【書評】ストーリーで学ぶ ネットワークの基本
左門 至峰
インプレス
2021/05/11
ネットワークえーっと、何冊目でしょう。これもWAN設計の勉強会を実施したうえで、理解促進につながる推奨図書が無いかと問われ、わざわざ追加で読んでいるものです。とはいえ実務に関わっていないが故、どうもネットワークはとっつきづらく腹落ちがしにくい苦学の分野なのも事実。何往復してもOSI参照モデル周辺は定着しません。
上記を踏まえたうえ、ネンチ(ネットワーク音痴)の私が理解が進んだと感じられるので、きっと初学者向けにも良い本なのだと思います。OSI参照モデルは知ってるんですよ。カプセル化もパケットの内容も、プロトコルもポートも。なぜ「理解」に至らないかというと、特に解釈・応用に進んでいないからですね。
この本は(かなり一応)ストーリー仕立てで、情シス新人が社内ネットワークトラブルを解決していくという物語です。もちろん基本的な知識についての説明はあるのですが、なぜトラブルが起きたか、どうやって切り分けをしたか、原因特定の根拠は何かが物語として語られるのがとても良いところです。一通り説明可能にするには知識補充だけで良いので参考書読めばOK。理解のため解釈する、応用するには、ストーリー(シーケンス・コンテキスト)になぞらえられないとダメです。さらに深い理解に至るには、批判的な視点でも見て評価できることが必要。これらの観点で本書自体が理解を促進する建付けであると感じられました。
知識自体は普通のことが書いてあるので、単語を並べても知っていることしかありません。ただ、トラブルが発生し、情報が限られており、トラブルシューティングを経て原因特定をし、修正とテストをして解決に至るというナラティブな仕立てが、きっと皆さんの理解も大きく手助けしてくれると思います。良書なので、問い合わせいただいた方にご紹介することにいたします。