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深夜特急に乗って ポール・マッカートニーの歩き方(14) 12/22 飛光よ、飛光よ
半年前に企画し、万難を排して臨んだこの旅行も最終日。JALの早朝便を夕方便に変更したおかげで、アビイロードスタジオでクリスマスカルテットを楽しむという機会にありつけました。
早朝便に備えて、ヒースロー空港脇の安ホテルを取っていたのですが、そんなわけで、荷物をフロントに預けて、またまたセントジョンズウッドまで。
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アビイロード第2スタジオに足を踏み入れた途端、もう涙が止まらない。この空間でたくさんのビートルズの作品がまさに創作されたこと、その作品が世界や社会に影響を与え、一人一人のリスナーに対しとんでもないほどの影響を今でも与え続けていること。その重み。それ以上に、ビートルズの4人がジョージマーティンと創作にのびのびと没頭しているシーンが脳裏に浮かび、同じ場所にいる感動という方が涙の本当の理由なのかもしれません。
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マイベストアルバムはAbbey Roadなんですけど、思い浮かぶのはPlease Please MeのレコーディングシーンとAll You Need Is LoveのOur Worldだったりしました。
カルテットのお兄さん、お姉さんたちが奏でる美しいメロディ。1964年のクリスマスレコードがかかった後、All You Need Is Loveを演奏してくれた時にビートルズのそれと重なりもう胸がいっぱいになりました。
会社に入って31年。どうだろう、そのうち15年近くは土日は起き上がることすらなく子供と遊んだりもできなかったし、自分を追い込んで会社での成果をあげることだけの会社人間でしたかね。体はカチカチに、頭痛もひどく、自分を労わることもせず。2014年に限界をむかえ、その後、もう1度レコード収集に打ち込みなんとか生き返りました。コロナ禍で今までのような会社生活にだいぶ余裕ができたのも良かったです。それでやっとここまで戻ったのかもしれません。
いい意味でも悪い意味でも、やっぱりこの言葉が身にします。
「人は、深く身を浸したことのある経験から自由になるのに、ある程度の時間を必要とするものらしい。」(深夜特急あとがきから)
会社(仕事)も、ビートルズの追っかけも、ビートルズの物集めも、もうこれで終わりでいいです。言い換えると、これでやっと小学校5年生以来の競争の世界から自由になれたのかな、という気がしました。
本当に若きビートルズも、カルテットのお兄さんやお姉さんも全然肩こりなんてなさそうだったし、とにかく自分を生き生きと活かせているもの。そう思うとさらに泣けてきましたよ。
この旅行のゴールが、アビイロードスタジオだったって、最後まで神がかっていました。
この2年間、深夜特急を5周くらいしました。結論、私の場合は、ワレトウチャクセリでいいでしょう。
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飛行よ、飛行よ、汝に一杯の酒をすすめん。
はい、いただきます。帰国したら、私の人生、再構築です。