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流した汗でしか本当の事は語れない

これは中学生の頃、バスケ部の顧問の先生が度々私たちにかけてくれた言葉です。

初めてこの言葉を聞いた時から、そうだよね!と強く感じていたけど
大人になるにつれて、この言葉の重みをより感じています。

中学生の私たちにこう言ってくれた先生、まだ20代だった。
20代後半で、私はこんな立派な言葉を子供に言えなかったよなと思う。
ものすごく大人だと思っていた先生、自分がその歳を経て
本当は全然若い人だったのにスゴイなと思います。
私は今も、結構イイ歳になったけど、全然ちゃんとした大人になってない。

そんな私ではあるけど、いつもこの言葉を思い出して
事あるごとにそうだよね!とあの先生の事も思い出す。
中学生の私があの先生と出会えた事は財産だな。
そしてそんな子供の頃から、この言葉を聞けたおかげに
常にこの事を意識して日々を過ごしているように思う。

だから自分が経験していない事については、本当の事が語れないよなと。

抗がん剤の投与が始まった母、退院したはずだけど
前回退院した時のように『退院したよ』と連絡が来なかった。
なんとなく具合悪いのかな?と察して、1週間様子を見たけど
やっぱり気になるので、珍しく自分から連絡してみた。

親子の確執というほどの事ではないけど、ある事をきっかけに
私から親に連絡をする事はほとんどなくなって数年が経つ。
こんな風に母が病気にならなかったら、今もきっとそんな状態が続いていたと思う。
時々親から電話が来ても、素っ気ないカンジで、たいした話もせずに電話を切っていたけど
最近では、ネットで調べた病気の事や、闘病中に役立ちそうなあれこれを話して
だいぶ会話が増えていたと思う。
こんな事にならなきゃ親子の会話が無いってのもなんだけど
こんな時にはそれなりに心配出来る自分で良かったと少し思う。

電話をしてみたけど、応答が無かったので、まぁいいやと1日置いた。
翌日折り返しの電話あったけど、ちょうど出られず、夜電話をしてみたら
やはり予想通り具合が悪いんだそうだ。

今どきの抗がん剤は、昔より吐き気も出なければ、脱毛も無いですよ
なんて話を聞いていたから、そんなもんだと思って軽く考えていたけど
そんな甘いもんじゃなかったと母。もうふざけた言葉は全く出てこない。
入院中はそれほど症状が出ておらず、噂通り大丈夫だなと思っていたのに
退院してから飲んでいる薬のせいで、私を妊娠した時に感じたつわり以上の気持ち悪さ毎日あるんだそうで、長く起き上がってられず、食欲も無いそうだ。
それでも今までの蓄えがたっぷりあるので、痩せても無いそうだけど
食べる事にあんなに興味あった母が、何を食べても美味しくなくてつまらないと。

健康だった体に毒を入れられてる気分だという、精神的な心配もあるようだ。
抗がん剤が始まる前にもこんな事を言っていたので、私もあれこれ調べてみた。

抗がん剤を一切せずに、普段の生活を改める事で、がんが小さくなった人の話
この人のマネしたらイイのかな?とも思ったけど
内容を読んでみると、これはこれで結構難しい。普段の生活でここまで改めるのも大変だ。
そしてこの人はそれでうまくいったかもしれないけど、そうこうしてるうちに進行してしまう人だっているだろう。
母がどちらのタイプかわからないし、とりあえず今は抗がん剤をやってみるしかないんだけど
この治療があと半年くらいかけて7回繰り返すそうなんだけど、最初はしょうがないねと言ってた母も
相当に気持ち悪いらしく、そんなに繰り返さなきゃな事にだいぶ弱気になっている。

こんなにツラい日々を乗り越えて、あと何年、何十年とまた元気に暮らせる日々が続くなら
とにかく今は頑張って!としか私からは言えないんだけど
自分が具合悪かった日を思い出すと、そんな時に何を言われたって
何でもイイから早くこの具合悪さをどうにかして!って思うよなと思う。

闘病中の方のnoteをいくつか見せてもらって、どうやって皆さん乗り越えてるんだろうと
私なりに情報をあれこれ仕入れて、母にも勧めてあげられる内容があるとイイのにと思っているんだけど
やはり抗がん剤の副作用が人それぞれなのと一緒で、個人の感じ方や考え方もそれぞれだから
同じようにはならない事は始めからわかっている。
そして私自身がそのツライ体験をしているわけでないので、まさに口ばっかなわけで
いくら私がイイなと思ったような事も、同じくらいそれイイね!と母に思わせる事が出来ない。

闘病中の人が、一番身近な家族に本当にしてもらいたい事って何だろう?
いつか自分も病気になるかもしれないし、もしくは主人がそうなった時には
本当に一番身近で支えなきゃな事になるわけで、今のこのわからないなりにも
どうにかしたいと思っている事や、空回りでも母と関わっている事
これ自体は全て現在の経験となっているから、ここまでなら私にも語れるかもしれないとも思う。
この状態も、これからも、やっぱり人それぞれで、誰かを参考に出来ないかもしれないけど
自分なりに向き合っていきたいと思っている。

きっと色んな病気自体も、昔よりどんどん色んな治療法が出て進化している。
進化出来るのは、きっとツライ経験を発信したり、それを受けてどうにかしようと考えている人が居てくれるおかげだなと。
ツラかっただけでなく、その経験のおかげで助かる人が居たよと
母も感じて頑張れるような何かを、私ももっと調べて提供したいと思う。
今の私が考えつく出来る事ってそのくらいだ。そのうち私も進化したい!

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