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Serendipity『FINAL SERENDIPITY』解説

Serendipityとは

退廃的・オトナ・エレガント・オーケストラ・テクノポップ・男女ユニットである。
その実、第二期SPANK HAPPYにペペ・トルメント・アスカラ―ル風味を足した音楽を目指して打ち立てられた中村椋の同人音楽プロジェクトである。
中村椋の退廃的オーケストラ欲を満たすために発足された。

『FINAL SERENDIPITY』とは

2023年4月30日にM3春2023にて世に問われたSerendipityの暫定的最終アルバム。
女性ボーカル(兼フランス語監修)として鈴木deco氏に協力いただいた。

試聴


通販

元ネタであるSPANK HAPPYの最終形態であるFINAL SPANK HAPPYが元ネタなのでタイトル自体に意味は無い。
そしてFINAL SPANK HAPPYとSerendipityに音楽的共通点も無い(はず)。

1. Intérieur(Lorette)/室内(ロレットという名の女)

ドガ 《室内(強姦)》

Loretteとは娼婦のことであり、上図ドガの絵画の構図の「きわめて明白な出所」のリトグラフである。

イントロはまさしくAngelicで1曲目を飾るにふさわしい。
さらに歌いだしは「ショコラ」と来ている。あざとすぎただろうか。

彼女は何故背を向けているのか?
拒絶しているのか?悲しんでいるのか?
何故二人はこの部屋に二人きりでいるのだろうか?
この部屋に招いたのは誰か?

2. Philodendron selloum/フィロデンドロン・セローム

ピカソ 《ヌード、観葉植物と胸像》

フィロデンドロンセロームとは上図絵画に描かれている植物。らしい。
観葉植物でよく見るやつ。

Serendipity2枚目のCDのリードナンバーでもある。
"オトナ"を強調するためにイントロを意図的に長くしている。
コドモには向かない音楽。

パーカッションは3連符と5連符をかなり複雑に絡ませている。
そう聞こえないかもしれないが複雑なことをしている。

”彼”のアトリエに招かれた私
性的とは程遠いエロス
視線は前戯
その欲望の向かう先は私ではなく、カンバス

3. Minotaure et table de dissection/ミノタウロスと解剖台

ピカソ 《ミノタウロスと乙女》

知ってる人はニンマリの朗読モノ。
ミノタウロスは好色、暴力、罪悪感、絶望の禁欲的欲望を擬人化したもの。
ピカソはしばしば自分をミノタウロスに重ねて描いた。

ピカソに見いだされた少女マリーテレーズ
彼女に自分を重ねようとする少女
しかし現実は変わらない
いや、"現実"が変わるのか
だとしたらこの誘拐事件を証言する男は何者?

4. Mon idole/私の神様

メアリー・カサット 《母子像の画家》

前言撤回。これはまさしくFINAL SPANK HAPPYです。
Serendipityで唯一といっていいほど優しい。しかし退廃的な程に。

私にとってあなたは神様
でもあなたはまだ何も知らなくていいの
だから泣かないでね
おやすみなさい

5. Devant le miroir/鏡の前で

ピカソ 《鏡の前の少女》

これもパーカッションをかなり複雑に組み立てている。
しかし複雑に聞こえないようにmixしている。
複雑に組み立てた苦労の意味を少し想わないわけでもないがこれでいい。

途中で登場するサイン波はモールス信号になっている。
どういう文字列にしたかは覚えていないので解読してみてほしい。

鏡に映る私は1秒前の私?
それとも1秒後の私?

6. La réinvention de l‘instinct/本能の再発明

アンリ・マティス 《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》

もうすこし第二期SPANK HAPPYっぽいものを入れなければと思い立って作ったもの。
このアルバム唯一の野獣派。

あまり説明しないで声だけを要求したので、deco氏はかなり困惑しながらもレコーディングしてくれていた。感謝。

Personne ne peut échapper à son instinct.

7. La nuit du torse/トルソーたちの夜

エドゥアール・マネ 《フォリー・ベルジェールのバー》

Serendipityというプロジェクトを立ち上げるにあたって最初に作った記念すべき曲。
切れの良い、叩きつけるだけのストリングスとピアノ
無遠慮なシンセベース
古風なドラムマシンとボンゴ
間を縫うバンドネオン
既にこの時Serendipityのテンプレートは完成している。

最近になって「レプリカたちの夜」という小説があることを知った。
読んだけど、よくわかんなかったっす……

脱がせる為だけの衣装
捕まるためだけの鬼ごっこ
退屈だけど逃げられない夜
柑橘の香りがする溜息

8. La fin du japonisme/日本趣味の終焉

クロード・モネ 《ラ・ジャポネーズ》

deco氏には「ひろゆきみたいな男に惚れたフランス人女性の歌」と説明した。
普通に良い曲。お気に入り。

日本のことをうたっているがあからさまに日本らしいフレーズはほぼ入っていない。
最後に箏が混入するくらい。
オトナはこれくらいさりげなくていい。

私のこの心も必ず衰えるのかしら
嫌だな
ずっと貴方が好きでいたいわ

9. Decadance

Serendipityのテーマソング。
テーマソングなので絵画のモチーフも特にない。

再録にあたってキーを3,4つほど下げている。
元が高すぎたのだ。

今後の展望

全ては菊池成孔次第。

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