【cakes企画】Q.バツイチ、シングルファザーの長男に、結婚相手を探したほうがいいか?
「メンヘラ・ハッピー・ホーム」連載担当編集のナカジマです。
スイスイさんと林さんの特別企画が、最所あさみ侍の暴投によって始まりました。
お二人とも全然違って、すごくいいですね。良い企画ですね。
とか、(担当編集ですが)高みの見物を決め込んでたら、最所さんから「メンヘラホイホイ」視点の回答知りたいというお達し、、いつの間にか、大熊さんも書いてるし、最所さんも書いてる。。
メンヘラホイホイ視点か、、今回メンヘラ関係ないのでは。。
まあでも、メンペラ(メンタルがペラペラ)の人はいても、
メンのない人はいないからな。。
ふー。よし。がんばるぞがんばるぞがんばるぞ(独唱)。
29歳の長男がバツイチでシングルファーザーです。
大学中退で塾講師をしており、帰りが遅い仕事なので、実質私と嫁で孫育てをしています。
腹が立つこともありますが、どん底を経験しそこから立ち直ってきたので、仕方ないと思うところもあります。
今後、強引にでも結婚相手を探した方が良いのか、自然の成り行きに任せた方が良いのか分かりません。
(K・58歳・男・歯科医)
この中にメンがヘラってそうな人がいるだろうか。
あ……、いた。
29歳の息子さん。
男親が子を引き取るケースというのはきっとレアだ。
なぜ息子さんが引き取ったのか。
のっぴきならない事情があったのだろう。
相談者さんがさらっと「どん底」と書くからには、
はたから見ても深い深い穴に落ちたわけだ。
29歳の息子さんのメンタルに思いをはせてみます。
歯科医の長男で、大学を中退して、塾講師になった。
おそらくは大学時代から塾でバイトをしていて、
そのままそれが板について、勤めをつづけたのでしょうか。
大学を中退したこと。
塾講師として、生計を立ていること。
離婚し「どん底」を味わったこと。
男手ながら子を引き取ったこと。
親に子供の面倒をお願いしていること。
なかなかメンタルきつそうです。
そんな彼が「どん底」の中で、覗いたものはなんだったのか。
きっと深い自己嫌悪はあったでしょう。
さらに女性不信、そして、現実社会への諦念のたぐいもあるでしょうか。
うまくやれなかった。うまくやれないことばかりだった。
そんなどん底で培われた「不能感」は、察するにあまりあります。
それでも子供が残されているという事実が、
相談者さんご両親の助けによって、厳しい現実としてだけでなく、
確かな希望になっていることを願うばかりです。
ただ、「どん底」を味わっただろう息子さん、一方ですごいなと思います。
僕は塾講師を含む、教職に畏敬の念を抱いています。
大学受験専門の塾講師は、技術職に近いと思いますが、
それ以外の私塾は、生徒とのコミュニケーションも多いものです。
僕も小学校5年から高校まで絶え間なく塾に通い、
大学時代は塾講師を経験しました。
また叔父が私塾を経営しており、塾講師のメンタリティはなんとなく想像がつきます。
小中学生を教えていたら、きっと雑談や茶々が飛び交い、
動物みたいな多動の少年少女たちを御していることでしょう。
高校生なら、年々かわる大学受験の範囲をカバーしながら、
込み入った内容をわかりやすく教えなければいけない。
生半可で続けるには骨の折れる仕事だと思います。
きっと自尊心があり、責任感がある人なのではないかと思います。
そんな自尊心があるのに、「どん底」で不能感を味わい、
その傷を抱え、自ら癒やしているだろう息子さんに、
強引にでも結婚相手を探したほうがいいか、と問われると、
「頼むから放っておいてくれ」に尽きると思います。
怒号のような「放っておいてくれ」が聞こえる気がします。
ここにきてちゃぶ台をひっくり返すようですが、
そんなに幸せにならなくちゃいけないんですかね。
僕はこんな連載の担当編集をしながら、
幸せになろうとする人と、どこか距離を感じており、
かつ、半ば軽蔑しているところがあります。
(スイスイさんのことは、最大限尊敬していますし、
相談者の方がたのことは勝手に愛しく思っておりますが)
というのも、日々、
混み合う駅の雑踏で、居酒屋の喧騒で、
会社内の争いで、ニュースに載る諍いやスキャンダルで、
人の振る舞いを見るともなしに眺めながら、
全然興味がもてないことがあって、
そういうときは、だいたいこう考えています。
「そんなことまでして幸せになりたいのかな?」
と。
なにがしか眼の前のことに真剣に向き合う中で、
結果として幸せになるならまだしも、
幸せになろうとして、幸せになるなんて、
なんだか、順序が逆ではと考えてしまいます。
自分自身、幸せになるより、本当のことが知りたいと昔から思っており、
いわゆる「幸せ」になりたい思ったことは1秒もありません。
(結果、幸せだなあと感じることはありますが)
本当のことを知ることが、あなたの幸せなんだね、と言われたらそう言えるかもしれませんが、そのことを誰かに伝えるのは結構難しいなと思います。
(これはメンヘラ・ハッピー・ホームの連載を通して、
ハッピーを逆算して、そこへ近付く方法を知れば知るほど、
逆説的に、そのようなアプローチは自分の手になじまないな、
ということが、否が応にも浮かび上がってきました)
話を戻します。
相談者さんには、息子さんの幸せや生き方を、
一方的に推し量らないであげてほしいです。
相談者さんからすれば不十分かもしれないですが、
それでも立派にやっていると、一目置いてあげてほしい。
不能感を助長せず、どうか息子さんを尊重してほしい。
それよりも、
お医者様なら、人の心と体が密接にリンクしていることは、
深く知悉していることかと思います。
彼が健やかに働き、心をやつさないで、いられるように、
ケアしてあげられれば、それで十分ではないでしょうか。
その上で、色恋沙汰には向き不向きがあり、
それは他人に強要されるべきものではないと思います。
自尊心が強いだろう息子さんは、強要されるのは我慢ならないのではないでしょうか。
今日日、その気になれば、スマホのアプリなりなんなり、で出会いはあるものです。その気がない証拠です。
今で十分、息子さんは助かっているのではないかと思います。
ただ息子さんとお孫さんを見守っていくのがいいと思います。
息子さんの声に耳を傾け、
もしも向こうから助けを求められたら、
どうにか手を差し伸べてあげるのが良いと思います。
以上です。
あと歯医者さん行かないとと思いました。
お医者さんも尊敬してます。