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もうすぐ百周年! 四角号碼

この記事は「言語學なるひと〴〵 Advent Calendar 2023」の2日目の記事として書かれました。

忙しい方のためのまとめ

四角号碼索引が使えると、『大漢和辞典』で、読み方も部首も画数も分からない漢字を高速で引くことができるよ!

「四角号碼入門」「WEB支那漢」がおすすめ。

はじめに

四角号碼は漢字の四隅の筆画を数字に変換して漢字を検索する方法だ。読み方も部首も画数も分からなくても漢字を引くことができるので、難しい字を手早く引かなければならない場合は非常に便利だ。玄人向けの検索方法のように思われて敬遠されがちなのが残念だが、ちょっとの練習で使えるようになる。

この四角号碼は王雲五という人物によって考案された。1926年に『四角号碼検字法』として発表された。1924年から研究が行われたという(四角号碼 - Wikipedia)から、そこから数えると来年(2024年)が百周年となる。1926年から数えれば2026年が百周年で、いずれにしてももうすぐ百周年になる。

そこでこの記事では、百周年に向けて、四角号碼についての情報をまとめておきたい。みなさまの四角号碼ライフに役立てていただけると幸いである。ウェブ上の情報を中心に詰め込んだが、まだまだ拾えていない情報が多いと思う。ここに載っていない四角号碼に関する情報があれば、どしどしお寄せいただきたい。

四角号碼を学ぶ

まずは四角号碼を学ぶ方法を紹介しよう。

ウェブ上では青蛙亭漢語塾の「四角号碼入門」が詳しい入門だ。まずはこれを読んでいただくのがいいと思う。

「四角号碼について | 字通」は『字通』の凡例で、やや簡易な解説になっている。

以下は動画による簡潔な解説と、入門用の問題集。

手前味噌だが、私が作った四角号碼の表と練習問題も使ってみていただけると嬉しい。

燈露さんが使ってくださった動画がある。

中国には四角号碼の覚え歌があると聞き、昔(2018年ごろ)、日本語の覚え歌を作ってみたことがある。結局これを覚えられなかった(笑)。

イチヨコ ニタテ サンナナメ(1横・2縦・3斜め)
ヨンジフ ゴヌキ ロクシカク(4十・5貫・6四角)
ナナカド ハチハ キウミッツ(7角・8ハ・9三つ)

四角号碼には難しいというイメージがあるが、ひょっとすると単純な字形であればあるほど引きにくいからではないかと思う。四角号碼を知って「よし、試しに簡単な漢字を引いてみよう」と思って試みても、大、目、中、車、木、本のような単純な形のものほど分かりにくいので、「分からないや」となってしまうのではないか。

たとえば鑑(8811₇)みたいな複雑な漢字はかなり分かりやすい。まずは見た目が複雑な漢字で練習して慣れてみるのをおすすめしたい。

PCで四角号碼を使う

「IRIZ: Database: ダウンロード」には、MS-IME・ATOK 13・ことえり用の「四角号碼辞書」が置かれている。これを使うと、読み方が分からない字をキーボードで入力することができるようになって爽快だ。

(※また、Unicode Character Database(https://www.unicode.org/Public/UCD/latest/ucd/)のUnihan.zipの中のUnihan_DictionaryLikeData.txtファイルにkFourCornerCodeとして収められているものがある。私はこれを加工したものを先の「四角号碼辞書」と併わせて辞書登録している。)

青蛙亭漢語塾の「WEB支那漢 - 支那文を読む為の漢字典」は、ウェブ上で四角号碼で引ける漢字辞典で、非常に便利だ。逆に漢字の四角号碼を調べることもできる。

中華民国教育部による「教育部異體字字典」は、四角号碼で異体字を検索することができる。

「オンライン四角号碼漢字検索 - sljfaq.org」は、四角号碼で漢字を検索することができる。

四角号碼索引のある紙の本

ある程度以上の大きさの図書館には、最大の漢和辞典である『大漢和辞典』(大修館書店)が置かれていることが多い。『大漢和辞典』のユーザーであれば、『大漢和辞典』を素早く引くためだけにでも、四角号碼を身につける価値は十分にあるだろう。

他に四角号碼索引を採用している漢和辞典には、大修館書店の『漢語林』や『広漢和辞典』、平凡社の『字通』がある。ただし残念なことに『新漢語林』では削られてしまった(「旧「漢語林」が最強過ぎる件」)。

同人誌『千字文音義C96体験版』には四角号碼索引がついている。

日本の書籍で四角号碼索引のあるものは数が多くないが、中国の書籍を合わせればその数はかなり増えるだろう。

なお、私の手許で四角号碼索引のある本には『漢語林(特装大型版)』(大修館書店、1987)と、『説文解字注』(上海古籍出版社、1981)がある。

四角号碼の歴史・研究

王雲五(1928)『第二次改訂 四角号碼検字法 附検字表』は国会図書館デジタルコレクションの個人送信で見ることができる(要登録)。

四角号碼が使われている『標準語大辞典』はログインなしで閲覧可能だ。

1997年から2001年にかけて、岩崎皇氏が四角号碼について考察した論文を発表している(「四角号碼 | CiNii Research articles 検索」)。

四角号碼を扱った動画

四角号碼というこのユニークな検索法は、YouTubeの動画のネタとしても使われている。こうしたポップな動画を通して四角号碼に興味を持つ人が増えると嬉しい。

おわりに

とりとめもなく、ネット上のものを中心に四角号碼に関する情報をただただ集めてみたが、誰かの何かの役に立てば幸いである。


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