田舎の弱小中学陸上部が市内一位を取った話 ー④トレーニング編ー
どうも、ナカです。
本報から読み進めて頂いてもオッケーですが、
①導入編からご覧頂くと、もっとオモシロイかもしれません!
同じマガジンからどうぞ!
書きなぐっていたら、図らずも非常な長文になってしまいましたので、おヒマな時にどうぞ!
では、いってみましょう!
先輩たちが引退し、ついに名実ともにキャプテンに就任したT。愉快な弱小陸上部のメンバーたちは、どんな練習に変わっていくのか、固唾を呑んで、キャプテンTの言葉を待った・・・。
【キャプテンTの革新的練習その①:日替わりメニュー】
T「えー・・・、
本日の練習メニューは・・・、
ハードル。」
キャプテンTは、準備体操・ストレッチと、基本的なスタートダッシュの練習などを手早く終えると、日替わりで練習種目を変え始めた。
キャプテンT「ハードルは跳ぶんじゃない、またぎ越えるんだ!オラオラオラ!俺は今、風になってるぜ!!」
松岡修造もビックリのテンションで打ち込み始めた。
愉快な仲間達はこう思った。
「英語の授業も、その感じでいってくれよぉ。」
日替わりでメニューを変えるキャプテンを見て、
「自分がやりたい種目やってるだけじゃん!」という状況だったが、そんなことでキャプテンTが孤立するようなことは無かった。
日替わりの練習種目変更は単純に楽しかったんだ。
大体、世間の陸上部内では、誰がどんな種目・競技に出るのかほぼ決まっていて、マンネリ感は否めなかったので、目新しい競技につまみ食い的に手を出せるのは、大変面白かった。
さらには、キャプテンTは、雰囲気こそジャイアン的なところがあったが、
「おい、のび太!三振したらタダじゃおかねーぞ!」
なんて言う奴ではなく、発言は愛に溢れていた。
どんなに遅い後輩にも
「良いぞ良いぞ!この前より速くなってるぞ!」
どんなにショボいジャンプでも
「そのフォーム綺麗だなぁ。どうやってやんの?」
と、ポジティブなワードで溢れていた。
言うなれば、映画版の方のジャイアンだ。
ということで、ある日は全員でハードル練習。
その翌日は全員で走り高跳び。また別の日には全員で砲丸投げ。など、キャプテンTの気の向くまま、全員で陸上競技を楽しんだ。
ここでナカ少年は、ある重要な役割を遂行していた。
それは
『職員室から部室のカギを持ってくること』
だ。
毎日、キャプテンTがどの種目をやろうと言うか分からないため、
・砲丸などが入った部室のカギ
・走り高跳びのマットなどが入った大型倉庫のカギ
・ライン引き用の石灰などが入った石灰倉庫のカギ
の3点セットを、忠実に練習前に用意し、練習後には返却する必要があった。
職員室に入ったから何があるというわけではないのだが、職員室に入ったところで
「部活も良いけど、明日は宿題ちゃんとやって来なさいよ」
なんて言われた日には、練習後の爽快な汗も、冷や汗に変わってしまうだろう。
その点、ナカ少年は、端的に言えば、テストの点が良かった。
中学校に入って初めての英・数・国・理・社のテストで合計497点(合計500点満点のうち)とか取ってしまうくらい良かった。
おばあちゃんと「テストで90点以上をとったら、1教科毎に500円貰う」という契約を結んでいたナカ少年にとって、定期テスト期間はボーナスステージだった。
もう小学生までの「風呂洗い1回20円」の契約には戻れないカラダになっていた。が、これは余談。
【キャプテンTの革新的練習その②:遠征】
キャプテンT「えー・・・、
本日は・・・
神社」
愉快な仲間達「ほぅ・・・。今日は練習メニューでなく、場所を言ってきたか。まぁ、たまには願掛けも良いだろう。」
ところがどっこい、まさか天下の陸上ヲタ・キャプテンが走れないところに行くだろうか!いや、行かない。
神社メニューその1:石段ダッシュ
近所の城の石段を実際に駆け登られたことのある皆さんならご存知と思うが、天然石で出来た階段って、かなりバランスが取りづらい。1段ずつがガタガタだからだ。
愉快な仲間達は、レベルが1上がった。"バランスの取れた走り"をおぼえた。
神社メニューその2:砂利リレー
神社の周りは玉砂利が敷き詰められていた。そこを周回リレーする。地面を蹴ろうにも、砂利が後ろに飛んでいくばかりで、なかなか前に進まない。大股のストライドでスピードに乗っていたメンバーは、小股で歩数を上げていく必要に駆られた。
愉快な仲間達は、レベルが1上がった。"足の回転を高めた走り"をおぼえた。
読者の皆さんは、少し心配されたかもしれない。
神社の石段、周囲をティーンエイジャーが走り回るなんてマジ迷惑だ。
ちなみに神社は下記のような感じで、手入れが行き届いている割には、初詣以外に人を見たことはないから、何の迷惑も発生しない、はずだ。
神社メニューその3:かくれんぼ
キャプテンTは、ただの遊戯も忘れない。
これは単純に走って疲れた後、かくれんぼをする、というものだ。
隠れる側の技能が過度に発達し過ぎており、見つからないまま鬼が先に帰る、なんて事態も発生する。
愉快な仲間達は、レベルが1上がった。"目立たず息をひそめる"をおぼえた。
この他にも、山登り、砂浜ダッシュ、地獄のインターバルリレーなど、遊びと競争を取り入れた厳しいトレーニングによって、メキメキと実力を上げていくS中陸上部のメンバー。
足が少々速くなったくらいでは市内を制することは出来ないことは百も承知だが、このキャプテンTの練習メニューが、重要な戦術に思いがけず寄与することになる・・・。
次回、⑤戦略編に続くっ!!
ー完ー
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