい、休む気になれないの」
「でも! ともえ様、ずっと部屋に籠りっきりですから……」
「お願い……。独りにさせて」
「……分かりました。ですが、少しでも食事をお取り下さい……」
柚は持ってきた食事を机の上に置いた。
ともえは柚が持って来た食事に目を向けず、小説を書き続けた。
しばらくして、ともえはペンで書き続けていた手を休ませて柚が持ってきてくれた食事をとる。
美味しいはずなのに、食欲がなくて全部は食べきれなかった。
柚が持ってきてくれた食事を残し、ともえは小説を書き始めた。
ともえが小説を書き始めてから、数時間が経つ。
窓を見ると、空は真っ暗になっていた。
夜になっていたことに気付き、ともえは「今なら、外に出れるかな?」と思った。
何故なら、明日はクリスマス。
クリスマスの前日は、両親や使用人たちは忙しいことを知っていた。
4つ下の双子の弟2人については知らないが、ともえは自分の部屋からスマホと財布、メモ帳、ペン、化粧道具、包帯などを鞄に入れて持つ。
ともえは部屋の窓を開け、下へと目を向ける。
誰もいないことを確認して、ともえは近くにある木へと飛ぶ。
音を立てないようにしながら、気を付けて家を出る。
家を出たともえは、婚約者の葛葉を探しに出かけたが……。
その後の記憶が全くない。
目を覚ました時には、見知らぬ場所、目の前には豪華な料理の数々が置かれていた。
そして、横1列に並んでいるメイドが5人、ともえの横には同じ境遇であろうと思う男性が座っている姿だった。
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