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ウィニコット「Good enough mother」

私は、就学前教師の資格を取るために大学で3年半、モンテッソーリ教師になるために2年半、そしてその他にもさまざまなコースを受講してきました。
その過程の中で、最も心に残ったのは、ウィニコットの「Good enough mother(充分に良い母親)」という言葉でした。
幼児心理学の授業で先生が何度も何度も繰り返し使っていたこの言葉。その後、発表のために関連する論文を読んだのですが、その中でウィニコットが書いていた「幼児教師は、母親の愛情を子どもたちに与えるべきだ」という言葉も深く印象に残っています。
では、この「Good enough mother」とは一体どういう意味なのでしょうか? 「十分に良い母」と訳されることが多いですが、私は「充分に良い母親」として捉えていますので、今後はそのように表現していきたいと思います。
このウィニコットの理論は、今後私がnoteに書いていく内容の根底にある考え方となると思うので、まず初めにこのテーマについて書きたいと思います。
さて、「Good enough mother」は、いったいどんな理論なのでしょうか? なぜ、こんなにも私の心に残ったのでしょうか?

ウィニコットに学ぶ「充分に良い母親」――子育てのヒント
子育ては、思うようにいかず、不安や迷いに悩まされることもあります。完璧な親にならなければならない、と思うあまり、どうしても自分を追い詰めてしまうことも。そんな時に、精神分析学者ドナルド・ウィニコットの言葉を思い出してみましょう。彼が提唱した「充分に良い母親(good enough mother)」という概念は、心を軽くしてくれるような気がします。

「充分に良い母親」って、どういう意味?

私の幼児心理学の先生は、授業中に何度も何度も、「Mothe is good enough」という言葉を取り上げていました。その時に私が自分の中で訳していたのは、「母親はそのままで素晴らしい」でした。うん。本当に。母親って、そのままで充分凄い!と思ったのです。
その後、日本語でも勉強してみて、よりこの言葉の奥深さを知ったのです。
日本語では、「充分に良い母親」「ほどほどに良い母親」と訳されているようです。
ウィニコットが提唱した「充分に良い母親」という考え方は、文字通り、完璧な母親ではなく、むしろ「充分に良い」程度で充分だというものです。彼は、母親は子どもに対して常に完璧である必要はなくて、ある程度の不完全さや不安定さを見せながら、愛情と支えを与えることが重要だと考えたようです。
ウィニコットは、子どもが健全に育つためには むしろ「充分に良い母親」の方が必要だと強調しました。完璧な母親を求めるのではなく、むしろ子どもはその不完全さの中でこそ、自立の力を養い、世界を理解する力を育てると彼は考えたのです。

「完璧じゃなくていい」という安心感

この「充分に良い母親」という考え方が、現代の子育てにおいて大きな意味を持つ理由の一つは、親が自分を完璧にしなければならないというプレッシャーから解放される点です。
例えば、毎日手料理を作ることができなかったり、子どもが泣き止まない時にどうしてもイライラしてしまったり、そんな「不完全な自分」を感じることはよくあると思います。ウィニコットの言葉を借りると、「それで充分」なのです。母親も父親も常に完璧である必要はなく、時には不安定であること、失敗すること、それを正直に見せること、話すことが、子ども達にとっては重要な経験になります。安心感になります。大切なのは、どんな状況にあっても、子供たちにその時点でできうる限りの愛情を注ぎ続けることなのです。

親子関係における「失敗」の価値

ウィニコットは「母親は完璧でなくてもよい」というだけでなく、むしろ子どもにとって親の「失敗」が成長の一部だと考えていたようです。子どもはもちろん「完璧な親」を求めているわけではなく、むしろ時には失敗し、それを乗り越える姿勢を見せることが、子どもにとっての安心感や信頼の基盤を作るのです。
例えば、親が「ごめんね、今ちょっとイライラしちゃったね。もう大丈夫だよ」と言って自分の感情を認めたり、「今日はすごく疲れているから、簡単ご飯にするね」と正直な状況を説明する。そうすることで、子供達も、自分の感情を認めて話したり、正直に状況を見せたり話したり出来るようになります。

自分自身を大切にすることも、「充分に良い母親」の一部

ウィニコットの理論では、母親自身が十分にケアされ、心身が健康であることも重要だとされています。母親が自分自身の心のケアを怠ると、子どもに対して充分なサポートができません。自分の感情やニーズを無視せず、時には休息を取り、自分を大切にすることも「充分に良い母親」でいるための大切な部分なのです。
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ご両親は、いつもご機嫌でいる必要ないし、だいたい、人間いつもご機嫌でいられないですよね。行き詰ってしまったら、短期間育児放棄したって良いと思います。ただ、別でも書きますが、預け先の準備は忘れずに。
家事が大変なら、ハウスキーパーさん頼んでも良いし、しばらくスーパーの総菜、店屋物でも良い。大切なのは、ご両親(例え別々に暮らしていても)が、ほどほどにご機嫌でいられること。
そして、子供には隠さず話しましょう。ちゃんと説明して、行動に移しましょうね。
経済的な問題もあるだろうし、出来る範囲で、自分が出来るだけ気持ちよくいれる状態で、子供たちに接していたいものです。
子育てって、ほどほどに楽しいイベントですから。色々あっても、ほどほど、少しでも、一緒に楽しめたら充分なのです。


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