バカ好きバナー02

001 一日のはじまり

* story

槍場さんは、“ネコちゃん”の彼女です。
寧子ちゃんも、“ヤリバさん”の彼女です。
ほんとうは、「ねいこちゃん」だけど、
槍場さんは寧子ちゃんが可愛いから
お付き合いを始めてから、いつのまにか、
「ネコちゃん」と呼ぶようになりました。

ネコちゃんは、槍場さんが年上だから、
ふつうに「ヤリバさん」と呼んでいるけど、
ベッドの中で呼ぶときだけは◎※△*…

今日はそんな二人のよくある一日のはじまりの時間。

* couple

———交際2年、もうすぐ三十路。
29歳の槍場さんと28歳の両刀さんは、おねえさんとおばさんが交わる年頃を迎えつつ…、周りからは「彼氏はまだかー!」「結婚はまだかー!」「いい男紹介しようか?!」「嫁にもらってやろうか?!」「高望みしてると賞味期限切れるよ?!」と煽られている真っ最中。あ〜、コドモの恋みたいに「好き!」だけで気楽に暮らせたらいいのに、オトナの恋愛は生活も人生も隣り合わせ…。そんな彼女たちの日常。

〈001〉 staff
story:Lpaca Nakamura
author:Lpaca Nakamura, Ching Nakamura
illustrator:Ching Nakamura




〈001〉


目が覚める。





となりでネコちゃんが寝ている姿をみて頬がゆるむ。

起こしてしまわないように、


(ネコちゃん、ネ〜コちゃん)

(ネーコちゃん)

そっと頭をなでてみる。


———————…ことは
少なくて、

私が起きると大体ネコちゃんは
もう起きている。



目を覚ました私をみて、



「ん?」

ネコちゃんは目が合うといつも、

「ん?」って言う。


「ん?」じゃないよ、
ずっと見てたくせに。



—————————



ヤリバさんより少し早く目が覚めたけど、
まだ目覚ましが鳴らないから、
まどろんでいたら、
となりで
ヤリバさんが起きた気配がした。

いびきが止まったから、
たぶん起きたんだと思う。



「おはよう」って言おうか悩んだけど、
また寝直すかもしれないし、

…それより、何より、

私は“アレ”を期待して、
寝たふりをしてみる。



(来て!…ヤリバさん、
 お願い!ちょっとこっちに来て!

 私のして欲しいことして!)


少しベッドが沈んだ感覚と、
布団が擦れる音がしたとき、


(やった〜…!)


ヤリバさんが、
私の見てないときも私に優しい人
だったおかげで、
私の寝たふりはアッサリ願望を叶えた。

ヤリバさんの手は、優しい。
たぶん、私を起こさないように、
そーっと、そーっと、
なでてた。



—————ってことが
もっと起きたらいいのに、

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