映画『怪物』感想

担当さんがオススメしてくださったので、映画『怪物』見てきました。
ネタバレします。
映画見ただけで他の情報あんまり入れてないので、見当違いのこと言ってたらすみません。(なんか賞とったという情報は得ていた)

まず、腐女子、これ好きだろ?
クソでか主語で申し訳ないんですが、後半パート、全腐女子、好きだろ??
見たらいいと思うよ。
前に映画『お嬢さん』を見たときと同じ余韻でした。『お嬢さん』好きだった人はいけると思う。

腐女子である私が喜んだ話は後述するとして。
このお話は、観賞する人の属性でどこに感情移入するかが変わるものとして作られていました。

最初、息子を持つ母親の視点。息子が学校で先生にいじめられているかもしれない。学校に対応を求めても、まともな回答が返ってこない。
昨今のSNS徘徊している己としては、「警察を呼べ!」「転校しろ!」てなります。
次、先生実はいじめなんてしてない。被害者かわいそう…なんとかしてあげて…学校側クソだな…(実際学校側が「正しい」対応とったところで、子供の嘘が優先されそうだから、若い先生は完全なる被害者で終わっただろうな)

子供が本当のことを言わないなんて、自分が子供の時のことを思い出したら、そらそうだな、て話だと思います。
先生の目に入らないところでいじめをする人。いじめを傍観する人。いじめられていると言えない人。いじめられている人と仲良くしたら自分もいじめられるから何もできない人。
大人は助けてくれないって知ってるし、いじめられてるって親に伝えて逆に怒られたり、理解されないかもしれない恐怖?で言えないってのもあるだろうし。ただなんとなく「いじめられるなんて普通じゃない自分」が可視化されるのをプライドが許さなかったり。

良い先生だからって子供から嫌われないわけじゃないし。
子供だって先生をいじめるわけだし。

親の対応、これ以上どうしたら良かったの?ベストは尽くしていると思う。
ベストを尽くしたからと言って子供は本音を言えない。子供が誰にも言えない秘密を抱えているならなおさら。
親が自分の味方だなんて子供自身もわかってるだろうけど、だからこそ親の意に反するであろう事柄を打ち明けることができるだろうか。無理でしょ。

息子、彼自身でさえつかみ切れていない彼の気持ち、暴くのでなく自ら語ってくれるために必要なのは、そういう社会ですよね。
君の言葉を否定しないよっていう。
そんなことできる親子ってどれくらいいるんだろう。大人同士だって難しいことなのに。
結局湊は、湊を本当に想ってくれる大人には自分の気持ちを打ち明けられないんですよね。多分自分のことどうでもいいだろうっていう校長先生だけ。校長先生が彼を否定するのでなくて良かった。助けられないけど。
湊と校長先生のシーン、すっごい、良かったね…。

ここから腐女子の私が喜んでしまった内容。
湊と依里…!
二人で特別な関係と時間を作り歩んでいくのがとても丁寧に描かれており…萌え…?尊い…。後半部分の美しさよ。
秘密基地に二人で作る宇宙。当たり前のように手に出されて食べるお菓子。家まで迎えに行って自転車のベルを鳴らして一緒に走って。
依里を拒否してしまった湊だけど、そのあともやっぱり依里に会いにいくの…良かった…良かったね…湊はまだ自分の気持ちに追いついていないだけで、ここからだ…ここからだ…!とこぶし握りしめました。
感想10000字書けるかなって思いましたが、いざ言葉にしようとすると無理ですね。言葉にならない。ぜひ見てほしい。尊いから。今この瞬間で彼らの時間を止めてくれ…!となるから。

この少年たちの交流部分、多くの腐女子は好きだと思いますが(主語でかい)、腐女子じゃなくても「尊いな~」とはなると思う。だからこそ、BLじゃない作品からそういったニオイを敏感に察知して萌えるタイプの腐女子はこれ好きでしょ?と思ってしまうわけです。
これがステレオタイプだったらすみません。そういう属性の方だけ参考にしてください。

こんな「特別な二人だけの世界」、なんなら世界の周りの人間は誰も理解してくれないだろうから、彼ら以外すべて敵だからこその箱庭感、スクリーンの外側から観察して「萌え~!尊い~!」とか言ってしまう私の醜悪さよ。
しかし、監督は明らかに「こういう関係性、尊いと思うだろう?」という意図で作った映像だと感じました。それに対して「正しく」?尊いと思うことは、果たして良いことなのだろうか?彼らを「モノ化」して消費する大人になっていないだろうか?
社会問題とかいろんな立場の人間の視点を入れており、少年たちの世界だけの目線で描いていないからこそ、少年たちの関係性に尊さを感じてしまった自分が醜悪な怪物に見えますね。

それでも綺麗だなって思える関係性、描き方だと思います。
だから、そういった少年たちの関係性が好きな同好の士には、見てほしいと思います。

「萌え」てしまったところもあり、役者さんもみんなすごくて、私的にこの映画は「良かった」と思いましたが、面白かった?と言われるとわかりません。
だって結局いじめやってた男の子たちはそのまま知らん顔で卒業して大人になって誰かをいじめたことは忘れていくわけでしょ?
さっき書いたけど、ラスト、「今この瞬間で彼らの時間を止め」たわけで。問題は何一つ解決していないんだよ。解決しそうにないんだよ。それが現実に近いと言ったって。

担当さんにオススメしていただいた時も、面白かったか?と言われると何とも言えないが、今年のトップスリーに入る、と仰っていました。確かに。議論したくなる映画ですよね。観に行ってよかったです。

でもさ、やっぱりさ、それでもさ、
あの子役の二人、、、すさまじく、、、、良かったよね、、、、、、、!

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