モエトロンのデザイン その1
今までにないデッキ構築型ゲーム『新宿MAYHEM』。その拡張セットが登場する。
実は拡張セットのアイディアは3つあって(厳密には4つだがその4つ目は特殊なセットなので数えない。)どれから作ろうか迷っていた。最終的にこのセット『エイジ・オブ・モエトロン』を一番最初に作ることになった理由は、そのうちお話しよう。ここでは、『エイジ・オブ・モエトロン』がどのようにデザインされたのかの話を楽しんでもらえれば幸いである。
元々デッキ構築型ゲームが大好きで、とりわけ『Legendary』というゲームを愛してやまない私は、『新宿MAYHEM』でも『Legendary』のいい所を取り入れたいと思っていた。デッキ構築型ゲームは、ともすれば一人回しのようなソリティアゲームになりがちである。『Legendary』のいい所は、ストーリー性のある中で、プレイヤーたちが協力し、その中で勝利点を競うことができる点である。
『新宿MAYHEM』は、ストリートからどの色のキャラクターを雇用するか、そしてどの色を他のプレイヤーに取らせないか、ターフのどこを自分の縄張りとして取得するか、非公開コネクションに自分のコネをどれだけつぎ込むのか……。対戦相手を常に意識しなければならないゲームだ。これは他のデッキ構築型ゲームより、繊細なプレイングが問われる。『ドミニオン』よりも『クランク!』に近いかもしれない。
そして今や、『新宿MAYHEM』は新しい拡張セットで、大いなる脅威に襲われることになる。そう、新宿神鳴町(かなきちょう)は、自立型人間大フィギュアに支配されようとする。もちろん聡明な諸君は、この自立型人間大フィギュアが何を基にしているかすぐに気づくだろう。(優秀なロボットを作りたいと思ったやつは、『ターミネーター』でシュワルツェネッガーが教えてくれたことから何も学ばない。)
さて、このモエトロンはどういう存在であるべきだろうか。目からビームを出す? 空を飛ぶ? そんなことは実は『新宿MAYHEM』のプレイヤーには関係ない。大事なのは、モエトロンを通してプレイヤーは何を体験するのかだ。
そう、プレイヤーたちは、モエトロンと戦わなくてはいけない。そして放っておけば町にあふれ、プレイヤーたちに負傷を与えるだろう。(『新宿MAYHEM』では、ストリートというエリアからアグレッサー(敵)・カードが逃げ出すと、各プレイヤーは負傷を1枚得てしまう。)
モエトロンが町を支配しないように、プレイヤーたちは気を配る必要がある。時に対立するプレイヤーたちは、モエトロンによる被害を抑えるため、共闘を余儀なくされるだろう。そして『新宿MAYHEM』基本セットでは体験できなかったほどのアグレッサーの猛攻を表現するのが以下のカードだ。
このボス・アグレッサーがSH(新宿区役所かな)に鎮座している間、アグレッサーたちは通常の倍のスピードでストリートに現れる。つまりプレイヤーたちが受けうる負傷も2倍になるということだ。
モエトロンは、自立型フィギュアであり、更に自己複製機能も持っているため、1体でも放っておけばどんどん増殖するのだ。正に神鳴町の女王に相応しいボス・アグレッサーと言えるだろう。(ちなみに、基本セットでは御柱進太朗が自分が王に相応しいとか言っていた。)
これでモエトロンが神鳴町を支配する準備ができた。次回はモエトロンが町を支配する、もう1つの恐ろしい能力を紹介しよう。その時まで、あなたが必要な量の交渉力(『ドミニオン』でいう金)に恵まれますように。
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