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深夜特急に乗って ポール・マッカートニーの歩き方(10) 12/18 その2 執念(今更.....)
100回ポールを観るというミッションが終了し、全身から湯気を出しながら、ホテルの部屋に戻るとそこには今更のロスバゲのスーツケースが。本当に今更。
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でもホッとしたです。スーツケースが戻ってきたという以上に、ポールに関していろいろ縛られていたものから一気に自由になった気がしました。「1列でも1センチでも前で観なければ」とか「日本に来たら全公演観なければ」とか、そう言ったものから全部解放され、自由になった気がしました。そして、2002年の秋のミルウォーキーでのライブでのある追っかけのことを思い出しました。
1989年のシカゴ公演のドキュメンタリー、48Hoursという伝説の番組がありまして(この番組はフジテレビでも来日直前に放送)、この追っかけおばちゃんがなんと、ミルウォーキーの会場にいたんです。すごく衝撃的だったのは、風貌は全く変わっていなかったんですが、アリーナ右側の最後尾に座って本当におとなしく観ていたこと。話しかけてみたのですが、とても恥ずかしそうにしていました。
彼女は、ドキュメンタリーの中では最後までポールにサインをもらえなかったんですが、実は会えていたんですよ(後日談としてそのシーンが別番組で放送されました)。執念!
思えば、1989年12月21日のキョードー東京前、徹夜で一緒に並んだ戦友達。朝まで色々な熱い思いを語らったですよ。それが1993年、2002年とその戦友達にほとんど再会することなく。
もしかしたらこんなに長い間、自分を駆り立てていたのは、1980年の執念だったのかもしれません。そして自分のキャリアが思い通りに全くすすまない、なぜなんだ、なんとかしなければならないという執念。
今回、100回が終わった後の湯気は、2002年の大阪最終日、日本公演で初めて最前列で観た時以来の湯気と同じ量でした。でも成分が随分と違うかも。あの時の自分の置かれていた立場とか焦りとか、正直もうやってられない感とかいう執念を発散していた湯気とは随分と違う気がします。
しかし今更、本当に今更です。
そして、次の日のライブで、その今更と執念がミックスされた事態が起きることを半分想定して、今日が100回目で良かったな、と妙な納得感を得ながら寝たのでありました。