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すべての企画は「腹をくくる」必要がある
NewsPicks Brand Designで、編集長をしている中島と言います。
(NewsPicksパブリッシングで書籍の編集者も兼任しています)
今回は、EventHubの鈴木さん( @ihciuuy )よりお声がけをいただいて、
イベントマーケティングAdvent calendar 2023 に参加します。
※たくさんの良記事があるのでアドベントカレンダーを巡ってみてください
※と言いつつ、締切ブッチぎってごめんなさい、、
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さて、NewsPicks Brand Designはメディア広告の事業部として、
記事・インフォグラフィック・動画・イベント・冊子等々、
いろいろなコンテンツをつくっています。
先日はスタエブこと「START UP EVERYTIME」というスタートアップ・エコシステムのためのカンファレンスをやりました。
(僕は企画の総責任者とDesign Leader Impact Awardの立ち上げを主にやらせてもらいました)
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現在、期間限定で無料でアーカイブ配信中なので、ご興味あったらチェックしてみてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1702857306199-iucghk5fHW.png?width=1200)
さて、前置きが長くなりましたが、
イベントのことならなんでもOKとのことなので、
今回は主にビジネスサイドの人向けに、「企画」について、
普段どんなことを考えながら企んでいるのかを、お伝えしてみたいと思います。
企画とはソリューションである
そもそも企画とはなんでしょうか。
結論から言いいます。
企画とは、目的達成に対して再現性のある「構造」のことです。
ポイントは、目的があるということです。
別の言い方をすれば、企画は目的に対するソリューションだと言えます。
(目的がふわっとしていて、探索している場合もありますが)
もうすこし馴染みのある言い方をすれば、
計画の手前の上流工程のことです。
図にするとこんな感じです。
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上流としての企画ができ、「計れる」ぐらいになってきたら、
手順やスケジュールに落とし込むことで、
狭い意味での「計画」ができるんですね。
もうすこし具体的に言えば、
“明確な目的意識”をもってテーマやコンセプト、切り口、構成などを練ることになります。
企画の外せない骨子は3つある
たとえば、対談セッションの企画を作るとします。
堀江貴文氏と落合陽一氏による
「AI時代の職業」についての対談セッション
両名がアサイン可能だとして、これは企画でしょうか?よくあるパターンですが、具体的なHOWがあるだけで、目的がないですね。不十分です。
メインホールのトリとして十分な集客をするための
堀江貴文氏と落合陽一氏による
「AI時代の職業」についての対談セッション
惜しい、もう一声。
対象となる受け手、お客さんの定義がありません。
就職活動をする大学生に向けて、
メインホールのトリとして十分な集客をするための
堀江貴文氏と落合陽一氏による
AI時代の職業についての対談セッション
ここまできて、はじめて、企画と言えます。
分解すると大事な骨子が3つあります。
目的(WHY):メインホールのトリとして十分な集客をするため
対象者(WHO):就職活動をする大学生
伝えたいこと(WHAT):AI時代の職業
この企画の骨子に対して、具体のHOWとしての、
どうやるか(HOW):堀江貴文氏と落合陽一氏の対談セッション
がある。
企画の骨子がつかめれば、堀江貴文氏と落合陽一氏の対談セッションでなくても、様々なHOWとしての企画を考えることができるわけです。
企画は具体と抽象の往復でつくる
企画をつくるには、大きく2つのアプローチがあります。
A.WHY/WHAT/WHO(抽象)の明確化
WHY:なんの目的でやるか
WHAT:何を伝えたいか
WHO:対象となるターゲットは誰か
B.HOWの具体化
・ぼんやり思いつく/パッとひらめく
・良い事例を片っ端からみるなどして、模倣する
・良い事例の「抽象」と「再現性」を分析する
Aの抽象であるWHY/WHAT/WHOから入ったら、
抽象を踏まえて、Bの具体化をしたほうがきれいです。
ただ、実は人はいつもそんな風に順序立てて思考するわけでもなく、
具体から考え始めたりすることもあります。
いきなり具体から入っても、目的にかなっているか、検証のために抽象化するのが肝心です。
演繹と帰納といってもいいですが、抽象Aと具体Bの往復運動が大事です。
「企画書」は企画ではない
さて、似て非なるものなのに混同されがちなのが、
企画と「企画書」です。
企画書の体裁を取っていても、企画になっていないもの(!)が、
世の中にはごまんとあります。
逆に少人数で実行に移す規模の企画は、企画書を必要としません。
身近な例でいえば、「誕生日会」これも立派な企画です。
WHY:還暦の節目なので
WHO:母へ
WHAT:育ててくれた感謝の気持ちを伝えたい
その具体としての、ささやかなパーティーやサプライズの贈り物の用意などがあります。
一方で企画書は、主に以下の3つの目的があります。
①言語化・思考の整理
②意思決定・合意形成
③行動の最適化
特に企画書の大きな役割は、②の意思決定・合意形成です。
社内であれば、上司がGOサインを出すため、つまり意思決定・合意形成のために重要です。
なので、上司がOKを出しそうなことを散りばめてみるものの、
企画の骨子がブレているということはよくあることです。
企画書は、種類によって多様性があります。
自主企画⇔受注企画(スポンサードなど)
定型企画⇔個別対応企画
単発企画⇔連載企画
小規模企画⇔大規模企画
成果物(プロダクト・書籍・記事・イベントなど)による差異
他にも、(信用がある)社内か(信用がない)社外かでも大きく変わってきます。
社内(信用がある組織向け):明瞭簡潔さに、配慮したもの
社外(信用がない外向け):面識がない人へのプレゼンを配慮したもの
クライアントへ出す企画書は、
発注の意思決定・合意形成を促すものですから、
「ちゃんとしていること」を示すために分厚くなったりしがちです。
でも、本来は何がちゃんとしていなければいけないのか?
目的達成に対して再現性のある「構造」が、ちゃんとしていないといけません。
自分が始めて企画書を作ったのは、出版社時代です。
書籍の企画をA4用紙1枚にまとめたものでした。
思い返せば、見様見真似で「企画書」はつくってたのですが、
「企画」が作れてなかったんだなと思います。
(なので、出版社時代は思うように企画が通りませんでした…orz)
果たしてその企画はうまくいくか
さて、企画をつくってはみたが、
成立はしそうなのだけど、成功するかはわからない。
「これうまくいくの?」「本当に人集まるの?」
なんて言われて、うまく答えられない。
身に覚えがある人も多いのではないでしょうか?
一般的に、事前の検証としては、
過去の事例の数字を参考にしようとします。
過去の事例を引っ張り出してきても、再現条件がまったく違いますから、
多くの場合、それは後づけの説得材料、状況証拠をそろえただけです。
現在、デジタルによるデータの収集やトラッキングがしやすくなってきましたが、それでも企画が事前にうまくいくかは、証明できません。
これは、未来は誰にもわからない、正確に予測できないという意味ではありません。
企画は本来、定性的なものなので、計算可能性(蓋然性)に関しては、
基本的に数字で証明できないものだという割り切りが必要だということです。
(クリエイティブ職の人にとっては当たり前のことなのですが)
つまり、すべての企画は「腹をくくる」必要があります。ただ、腹をくくって、えいやでリスクテイクすればいいのではありません。
大事なのは確証よりも「確信」です。
確信について、自分が担当編集をさせてもらった、
井上一鷹さんの『異能の掛け算』の一説を引かせてもらいます。
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まずは企画オーナーが、企画の「構造」を意識しながら、
確信が得られるか、成功を「直感・イメージ」できるかが鍵になります。
さらに大型プロジェクトの企画においては、
コアメンバーや決済者が「確信」できるかにかかっています。
さて、ここまで散々っぱら抽象的なことをお伝えしてきたので、
ここからもう少し具体的なことをお伝えしたいと思います。
具体例:スタエブの骨子はなにか
冒頭でお知らせした、
スタエブこと「START UP EVERYTIME」の企画の骨子について、
具体例として説明してみます。
企画の骨子は、3つでした。
WHY:なんの目的でやるか
WHO:対象となるターゲットは誰か
WHAT:何を伝えたいか
WHYである目的(ミッション)はこれです。
社会や産業、そして私たちの未来を大きく前進させるような
ディープイシューに挑む「新時代のSTART UPPER」を増やしたい。
WHYを深堀ります。
なぜNewsPicksがやるか、内的なWHYをこのように定義しました。
NewsPicks10周年。
非上場化して、新しく再成長を目指す今、
スタートアップ企業の原点に回帰し、
スタートアップエコシステムを盛り上げたい。
日本から世界へとイノベーティブなプロダクトが
生まれる契機をつくっていきたい。
そんな希望をもって、START UPします。
さらに事業戦略としてなぜやるべきなのか、のWHYがあるのですが、
それはここでは伏せます(!)。
伝えたいWHATはこちらです。
起動と越境の体験
=すべてのスタートアップ・エコシステムのステークホルダーの、視座の上がり、ビジョンの解像度が高まる体験
次にWHOの対象はこちらです。
START UPPER
≒ START UP MINDを持つ人
新しいことを始める人、
アントレプレナー、開拓者、探索者、変革者、挑戦者、越境者
具体的には、誰か。
スタートアップ・エコシステムに携わる
スタートアップ企業、VC、金融機関、大企業・CVC、省庁・地方行政
までを巻き込みたいとしました。
ちなみに今回、申込数は予定を大きく上回り、5000人を超えたものの、
リアルの集客は歩留まりが良くはなく、苦戦した時間帯もあります。
WHOを広く設定しすぎたのが要因の一つかしらと振り返っています。
さて、企画の骨子のWHOには、大事な隠れ要素があります。
WHO:対象となるターゲットは誰か
の他に、
WHO:私は何者か
です。
つまり、誰から誰への企画なのか、FROMとTOといえます。
このFROMとTOが定まれば、自ずと企画の「方向性」が見えます。
スタエブの場合、一番ミニマムなFROMは、自分の所属する
FROM:NewsPicks Brand Design事業部
です。
しかし、このFROMでは器が小さすぎます。
FROM:経済メディアNewsPicks
まだ小さい。
FROM:非上場化してTOBし、再成長を目指すスタートアップNewsPicks
もう一声。
FROM:非上場化してTOBし、再成長を目指すスタートアップであり、
「新しい視点を集めて、経済の未来をひらく」メディアであり、
日本のスタートアップエコシステムの一員として。
としました。
WHYもFROMもガンガン深掘れるということが伝わりましたでしょうか。
さて、そんなスタエブ、コアメンバーで総じて成功であると振り返っているのですが、終わった瞬間にスタッフ一同が笑顔になれたのが、よかったなと思っています。
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おまけ
スタエブほんとにめちゃくちゃおもしろいガチセッションが目白押しなので、年末年始ぜひご覧になってみてください〜。
以下に、個人的なおすすめをご紹介します。
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まずは、『選択の科学』で知られるシーナ・アイエンガーさんが、イノベーティブなビッグアイデアの生み出し方を、新進気鋭の起業家3名に白熱講義するオープニングセッションです。いやあ、本当におもしろかった。
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あと、個人的にはツボだったのがAIを巡る倫理を問い直す、一つだけカルチャー度が高いこちらのセッション。なかなか高度なお話が展開されていておもろいです。
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戦慄を覚えつつ、希望も抱いたのがこちら。少子高齢化ではなく、労働人口減少、がもたらす社会とその戦略をファクトをベースに論じます。
アワード3つも見れますし、他にもどれもおもしろいので、すこし貼りますね。
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他にもよりどりみどりなので、ぜひアーカイブご覧くださいませ。
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あと私がモデレーターをつとめた4時間にわたるプレイベントはYoutubeにあがっています。
最後になりますが、ここまで読んでいただいたみなさまありがとうございました。
スタエブご来場いただいたみなさんから激賞の声をたくさんいただきました。中でもセッションにご登壇くださったみなさまには、深く感謝をしております。
社内でも事業部横断で、たくさんのご協力をいただきました。UZABASEのポテンシャルをまざまざと感じました。ありがたや。
手前味噌ついでに、もういっちょお知らせを。
Brand Design事業部では編集者・デザイナー・イベンターを募集しています。
ピンときたら以下もしくは、僕のほうまでお気軽にご連絡ください〜。