漫画の話『銭ゲバの娘プーコ』~名作の続編の駄作~
さて、漫画の話をしましょう。保険の話なんてつまんないしね。
今日紹介するのは以前も紹介した作家、ジョージ秋山の名作『銭ゲバ』…ではなく!その続編である『銭ゲバの娘プーコ』です!『銭ゲバ』は知ってても、その続編があるというのは知らない人が多いのではないでしょうか。では、なぜこの作品は有名ではないのか?簡単です、駄作だからです!では紹介していきましょう!!
あらすじ
「銭ゲバ」と呼ばれ、金のためなら殺人でもなんでもやり、ついに大企業の社長となり、県知事にまでなった蒲郡風太郎(がまごおり・ふうたろう)は、ある日「私は人生に勝利した」という謎の遺書を残し突然自殺した(ここまでが『銭ゲバ』の話)。
しかし、風太郎は死ねなかった(ここでもうふざけるなよって感じですが)。年月が経ち、落ち着き自分の人生を振り返るようになった風太郎の元へ、自分そっくりの容姿の野々村風子(ののむら・ふうこ、通称プーコ)が姿を現す。プーコは自分が過去に風太郎が弄び、捨てた女の娘だと言い、母の仇として風太郎を刺す。しかし風太郎は自分を刺したプーコを責めず、娘として自らの全てを受け継ぐ資格があるかテストするという。
本当に同じ作者が描いた漫画かこれは?
前作のラストで頭を拳銃で撃ち抜いて自殺した風太郎が、「だが、死ねなかった」とか適当なモノローグだけで普通に生きてるだけでもう酷いんですが、この作品の酷さはそんなもんじゃありません。
そもそもピカレスクロマン(悪漢物語)として、悪の限りを尽くしながら力を増し、最終的に自らの無意味さに滅びるという、ある種のダークヒーローであった「銭ゲバ」風太郎が、人生に満足して、ヘラヘラ子供に媚を売って…この作者本当に前作読んだ事あるんですかね?
一応、風太郎はプーコに自分への復讐を促したり、自分の後継者足りうるか試したりしますが、ハッキリ言って自分に子供がいることが分かってはしゃいでいるようにしか見えません。
伏線?なにそれ?
この漫画、中盤くらいからプーコ以外にも風太郎の娘を名乗る少女が現れます。そしてどちらが「銭ゲバ」の後継者なのか争う…と思いきや、その辺の伏線は全部投げ捨て風子が唐突に「銭ゲバ」の後継者となり終わります。
その辺の流れも本当に酷くて、もう説明するのも嫌になるくらいなんですが、簡単に言うと「偶然会ったホームレスが凄い科学者で、5000万円の現金をくれ、更に必ず上がる株の銘柄を教えてくれました。それで大金を稼いだら風太郎が認めてくれました」みたいな、新人が持ち込みに行く原稿なら間違いなくボツにされるような展開です。まあ元々作者のジョージ秋山は、やる気ない作品は適当に描き捨てるような作家ですが、それにしてもこれは酷い。
まとめ
この作品、間違いなく駄作です。しかし、昔のロックスターが年とって丸くなったとか、昔のヒーローがくたびれたジジイになったとか、そういうのが好きな層には一定の需要があるかもしれません。例えば、昔は「NHKには出ない!」って言ってた矢沢永吉が、年取ったら普通に出たり道徳的な事をほざくようになったけど、それがいいとかそういう層(そんな層がいればだけど)。個人的にはロックスターとか詩人は若くして死ぬか、自殺するのが美しいと思うけど。ああ、ちなみにこれ以外にも『銭ゲバ』と同じ登場人物が出る作品としては『銭豚』ってのもありますが…まあ読まなくていいかな!
本日の漫画紹介でした!